先制点につながるスルーパスを出したDF冨安健洋

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[6.9 キリンチャレンジ杯 日本2-0エルサルバドル ひとめS]

 2試合連続で3バックの右ストッパーとして先発し、5日のトリニダード・トバゴ戦(△0-0)で感じていた課題をしっかりと修正した。それが見事な先制点につながった。

 前半19分。自陣でパスを受けた日本代表DF冨安健洋(シントトロイデン)は、4枚が並ぶ相手DFラインの裏へ鋭いスルーパスを供給。スペースへと抜けたFW永井謙佑がDFをかわして左足で代表初ゴールとなる先制点を決めた。

「正直、ちょっと長すぎたかなと思ったのですが、(永井は)やっぱ速いです」。快足FWへのパスは見事なアシストとなり、20歳のセンターバックは笑顔を見せた。

「あそこを取れば相手にとってもイヤだと思って狙っていましたし、出してからも永井さんが個人技で得点につなげてくれました。得点につながって良かったです」

 その言葉通り、先制点が生まれる前の時間帯は、グラウンダーの縦パスや、浮き球で背後を突くパスを続けざまに出していた。冨安は狙いをしっかり結果につなげてくれた30歳のベテランFWへの感謝も忘れなかった。 

 0-0に終わり、ビルドアップに物足りなさを感じていたトリニダード・トバゴ戦の問題点を迅速に整理し、すぐに実戦で克服して見せたあたりに学習能力の高さが浮かび上がる。それでも「1試合目よりも今日のほうが良かったというのなら良かったです」と満足感を前面に出すには至らない。

 選手交代があった後半14分以降は4バックに戻したが、「(最終ラインが)3から4に変わって、攻撃のところはパスコースが増えた」と、慣れている4バックと比べればまだ差もある。さらには「3には3の良いところがある。今日は通せなかったけど、(左ウイングバックの原口)元気くんへのサイドチェンジがあって、その質というのを上げていければもっと局面を変えられると思う。フォーメーションに応じて見るところを変える必要があるかなと思った」と、新たな課題も感じた様子だ。

「2試合である程度の時間、3バックをできたのは今後につながると思う。3では3の、4では4での良いところを伸ばしていければいい」と話す姿には主力の風格も漂っていた。

(取材・文 矢内由美子)