エースの岩渕真奈が全体練習に復帰したのは朗報。攻撃の停滞感を解消できるか。(C)Getty Images

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 7日にFIFA女子ワールドカップが地元フランスと韓国との一戦で開幕した。優勝候補のフランスが4万5000人もの観客の前で躍動し、圧巻の4ゴールで韓国を撃破。幸先の良いスタートを切った。
 
「フランスは最高の雰囲気の中でサッカーをして楽しそうでした。自分たちの初戦もいよいよだと感じます」と、フランスのオリンピック・リヨンでプレーする熊谷紗希は初戦への実感を語った。熊谷だけでなく、チームには初戦のアルゼンチン戦を2日後に控え、いい緊張感がみなぎっている。8日には今大会初めてトレーニングを完全非公開とした。大会が行なわれるパリ近郊へ入ってからは、直前に行なわれたスペインとの試合で出た課題の修正を含め、攻守の確認を徹底して行なってきた。

 
 コンディション面でいえば、順調な調整とは言い難い。フランスに入ってから、植木理子(日テレ・ベレーザ)が離脱し、代わって宝田沙織(セレッソ大阪堺L)が合流。ケガの回復が遅れている阪口夢穂、小林里歌子(ともに日テレ・ベレーザ)の調整は現在もなお続いている。
 
 それでも国内では別メニューだった岩渕真奈(INAC神戸レオネッサ)が初戦の5日前に全体練習に復帰し、「1か月近く休んでいた割には身体のキレは問題ない」(岩渕)と焦らず確実に上げてきたコンディションに、手応えを掴んでいることが救いだ。
 
 そんななかで迎えるアルゼンチンとの初戦は若手が多く起用されるはずだ。スタメンには緊張感が伴う立ち上がりになるだろう。それを踏まえたうえで、熊谷や鮫島彩(INAC神戸レオネッサ)らベテラン選手は、若手を引き上げるべく重くなり過ぎない雰囲気作りを心掛けている。ピッチ上では気になるプレー直後には必ず自ら声をかけ、プレーについて解決策をともに探るベテランたちの姿は、もはや珍しい風景ではなくなった。
 
「このチームで長い期間一緒にプレーしていくので、いろいろとコミュニケーションを取って、サッカー以外の話をしたり、自分が楽しむつもりでやっています」と、温度差のない関係性の源を語った鮫島。あとは若手がその想いにプレーで応えるだけだ。
 
 アルゼンチンは組織力ではなく、個で戦ってくるチーム。これまでの対戦成績は日本の4戦全勝と相性のいい相手ではある。この初戦はアルゼンチンのプレースタイル云々ではなく、日本の戦い方そのものが試される試合になる。
 
 裏への抜け出しを防ぐ守備網、ボール奪取からのビルドアップ、連係を駆使したフィニッシュパターン……これらはすべて最終メンバーで始動してから約20日間、幾度も話し合い、映像を確認し、修正を重ねてきた課題だ。フィジカル差がさほどない相手だけに、日本らしい連係した動きからのコンビネーションプレーは生み出しやすいはず。攻撃リズムが停滞してしまったスペイン戦を払拭する攻撃が見られるか。
 
 決勝トーナメント1位通過のためには、最も重視されるこの初戦。何よりこのメンバーでワールドカップを戦う自信を掴むためにも、内容と勝点3の双方を手にしたい。
 
取材・文●早草紀子