攻撃面が持ち味の原口は、長友とは違った個性をチームにもたらすはずだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 就任15戦目となった5日のトリニダード・トバゴ戦で初の3バック導入に踏み切った森保一監督。9日のエルサルバドル戦もこれを継続する方針を打ち出した。メンバーは戦力手薄な3バック以外、ほぼ全員が入れ替わると見られる。
 
 そこで注目したいのが、森保体制発足後は主力と控えの狭間を行き来していた原口元気(ハノーファー)だ。というのも、3−4−2−1の新布陣を機能させるためにはウイングバックの役割が重要ポイントになるから。4枚のサイドバックを本職とする長友佑都(ガラタサライ)は「どうしても後ろのカバーが気になって低い位置を取ってしまう」と守備的になりがちだが、原口はウイングバックを主戦場とする本職だ。森保監督の師匠的存在である北海道コンサドーレ札幌のペトロヴィッチ監督の下で左ウイングバックとして活躍し、ハノーファーでもこの役割を経験してきた。そこは大きな強みに他ならない。本人も「チームでずっとウイングバックだったんで、毎週経験していますから(笑)。運動量を生かせるとは思いますし、仕掛けられるシーンも多い。自分のよさが出しやすいポジションではあるのかな」と自信を口にする。
 

 3バックを採るチームはJリーグにも多いが、森保監督が目指す形は「イメージとしては2年前の浦和みたいな感じ」とシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)は言う。攻撃面ではウイングバックが相手サイドバックと裏の取り合いするくらい高い位置を取る形が出せれば理想的だ。一方で3バックの角を守らなければならなくなるため、守備負担も少なくない。それだけの走力を出せるのは今の日本代表でも数人だけ。1年前の2018年ロシア・ワールドカップでも走行距離やスプリント回数でトップクラスを誇った原口には、十分な資質が備わっている。
 
「あの位置で大事になるのはちょっとした高さのポジション取り。いい場所にいることで真ん中が空いてきたり、裏を取れることもある。逆に守備で曖昧なポジションを取っていると裏を取られたり、プレッシャーがうまくかからなかったりする。そこがうまくいくと本当にハマると思う」と原口は長年の経験を経て、ツボを心得ている。そこは非常に心強い材料と考えていい。
 
 2シャドーの一角に陣取る予定の南野拓実(ザルツブルク)も「元気くんが左に入る時には(前回に比べて)もう少し攻撃的なオプションになると思うし、推進力も出る。自分も前の位置もオフェンシブに取っていい場面は増えるし、コンビネーションで崩せる場面も増えてくると思います」と前向きに語る。トリニダード・トバゴ戦でシュート25本を放ちながらスコアレスドローに終わった日本にとって、次戦は得点を取って勝つことが最重要命題だ。それを果たす意味でも、原口効果に大いに期待したい。
 
「長友とは異なるウイングバック」としての地位を確立できれば、3バックの時は確実に定位置を確保できる。そこも大きなモチベーションに違いない。この1年間モヤモヤ感を抱えてきた彼には代表への思いを存分にぶつけ、自らの存在価値を再認識させてほしいものだ。
 
取材・文●元川悦子(フリーライター)