カルロス・ゴーン前会長(65)の側近といわれたグレッグ・ケリー氏(62)が昨年12月に保釈されて以来、初めて単独インタビューに応じ、逮捕された経緯や自身にかけられた容疑について語った。

【写真】初めて単独インタビューに応じたケリー氏


インタビューに応じたケリー氏 ©文藝春秋

 ケリー氏が逮捕されたのは昨年11月。容疑はゴーン前会長と共謀の上、約90億円の“報酬隠し”を行ったとする金融商品取引法違反だ。逮捕されるまでは、ゴーン氏、西川廣人社長(65)に続く日産のナンバー3。ゴーン氏にかけられた一連の疑惑について最もよく知るとみられる人物である。

「パーキングエリアで停まりなさい」

 逮捕に至る一連の動きの発端は、日産本社からかかってきた一本の電話だったという。

ケリー「昨年の11月、アメリカにいた私の元に、CEOオフィスのヘッドから、『日本に来てミーティングに出席して欲しい』と電話がかかってきました。

 私は困りました。以前から頚椎狭窄症を患っており、両腕もしびれていたので、12月7日に腰の骨を頚椎に移植する手術の予約を入れていたのです。

 体調面を考えると、飛行機に乗って行くことに不安があったので、ビデオ会議での参加を提案しました。すると『会社のチャーター機を出すから(11月19日の)月曜日に日本に着いてほしい。(22日の)感謝祭までにはアメリカに戻れるよう取り計らうから』と説得され了承しました。つまり当初は『3日で帰れる』と言われていたのです」

 逮捕は、羽田空港からタクシーに乗り、高速道路を20分ほど走ったときのことだった。

ケリー「『パーキングエリアで停まりなさい』。突然近付いてきた黒色のバンからこう指示を受けました。それは検察の車でした。

『後でお話をさせていただいてもいいですか』。私はこう言いましたが、もちろん許されません。そのまま東京拘置所に連行され、独房に入れられました」

「社内で解決できたはず」

 ゴーン前会長は、約90億円の報酬を隠して、有価証券報告書に記載しなかった罪が問われている。

 だが、ケリー氏はこの「報酬隠し」についてはっきりと否定し、「私は完全に無罪だと申し上げます」と語った。そしてゴーン氏のCEO退職後の「雇用契約書案」がゴーン氏、西川氏、ケリー氏の間で準備されていたことを明かした。

ケリー「もしゴーン氏の退職後の雇用契約について何らかの疑問があるのであれば、社内で処理、解決できたはずです。なぜ私、もしくはゴーン氏に『説明して欲しい』という話が一切ないまま、議論も会議もなく、突然の逮捕にいたったのか。この検討に関与していたのが私たち2人だけでないことを考えれば、本件での突然の逮捕は普通ではありえませんし異常です」

 インタビューでは、西川社長が「雇用契約書案」にどのように関与していたかや、日産への不動産購入要求、「特例中の特例」の手続きによって西川氏が手にした株価連動型役員報酬についても詳細に証言している。

 インタビューの全文「西川廣人さんに日産社長の資格はない」は、6月10日発売の「文藝春秋」2019年7月号に掲載されている。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2019年7月号)