リトラクタブル・ヘッドライトを装備するクルマたち 25選 前編
2004年までに消滅
1935年にニューヨーク・オートショーで発表されたコード810が、史上初めてのポップアップ式ヘッドライトを搭載するクルマであった。しかしそれが幅広く採用されるまでには30年ほどを要した。1960年代後半から1970年代にはポップアップ式ヘッドライトが主流となり、ロータス、フェラーリ、トライアンフ、そしてポルシェなどが採用した。
しかし2004年までにそれらはすべて姿を消すことになった。最後まで生産されていたのはロータス・エスプリV8やコルベットC5だ。これは歩行者保護および空力性能向上が大きな理由である。ここで格納式ヘッドライトを装備する25台のクルマをご紹介しよう。
ビュイックYジョブ(1938年)
Yジョブは史上初の真の意味でのコンセプトカーと言われている。ハーリー・アールによってデザインされたこのドリームカーにはポップアップ式ヘッドライトの他にも、数々の近未来的装備が取りつけられている。
ロータス・エラン(1962年)
コードの登場から四半世紀以上が経ち、ポップアップ式ヘッドライトを採用する初めての量産車が登場した。エランはそのエンジン、軽量さ、四輪独立式サス、そしてディスクブレーキなどによる驚異的な運動性能が魅力であった。
マセラティ・ギブリ(1966年)
ランボルギーニ・ミウラの登場と同じ年、マセラティ初のリトラクタブルライトをそうびしたギブリが登場した。その後ボーラ、メラク、カムシン、そしてインディなども続いた。若き日のジョルジェット・ジウジアーロがデザインしたギブリはクーペとスパイダーが存在し、4.7ℓまたは4.9ℓのV8を搭載する。
オールズモビル・トルネード(1966年)
オールズモビル・トルネードは390psのV8を搭載するが、後輪駆動が主流であった時代にも関わらず前輪駆動であることが特徴だ。この7.0ℓV8は65.7kg-mものトルクを前輪のみに伝えることから、そのハンドリングはひどいものだった。
フェラーリ365GTB/4(1968年)
フェラーリは流行に乗るのが早い方ではないが、リトラクタブルライトについては例外だ。デイトナをはじめとして、1996年に550Mが登場するまでディーノ206と246を除くすべての車種に採用した。
オペルGT(1968年)
オペルGTのヘッドライトはポップアップするというよりも手動のレバー操作により回転してせり出して来るタイプだ。1.1ℓまたは1.9ℓエンジンを搭載する左ハンドル仕様のみが生産され、欧州で販売された。北米向けのビューイック版も含めて10万台以上が生産されている。
サーブ・ソネットIII(1970年)
サーブ・ソネットは3世代存在するが、初代はわずか6台しか生産されていない。その後1966年に登場した2代目はまずまずの売れ行きだったが、この3代目では8000台を売り上げる成功をおさめた。サーブの市販車として唯一のポップアップ式ライト装備車である。
デ・トマソ・パンテーラ(1971年)
トム・ジャーダがデザインしたデ・トマソ・パンテーラは理論的には完璧なスーパーカーだ。この流線型ボディの下に収められるプッシュロッド式V8は高いメンテナンス性を持ちながら太いトルクを発生する。1971年から1992年の間に7000台以上が生産され、デ・トマソ史上最も成功したモデルとなった。
ランチア・ストラトス(1972)
1971年のトリノ・サロンでプロトタイプが公開されたストラトスは、ベルトーネがデザインした最初のランチア車だ。フェラーリのディーノから譲り受けた2.4ℓV6を搭載し、スティール製スペースフレームにプラスティックのボディを被せている。ラリーでは無敵の速さを誇り、1974年、1975年、1976年のWRCで勝利を収めている。
フィアットX1/9(1973年)
英国でフロントエンジンのMGBやトライアンフ・スピットファイアを作っているころ、フィアットは全くことなるテーマのスポーツカーを作っていた。エンジンがミドに搭載されるだけでなく、流線型のボディとフリップアップ式のヘッドライトが特徴だ。17年間の生産期間中に15万台が製造され、後期にはベルトーネのブランドで米国でも販売されている。
ランボルギーニ・カウンタック(1974年)
ミウラのヘッドライトは前方にひっくり返る方式だが、カウンタックはポップアップ式だ。これがこの野生的デザインの中核をなしているともいえる。後継車となったディアブロも同様のライトが取りつけられたが、後期型では空力性能向上のため埋め込み式となっている。
トライアンフTR7(1975年)
このTR7が登場するまで、トライアンフのTRは直線的ラインとトルキーなエンジンが特徴の無骨なスポーツカーだった。この前に登場したTR6は2.5ℓ直列6気筒を搭載していた。ハリス・マンがデザインしたTR7はくさび型のボディに2.0ℓ4気筒を搭載し、初めて固定ルーフが採用された。コンバーチブルが追加されたのはモデル末期のことであった。