久保に緊張はない。エルサルバドル戦に出場できれば、持ち味を存分に発揮してくれるだろう。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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「A代表の試合をいつから見てるかは覚えてないですけど、(2018年ロシア)ワールドカップも行きましたし、だんだん近い存在になってきている。今回このタイミングで招集されて、ここはもう実力の世界。実力があればメンバーに入れると思いますし、自分が何を喋ろうが変わらない。ピッチ上ですべてを表現するしかないと思います」
 
 9日のエルサルバドル戦を2日後に控えた7日の練習後、久保建英(FC東京)はお預けとなっているA代表デビューへの強い覚悟と決意を口にした。
 
 5日のトリニダード・トバゴ戦は森保一監督の「精神的なプレッシャーを緩めてあげたい」という親心もあってベンチ外。「試合に出るためにここに来ている」と本人は納得せず、猛烈なアピールを続けていたが、香川真司(ベシクタシュ)が左足つけ根に違和感を訴えて7日の練習を回避。これにより、次戦出場が現実味を帯びてきた。
 
「(出場可能性)が高くなったかどうかは分かんないですけど、チャンスが来れば準備はしているつもりです」と自信をのぞかせる。
 
 堂々たる言動は1998年4月1日の韓国戦に17歳322日で初キャップを飾った市川大祐(清水普及部コーチ)らとは一線を画している。20年前の先人は「まだ10代のルーキー」という印象だったが、久保の場合は「首位・FC東京の絶対的主力」。かつて2008年に19歳でA代表デビューを飾った香川も「17歳で首位のFC東京で結果を残しているのは普通じゃない」と驚き半分に語ったほどで、今季J1で4得点という実績もある。それだけに、エルサルバドル戦に抜擢されてもごく普通に適応してしまう可能性が高い。そこは期待してよさそうだ。

 今年3月のU−23アジア選手権予選で森保流3−4−2−1で戦った経験値もアドバンテージになる。「横内さんと森保さんは同じサッカーをしているっていうくらい似てるところは似てる。そういう意味ですんなり入っていけると思います」と本人も言う。こうした中、2シャドーでの動きもスムーズに表現できるはずだ。
 
 今回は時間帯や状況にもよるが、南野拓実(ザルツブルク)のコンビが有力。6日の実戦形式で2シャドーを組んだふたりは短時間ながら生かし合える関係を築けていた。もちろんエルサルバドル相手だと強度も上がるため、簡単にはいかない部分もあるだろうが、「今、シャドーにいる選手はボールタッチや判断をすぐに変えられる選手なので非常にやりやすい」と久保も手ごたえを口にする。1トップは永井謙佑(FC東京)か岡崎慎司(レスター)か分からないが、自分から年長者を動かすくらいの主導権を握れるのが、この若武者の凄さ。そうやっていい連係を作り上げていくのではないか。
 
「味方や敵の状況を瞬時に察知し、プレーの選択肢を変えられる」という武器を発揮し、A代表でも十分通用するところを示してくれれば、久保は森保ジャパン攻撃陣の新たな選択肢になり得る。次のコパ・アメリカに弾みをつける意味でも、18歳になったばかりのアタッカーの本領発揮を楽しみに待ちたい。
 
取材・文●元川悦子(フリーライター)