春のGIシリーズもひと段落し、残すはGI宝塚記念(6月23日/阪神・芝2200m)のみ。その合間を縫って、東京競馬場ではGIIIエプソムC(6月9日/芝1800m)が行なわれる。

 GI5週連続開催の東京ではずっと波乱続きだったが、はたして今週はどうだろうか。デイリー馬三郎の吉田順一記者はこう語る。

「1週前に行なわれるGI安田記念(東京・芝1600m)に挑んでも、『それなりにやれるのでは』と思わせる馬が出走し、それらが秋の大舞台を見据えて、ここでしっかりと賞金を加算していくのが、最近のエプソムCの特徴です。つまり、それなりの実力馬が安定した結果を残している舞台と言えます。

 現に過去10年の連対馬を見ても、1番人気が4勝を含めて7連対。2番人気も4勝を含めて5連対。そして3番人気が3連対で、以下4番人気が1勝を含めて3連対、5番人気と6番人気がそれぞれ1連対と、比較的順当な結果に収まっています。無理筋の狙いは禁物です」

 とはいえ、3着には6番人気以下の伏兵が何度も突っ込んできている。2012年には15番人気のマイネルスターリーが3着に入って、1、2着は人気どおりだったにもかかわらず、3連単は14万7390円という高配当をつけた。

 馬券的には、穴馬から入るよりも、軸馬をうまく絞って、やや広めに勝負するほうが手堅く、しかもオイシイ配当をゲットできるかもしれない。そこで、吉田記者は今年の狙いについて、こんな見解を示す。


オープン戦を2連勝中のソーグリッタリング

「実績面からミッキースワロー(牡5歳)が1番人気でしょう。そこで、狙いはオープン特別(リステッド競走/※重賞に次ぐ重要なレース)を連勝しているソーグリッタリング(牡5歳)。数字以上の瞬発力を発揮し、今が充実期にあります。馬の走る気が半端なくにじみ出ており、勝負どころでは馬が勝手に追い上げているような印象を受けます。今のレースぶりなら、東京コースも問題ありません。

 ある程度人気を集めそうなので、『穴馬』とは言えないのですが、それでも1、2番人気にはならないでしょう。負けるまでは、買い続けて損のないタイプだと思います」

 加えて、吉田記者が「あえて穴馬を挙げるなら……」と言って推奨するのは、サラキア(牝4歳)だ。昨年までなら降格対象となる存在だが、降級制度がなくなったため、ある意味では格上挑戦となる。

「レースのサンプル数が少ないのですが、昨夏に小倉・芝1700mでレコード勝ちを収め、続く時計の速かったGIIローズS(阪神・芝1800m)でも2着と奮闘。その後、微妙に距離が長いと思われたGI秋華賞(京都・芝2000m)でも4着と善戦しました。

 エプソムCと同日には、牝馬限定のGIIIマーメイドS(6月9日/阪神・芝2000m)がありますが、そちらは同じ池添学厩舎&ノーザンファーム生産のモーヴサファイアに任せて、距離適性を重視してこちらに参戦、という点にも好感が持てます」

 今年はここまで2戦して、GIII京都金杯(1月5日/京都・芝1600m)が7着、GII阪神牝馬S(4月6日/阪神・芝1600m)では10着に終わっているが、それぞれ勝ち馬からコンマ4秒差、コンマ3秒差と着順ほど大きくは負けていない。

「2走前は荒れた馬場の京都で持ち味が出し切れず、前走は内枠で(前が)詰まって、直線に入ってからすぐに追い出せなかったのが、(最後に)弾けなかった原因でしょう。

 今回は約2カ月ぶりとなりますが、ストレスがたまったりしないように馬なり中心の調整で、ここを目標に仕上げられています。厩舎サイドの話では、『放牧で馬体に幅が出てきていい状態』とのこと。ローズSの時と同じく、馬体重は450kg近くのほうが、パフォーマンスが上がる、という見立てからすれば、それもまたプラス要素でしょう。

 決して大きな馬体ではありませんが、ストライドを伸ばして、しっかりとギアを上げていくタイプ。長い直線でフルに脚を使えれば、牡馬相手の定量戦でも勝負になると思います」

 一方、スポーツ報知の坂本達洋記者は”東京巧者”に注目する。

「まず、アップクォーク(牡6歳)に目がいきます。これまでに重賞に挑戦したのは、1回のみ。3歳時に、GIIIラジオNIKKEI賞(4着。福島・芝1800m)に出走したのが唯一ですが、昨秋にオープン入りして、本格化の兆しを見せています。

 実際、スタッフによれば、『最初から能力はあったが、全体的に体質が弱くて、なかなか(レースを)使えなかった。でも、去年の秋くらいから(馬体が)パンとしてきた。いずれ重賞の舞台にくると思っていた馬だし、これからの馬だからね』とのこと。いよいよ素質が開花してきた雰囲気です。

 前開催から、東京は高速決着が続いていて、内が有利で前が残る傾向にありますが、ある騎手に聞いたところ、『馬場が堅いと言うより、クッションが利いて(それが)良すぎるという感じ』と言っていました。とすれば、差しが利かない、というわけではないはず。

 東京コースは8戦して4勝、2着2回、3着1回、着外1回とめっぽう強いアップクォーク。充実著しい同馬が、実績馬に割って入る余地は十分あるでしょう」

 関西に遠征した前走のオープン特別(リステッド競走)・六甲S(3月24日/阪神・芝1600m)では11着に敗れたものの、2走前のオープン入り初戦は、東京が舞台だったリステッド競走の白富士S(1月26日/芝2000m)で3着と好走している。その得意舞台に戻る今回、一発があっても不思議ではない。

 坂本記者ももう1頭、推奨馬を挙げた。前走こそダート戦に出走してしんがり負けに終わっているが、昨年のレースでは2着と好走しているハクサンルドルフ(牡6歳)だ。

「前走はデビュー以来、初めてのダート戦に挑んで16着でしたが、その結果は度外視していいでしょう。この馬もハマった時の末脚は強烈で、東京・芝コースは8戦1勝、2着2回、3着1回、着外4回。4着以下に終わったのは、昨秋のキャピタルS(芝1600m)以外はすべて重賞ですから、適性は高いほうです。

 そして何より、やや重から不良の道悪馬場では5戦2勝、2着2回、着外1回と、時計がかかったほうがいい、という点がポイント。今週末は雨予報なので、馬場が渋るようなら、浮上する可能性は大いにあります」

 思えば、昨年のエプソムCも重馬場だった。当日の天候と馬場状態には注意を払っておきたい。 手堅い決着が多いエプソムCとはいえ、5週連続のGI開催では断然人気の馬がことごとく馬群に沈んできた。今週も、その流れを受け継いで波乱の結果に終わってもおかしくない。そんな結末を演出する馬が、ここに挙げた4頭の中にいるかもしれない。