政府・自民党は6日、和牛の精液・受精卵の海外流出防止に向けて、家畜改良増殖法の改正を目指す方針を固めた。受精卵の生産や、流通、在庫の状況などを定期的に把握するための新たな仕組みを盛り込む見通し。早ければ今年の臨時国会にも改正案を提出する。各県の管理水準を高めるため、国が方針を示した上で3年以内に全国に浸透させることも検討する。

 同党は同日、農林合同会議を開き、政府への提言をまとめた。受精卵の生産状況の他、精液・受精卵ともに流通、在庫状況を行政が定期的に把握する仕組みがないことを問題視。種雄牛の表示や帳簿管理の義務化などの対策を想定する。不正な流通に対する罰則の強化なども求めている。

 こうした内容を踏まえ、農水省は今後、改正法案の策定作業や、検査などの運用の見直しに乗り出す。精液・受精卵の保護、流出防止に向けては有識者検討会でも議論が進んでいる。

 流出防止策を検討してきたプロジェクトチームの赤澤亮正座長は会合で、流出防止には、まず国内流通のルールの厳格化が必要だと指摘。提言の内容について「できるものから速やかにやっていく」ことが必要との認識を示した。

 提言では、国による管理方針の策定について「必要な経過措置を講じた上で、3年後をめどに全国的に展開」することを要請。

 宮崎県では、県が保有する種雄牛の授精情報などを一元管理するシステムで遺伝資源の管理を徹底しており、こうした優良事例を参考に検討を進めるよう求めた。

 精液・受精卵を保有する農家の実態把握も重要だ。提言で、自家で利用する農家も含めて保有状況の調査が必要だと指摘。農家、家畜人工授精所への抜き打ち検査を定期的に実施することも盛り込んだ。

 不正流出を防ぐ水際対策では、輸出検査体制の強化を求めた。