このセットプレーの部分にどれほどこだわり、トレーニングに時間を割いたのかは分かりませんが、ここ最近の代表戦では特定の選手しか点が取れていないように感じます。トリニダード・トバゴ戦では昌子源選手にチャンスがありましたね。あそこで決めていれば、もっと得点を取れる流れになったのではないかと思います。
 
 逆に相手コーナーキックではピンチがありました。シュミット・ダニエル選手の正面に飛んだから良かったものの、あのヘディングシュートが決まっていたら、その後の展開は分からないものになっていたでしょう。

 
 最後が、パターン、形のある攻撃です。
 
 これはひとつ目、ふたつ目にも繋がりますが、ボール回しから最後のフィニッシュに至るまでの「イメージの共有」ができているか。まだ新しいメンバーや練習時間が少ないなかで、どこまで落とし込めるのか。これによって、ゴールを決める確率が変わってくると思います。
 
 クロスの飛び込む人数などはやはり、3バックシステムのため、足りていないシーンが多かったですし、中央から崩す際もあとひとつ、という場面が多々ありました。
 
 ある程度は個の能力で上回れたので決定機も掴めましたが、コパ・アメリカではそう簡単にはいかないと思います。そのためにも続くエルサルバドル戦、そしてコパ・アメリカでは、みんなが共通のイメージを持った崩しを見てみたいです!
 3バックで守備のバランスは取れていましたが、逆に、攻撃のバランスやバリエーションは減ったように感じました。このフォーメーションで勝負するのならより共通理解を高めて、自分たちのフォーメーションとして磨き上げなければならないと思います。
 
 もちろん、3バックと4バックの併用が実現すれば、相手チームの分析はそうとう難しくなります。その第一歩が水曜日の試合だったと考えるならば──。まずまずの評価は与えられるのではないでしょうか。
 
 試合を重ねるごとに成長する日本代表に期待しつつ、引き続き応援していきたいと思います。
 
<了>
 
橋本英郎
 
PROFILE
はしもと・ひでお/1979年5月21日生まれ、大阪府大阪市出身。ガンバ大阪の下部組織で才能を育まれ、1998年にトップ昇格。練習生からプロ契約を勝ち取り、やがて不動のボランチとして君臨、J1初制覇やアジア制覇など西野朗体制下の黄金期を支えた。府内屈指の進学校・天王寺高校から大阪市立大学に一般入試で合格し、卒業した秀才。G大阪を2011年に退団したのちは、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、長野パルセイロ、東京ヴェルディでプレーし、今季からJFLのFC今治に籍を置く。日本代表はイビチャ・オシム政権下で重宝され、国際Aマッチ・15試合に出場した。現役プロ選手として奮闘する傍ら、サッカースクールの主宰やヨガチャリティー開催など幅広く活動中。Jリーグ通算/438試合・21得点(うちJ1は339試合・19得点)。173センチ・68キロ。血液型O型。