3バックで挑んだ日本代表は、相手GKのファインセーブに阻まれて1点が奪えなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 トリニダード・トバゴに0−0のドロー。
 
 世界ランキング93位で、06年ドイツ・ワールドカップに出場した経験があるが、それ以外は目立った戦績がない国である。
 
 コパ・アメリカは東京五輪世代が軸なので、ワールドカップ予選前にいろいろ試すにはこのチャンスしかない。9月から始まるカタール・ワールドカップ予選の前に『試す』には絶好の相手だった。
 
 最大の狙いは、3バック導入だった。森保一監督がサンフレッチェ広島時代に3連覇した思い入れのあるシステムだ。
 
 昨年は代表がスタートし、今年1月にアジアカップもあったのでロシア・ワールドカップの遺産をうまく利用する形で4バックを採用し、連係を深め、チームの成熟を重視した。そのためになかなか3バックにトライするチャンスがなかったのだ。
 
 しかし、スコアレスドローという結果が示すようにラボの結果は芳しいものではなかった。
 
「オプション」として森保監督は考えており、何か特別な意図を持って3バックを試したのだろうが、その意図が見えにくい試合になった。
 

 実際、シュートはわずか5本とトリニダード・トバゴの脅威がほぼなかったので、3バックの昌子源、冨安健洋、畠中慎之輔は持て余し気味にプレーしていた。攻撃で前に人数が足りていなかったので、例えば冨安をひとつ前に上げてボールを運ばせたり、臨機応変にプレーすればいいのだが、初めての3バックでセオリー通りにやろうという意志が強すぎた感がある。また、3バックの特徴であるべき長友佑都と酒井宏樹の両アウトサイドもほとんど機能していなかった。
 
 一方で一発にやられそうなシーンがあった。
 55分、縦パスを3バックの裏に出されると、昌子と競り合いながらもそのままシュートまでもっていかれた。マイボールの時間が長いので、守備に集中するのが難しいのは分かるが、カウンターは予期しないところから生まれてくる。ロシア・ワールドカップでベルギーに強烈なカウンターを喰らって敗れた日本にとって、そういうことも想定しての3バックはずだ。中東のカウンターはより鋭く、スピードがあるので、こんなに簡単にシュートまでもっていかれるカウンターを喰らうようでは心許ない。
 
 攻撃は、ボールは握るも決め切れなかった。
 4バックでは前線に4人にいるので、例えば堂安律の近くには大迫勇也や南野拓実がおり、トライアングルで連係して打開していくことがチームの持ち味になっていた。だが、今回はシャドーの中島翔哉、堂安が中央に寄っていたのでふたりの距離は近いが、大迫とは距離が遠かった。また、中島と堂安が真ん中にいるのでボランチが上がるスペースもなかった。そのため徐々に中島らの個人の突破に頼る『お任せ』的な攻撃になっていった。
 
 71分に南野が左シャドー、79分に原口元気が左ウィングバックに入り、左上がりの変則的な4バックになった。相手が疲弊していたのもあったが、原口らの判断で前線に人数が足りて、より迫力のある攻撃ができるようになった。状況を判断して、こういうプレーができなければスタメンで出ている選手のアドバンテージはいずれ消えていくだろう。
 

 正直なところタレントのある中盤の選手を1枚減らして3バックで戦う意図がこの試合からはよく分からなかった。4バックの方が攻守に安定し、選手の良さが出る。システムにはとらわれず、日本の良さを活かすのが森保監督のコンセプトのはずだが、3バックは「オプション」として採用するレベルには程遠い。「3バックの意識を持つ」というレベルでは機能しないので、やるならとことんやるしかない。