トリニダード・トバゴ戦でベンチ外だった久保。もしこのテクニシャンが起用されていれば……。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンチャレンジカップ2019]日本 0-0 トリニダード・トバゴ/6月5日/豊田スタジアム
 
 後半途中からトリニダード・トバゴ代表の選手たちが次々にピッチに崩れ落ちる。調整不足のせいか、足がつってその場でなかなか立ち上がれないプレーヤーが続出したのである。
 
 そんな相手に、しかもホームで日本は勝てなかった。結果はご存知の通り、スコアレスドロー。相手GKが神懸かっていたとはいえ、このスコアはいただけない。シュートを25本も放って、無得点である。ツキがなかったのひと言では到底片づけられないだろう。
 
 決め手を欠いた原因のひとつは、長友佑都も指摘したようにプレー精度だろう。最終局面で小さなミスが目立った結果、日本はリズムを失ってしまった印象だ。例えば24分に大迫勇也が酒井宏樹からの最高のクロスをきっちり決めていれば、あるいは大勝していたかもしれない。そう考えると、先制点の重要性を改めて教えてくれた一戦だった。
 
 大迫に限らず、また途中出場した南野拓実、原口元気、伊東純也らもシュートの精度を欠いた。相手は明らかに疲弊しているにもかかわらず、自分たちのミスでチャンスを潰す試合展開だったからこそ、強く思った。もし久保がベンチにいたら、と。
 
 ひとりの若手を話題性で持ち上げようとか、そういうわけではない。ここまでのJリーグでの活躍を評価して、素直にそう思ったのである。
 
 実際、今季FC東京で開幕からレギュラーを張る久保はJリーグの多くの試合で圧倒的なクオリティを見せつけてきた。ボールを持てば滅多なことでは失わず、今季のJ1初ゴールをマークした磐田戦(11節)あたりからはなにか吹っ切れたように得点を重ねている。
 
 動きが重そうだった、この日のトリニダード・トバゴ(多少ラフプレーは気になったが)とのフレンドリーマッチは、そんな久保を試す格好の試合だったのではないか。おそらく3−4−2−1システムのシャドーで使えば、確かなテクニックで違いを生み出していた可能性はある。希望的観測と言われればそれまでだが、いずれにしても試合前から「久保」という選択肢を排除してしまった森保一監督の決断は正しかったのか。
 
 森保監督は久保を外した理由を次のように述べている。
 
「久保に対するメディアのみなさん、そしてサポーターのみなさんの期待はヒシヒシと感じています。私も普段のクラブでの活動、そして今回初めてA代表のトレーニングで見て、十分にA代表でも戦えると思っています。ピッチの上に立たせて、みなさんの期待に応えたい気持ちは私にもあります」
 
「ただ、まだ18歳になったばかりですし、今季は(FC東京で)チームを牽引するほど試合に出続け、さらにここにきて移籍報道と、色んなプレッシャーがかかっている。だから少し緊張を緩めてあげたいなと。A代表デビューはチーム次第で、彼がこのまま成長してくれれば十分にプレーできると感じています。だから、彼の成長とA代表の状況がマッチしてくれればと。久保だけではなく、選手たちは日本の宝です。その宝をどう成長させていくか。ベストの道を探っていきたいです」
 
 
 久保の傍で代表チームでの練習を見て、熟考したうえでの決断だったのだろう。ただ一方で、いわゆるスターにプレッシャーは付き物だとも思う。それは他の誰より、久保自身が理解しているのではないか。「年齢でサッカーのことについて話されるのは好きではないです」と以前から語っているように、久保はメンタル的にも立派なプロの戦士である。だからこそ、トリニダード・トバゴ戦でどこまで戦えていたか、その雄姿を見たかった。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)