中島(右)と堂安(左)はともにシャドーで先発。いずれも71分までプレーし、攻撃を引っ張った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンチャレンジカップ]日本0-0トリニダード・トバゴ/6月5日/豊田スタジアム
 
 日本代表は6月5日、キリンチャレンジカップでトリニダード・トバゴと対戦。FIFAランク93位の格下からゴールを奪えず、スコアレスドローに終わった(日本のFIFAランキングは26位)。
 
 日本はこの試合で、森保体制下で初めて3−4−2−1システムを導入する。従来の4−4−2以外のオプション作りに着手したのだ。新布陣のシャドーのポジションで先発したのが、4−4−2ではサイドハーフを務めていた中島翔哉と堂安律のふたりだった。
 
 同じシャドーのポジションを任され、ともに71分までプレーしたふたりのキャラクターは対照的で、はっきりと分かれていた。
 
 より専門的だったのが中島だ。ひとたびボールを持てば、切れ味鋭いドリブルを度々披露して、トリニダード・トバゴの守備陣を翻弄。十八番のカットインからクロスやシュートを繰り出し、何度もチャンスを演出した。
 
 34分の一瞬でDFを振り切って打ったシュートや前半アディショナルタイムの痛烈なミドルシュートなど、前半だけで5本のシュートを放った。前後半合わせて、両チームトップの7本も記録できたのは、とりわけ強力なドリブルという武器があったからだろう。ある意味エゴイスティックなプレーで攻撃を活性化していた。
 
 特にインパクトが大きかったのが41分のカウンター。堂安からのクリアボールを左サイドのタッチライン際で拾うと、素早い反転で詰めてきたDFをかわして一気にゴール前まで駆け上がったシーンだ。最後はエリアに侵入する前にファウルで止められたものの、ドリブルという最大の特長を活かし、数秒で会場を沸かしてみせた。
 
 システムが変わってもドリブルをベースとしたプレーは変わらない。そうした自分のスタイルを貫く中島の姿勢は、「もちろんポジションによって違いはありますけど、基本的な考え方は変わりません。どんどんチャレンジして、怖がらずにいければなと思います」というコメントからも窺える。
 
 一方で、周囲に合わせてプレーを柔軟に変える万能性が光ったのが堂安だった。堂安もパワフルかつテクニカルなドリブルが持ち味ではあるが、この日は、状況に応じて使い分けていた印象だ。
 
 酒井宏樹、大迫勇也と巧みにポジションを替えながらパスワークで崩す時もあれば、時にDFの背後を突いて、中島のクロスや柴崎岳のパスからシュートチャンスを生み出していった。状況に応じて様々なプレーを選択し、攻撃をスムーズにしようと試みていた。
 
 中島のクロスにヘディングで合わせた7分や、柴崎からの浮き球のスルーパスを引き出した28分のシーンは、特に抜け出しの鋭さが光った印象的な場面だろう。
 
 実際に堂安は、局面を崩してクロスを供給する中島との関係性を意識していたという。「翔哉君は打開ができるので、僕はゴール前に入ることを意識していました。背後に抜けるシーンがありましたけど、ああいうシーンは増やしていかないとなと。クロスにはもっと入っていかないと」と試合後に振り返っている。
 
 森保体制では、もはや欠かせない存在になっているふたりの特長が浮き彫りになったという意味では、トリニダード・トバゴ戦の新システム導入の試みは実に興味深かった。ただし、忘れてはいけないのは、いずれも無得点でチームを勝利に導けていない事実だ。システムに捉われず、さらに連係を深めて攻撃を牽引してほしいものだ。
 
取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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