2019年女子ワールドカップ(フランス)が現地6月7日に開幕する。

 男子のW杯にはさまざまなジンクスが存在するが、今大会で8回目を迎える女子W杯にもすでにいろいろなジンクスが生まれている。そこで、ここではまだあまり知られていない女子W杯のジンクスや意外な法則などを、グループ別に紹介していきたい。


前回大会決勝ではアメリカと日本が対戦。5−2でアメリカが勝利した。photo by Getty Images

◆グループA
フランス、韓国、ノルウェー、ナイジェリア

 男子では、2010年W杯で南アフリカがグループリーグで敗退を喫するまで、開催国が18大会連続で決勝トーナメント進出を果たしていた。

 同様に女子も、過去全7大会において、開催国がグループリーグ突破を決めている。その例にならえば、今回も開催国フランスの決勝トーナメント進出は”確実”と言える。

【女子W杯開催国の成績】
1991年=ベスト8(中国)
1995年=ベスト8(スウェーデン)
1999年=優勝(アメリカ)
2003年=3位(アメリカ)
2007年=ベスト8(中国)
2011年=ベスト8(ドイツ)
2015年=ベスト8(カナダ)
※( )内は開催国

◆グループB
ドイツ、中国、スペイン、南アフリカ

 男子の1954年W杯でドイツ(当時西ドイツ)が世界大会に登場して以降、同国が出場したW杯17大会、ユーロ10大会、五輪5大会(東西統一ドイツを含む)、さらにコンフェデレーションズカップ3大会に至るまで、ドイツ(西ドイツ時代を含む)とグループリーグ(2次リーグを含む)で同居したチームの優勝例は一度もない。

 これは、女子の世界大会でも同じ。ドイツが出場したW杯7大会、ユーロ6大会、そして五輪5大会において、グループリーグでドイツと同組となったチームは栄冠を手にすることができていない。俗に言う「ドイツの呪い」である。男子の大会を含めて、64年も続くこのジンクスは、はたして今大会も継続されるのだろうか。

◆グループC
オーストラリア、イタリア、ブラジル、ジャマイカ

 男子では、前年のバロンドール受賞者がいる国はW杯で優勝できないという「バロンドールの呪い」といった有名なジンクスが存在する。

 実は女子にも、これに相当する「FIFA最優秀選手賞の呪い」というジンクスがある。W杯と五輪の前年にこの賞を受賞した選手がいる国は、過去に一度も優勝したことがない。そして、昨年のFIFA女子最優秀選手は、ブラジルのマルタが受賞。これまでのジンクスどおりであれば、今大会でのブラジルの優勝はない。

【FIFA女子最優秀選手受賞者の翌年の世界大会成績】
2003年W杯=3位(ミア・ハム/アメリカ)
2004年五輪=3位(ビルギット・プリンツ/ドイツ)
2007年W杯=準優勝(マルタ/ブラジル)
2008年五輪=準優勝(マルタ/ブラジル)
2011年W杯=ベスト8(マルタ/ブラジル)
2012年五輪=準優勝(澤穂希/日本)
2015年W杯=4位(ナディネ・ケスラー☆/ドイツ)
2016年五輪=ベスト8(カーリー・ロイド/アメリカ)
※( )内は受賞選手と国名。☆=ナディネ・ケスラー自身は負傷で同大会には出場していない。

◆グループD
イングランド、スコットランド、アルゼンチン、日本

 2度目の優勝が期待されるなでしこジャパン。なんと、主要国際タイトルを初めて獲得した2010年アジア大会以降、出場した4大大会(W杯、五輪、アジアカップ、アジア大会)において、現在8大会連続決勝進出という快挙を継続中。今大会でもこの記録の継続なるか、大いに注目される。

【日本の主要国際大会連続決勝進出記録】
2010年アジア大会=優勝(中国)
2011年W杯=優勝(ドイツ)
2012年五輪=準優勝(イギリス)
2014年アジア杯=優勝(ベトナム)
2014年アジア大会=準優勝(韓国)
2015年W杯=準優勝(カナダ)
2018年アジア杯=優勝(ヨルダン)
2018年アジア大会=優勝(インドネシア)
※( )内は開催国

◆グループE
カナダ、カメルーン、ニュージーランド、オランダ

 今大会で4大会連続、通算5度目の出場となるニュージーランドは、女子W杯の常連国と言えるが、本大会では12戦していまだ勝ち星を挙げられていない(3分9敗)。今大会でこそ、待望の初勝利を果たしたいところだ。

 ちなみに、男子ではかつてブルガリアがW杯17試合連続未勝利という、不名誉な記録を打ち立てている。

◆グループF
アメリカ、タイ、チリ、スウェーデン

 注目は、前回女王のアメリカ。男子W杯では、直近3大会で前回王者がグループリーグ敗退という憂き目にあっているが、女子W杯においては、前回優勝国が決勝トーナメント進出を逃した例はない。ついでながら、アメリカは過去7大会で優勝3度、準優勝1度、3位3度と、すべて3位以上の成績を収めている。

【女子W杯前回優勝国の成績】
1995年=3位(アメリカ)
1999年=4位(ノルウェー)
2003年=3位(アメリカ)
2007年=優勝(ドイツ)
2011年=ベスト8(ドイツ)
2015年=準優勝(日本)
※( )内は前回優勝国

【アメリカの女子W杯成績】
1991年=優勝
1995年=3位
1999年=優勝
2003年=3位
2007年=3位
2011年=準優勝
2015年=優勝

       ◆       ◆       ◆

 男子のW杯では、全21大会でファイナリストはわずか13カ国。女子W杯でも、全7大会でファイナリストは、アメリカ、ノルウェー、ドイツ、中国、スウェーデン、ブラジル、そして日本の7カ国に限られている。

 なお、女子W杯のファイナリストは、いずれもそれまでのW杯に連続出場を果たしている国で、予選敗退を経験した国が決勝進出した例はない。その法則でいくと、今大会で決勝進出の可能性があるのは、アメリカ、スウェーデン、ドイツ、ナイジェリア、日本、ノルウェー、ブラジルの7カ国となる。

 また、男子では同年の欧州チャンピオンズリーグ(以下、欧州CL)とW杯の二冠を達成する選手がしばしば誕生しているが、女子では欧州CL(前身のUEFA女子カップ時代を含む)を制した選手が、同年の世界大会(W杯、五輪)で優勝した例は皆無となっている。

 今季の女子欧州CL王者は、フランスのリヨン。同クラブには、今回のW杯に出場するフランス、ドイツ、カナダ、イングランド、オランダ、アルゼンチン、そして日本(熊谷紗希)の代表選手が所属している。過去のジンクスからすると、これらの国が頂点に立つ可能性は低い。

 そうなると、優勝の確率が高いのは、アメリカ、スウェーデン、ナイジェリア、ノルウェーとなるが、はたして……。

 女子サッカーの頂点を決するW杯。男子のW杯に劣らず、出場各国が白熱した戦いを繰り広げる。そうした熾烈な争いのなか、ジンクスや記録というのは、いつしか打ち破られていくのである。