大迫(背番号15)や堂安らがチャンスを作ったが無得点。トリニダード・トバゴ戦はスコアレスドローに終わった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[キリンチャレンジカップ2019]日本 0-0 トリニダード・トバゴ/6月5日/豊田スタジアム
 
 0-0のスコアレスドローに終わった6月シリーズの第1戦、トリニダード・トバゴ戦のトピックといえば、やはり森保体制下のA代表で3-4-2-1を初導入した点だろう。
 
 Jリーグの広島で3度のリーグ制覇を果たした森保監督にとって、3-4-2-1は代名詞であり、兼任で指揮する東京五輪代表では、このフォーメーションをメインシステムとして使ってきた。
 
 一方、A代表では一貫して4-4-2(2トップは縦関係になることが多い)を採用。3バックをどのタイミングで試すのか注目されてきたが、2022年のカタール・ワールドカップに向けたアジア予選が迫ってきたなか、満を持してのテストとなった。
 
 指揮官はトリニダード・トバゴ戦で採用した意図を、「これまで試そうと思って活動してきました。まず4バックをベースに戦術理解してもらい、次のオプションとして試そうと。それが今のタイイングでした。9月からワールドカップ予選があるので、選手たちが覚えてくれれば、オプションになるなと考えました」と説明。
 
 そして「選手たちはチャレンジしてくれました。GKからのビルドアップ、ウイングバックで幅を作るという感覚は少しずつ見えたと思います。ゴールがなかったのは残念ですが、シュート25本と公式記録にもあったとおり、チャンスは作れました。守備においてもバランスがこれまでと異なり、プレッシャーを上手くかけられないなかで、セットプレーとカウンターでやられそうな場面はありましたが、大崩れすることなく粘り強くやってくれました」と試合を振り返る。
 
【3バック PHOTO】森保ジャパン初の3バック!連携が不安視された中、息の合ったプレーを披露し無失点!
 
 
 指揮官の言葉通り、新たなシステムを実戦で学べた点は選手たちもポジティブに捉える。
 
 3バックの中央で最終ラインを統率した昌子源は「経験がないよりもあったほうが良い。4(バック)でも3(バック)でもやれたら強いですし、試合の途中で変えられたら素晴らしいと思います」と語り、左ウイングバックを務めた長友佑都は「オプションを持っていることは間違いなく強みになります」と語る。
 
 ワールドカップのアジア予選では、どんな対戦国が待ち受けているか分からないが、戦い方の幅を広げられたという意味では、今回の一戦は多少なりとも価値はあったと言えるだろう。
 

 
 
 しかし今後、真剣勝負の場で活用していくには、少なくない課題が浮き彫りになった。
 
 特に無得点に終わった攻撃面だ。シャドーとして出場した堂安律は、「(通常の4-4-2より)前の選手はひとり減っているので、(前線の)3人のコンビネーションが大事になるなと考えていました。パスを入れる時に一か所減っているので、どうしても最後のスルーパスなどは少ないと感じました。ただ僕らがより危険なエリアに入っていけるシーンもありましたし、やろうとしていることは悪くなかったです」と話す。
 
 もっとも得点を奪うためには前線の3人(CFの大迫勇也、シャドーの堂安、中島翔哉)だけでなく、彼らに両ウイングバックや、ボランチ、はたまたオーバーラップしたストッパーが絡む必要があり、ボランチの柴崎岳は「この形を今後、使っていくのならどう攻めるか、型のようなものを作っていく必要があります。4バックのチームでやっている選手が多いですし、パターンを作るのが大切です」と分析する。
 
 中島翔哉らの仕掛けでチャンスは作ったが、単発に終わったシーンも多く、相手守備網を崩す形は限られていた。フィニッシュ精度の問題もあるが、連係の不足が無得点に終わった要因に映る。
 

 
 また守備面では、そこまで怖さがなかったトリニダード・トバゴの前線の3人に対し、日本は5バックで守るシーンが見られ、無失点で終えられたものの、アンバランスさは目立った。また日本がポゼッション率で上回っていたものの、3バックの選手はオーバーラップを試みる回数が少なく、重心が後ろにかかっていたからこそ、攻撃に圧力をかけられなかった側面もあった。
 
 もっともその点に関しては、昌子は新システムだっただけに、止む得ない部分もあったと話す。
 
「僕ら3枚(3バック)がより攻撃に参加できれば良かったという考え方もありますが、色んなものを求めて失点したら意味がないと思っていたので、まず守備から入ろうと話していました。慣れれば、トミ(冨安健洋)は終盤に積極的に上がっていましたし、(畠中)槙之輔も前に行く時は行っていた。
 
 トライすることは良いことですし、今後は相手を見ながら対応もしたいです。今日は相手の11番の選手が真ん中にポジションを取っていたので、(3バックの中央であった)僕が前に行くのは難しかったですが、相手が2トップだったら、真ん中の僕が行けるかもしれない。そういう変化を察知して振る舞いたいです」

 
 
 6月9日には、ひとめぼれスタジアム宮城でエルサルバドルとの一戦を控える。果たしてこのゲームでも森保監督は3-4-2-1を採用するのか。
 
 今後のワールドカップ予選で、同システムを貴重なオプションとして使う考えがあるのならば、選手を大幅に入れ替えず、トリニダード・トバゴ戦の課題を修正しながらブラッシュアップする必要があるだろう。
 
 対してもし通常の4-4-2に戻すならば、3-4-2-1を重要な場面で使うのは危険なように映る。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)