パーキングブレーキも摩擦材が減ると利かなくなる

 クルマのブレーキには走行中の減速に使うフットブレーキと、駐車中にクルマを止めておくためのパーキングブレーキ(サイドブレーキ)の2種類がある。

 フットブレーキは油圧式が基本だが、パーキングブレーキは、レバーを引くと機械的にワイヤーケーブルが引っ張られ、ブレーキドラムの内側からブレーキシューを押し付けて、その摩擦力でクルマを止める、機械式のドラムブレーキが主流。

 四輪ディスクブレーキのクルマでも、リヤはディスクブレーキの内側、ハブの部分に別途機械式のドラムブレーキを設けたインナードラム式のパーキングブレーキを採用しているのは珍しくない。また、四輪ディスクブレーキの一部の車種は、後輪ディスクブレーキのキャリパーピストンをワイヤーで動かし制動力を発生させるタイプもある。

 これらはいずれも機械式だが、最近は電気モーターでパーキングブレーキをかけるEPB(電動パーキングブレーキ)も増えてきている。

 機械式、EPBを問わず、どちらのパーキングブレーキも、ブレーキシューあるいはパッドの摩擦力でクルマを止めているので、ライニング(摩擦材)が減れば、ブレーキが利かなくなってしまう。

利き具合と引きしろのチェックは車検項目に含まれる

 ブレーキパッドなら、ライニングの残量が2〜3ミリになったら要交換。ドラムブレーキのブレーキシューも、残量が1ミリになったら使用限界といわれている。ブレーキは使えば減るし、減ったら交換するのは当たり前。

 パーキングブレーキのシュー(パッド)だって、それは同じこと。ただし、パーキングブレーキは基本的にタイヤが動いていない状態、停車時に使うため、シューが擦れて減る量は微々たるものだ。サイドブレーキを戻し忘れて走ったりしない限りは、ほとんどライニングが摩耗することはない。

 したがって通常、5〜10万kmは無交換でOK。ただし、点検だけは定期的にやっておく必要がある。車検の際に、パーキングブレーキの利き具合と引きしろ(5ノッチ前後で利けばOK)はチェックされるため、最低限それだけは車検に通れば問題ナシ。

 パッドとシューの摩耗損傷も24カ月点検のメニューに入っているので、まともな整備工場なら確認してくれているはず。ユーザー車検などで車検をクリアしている人でも、摩耗具合を2年に1度ぐらいはきちんと点検しておきたいところ。

 シューやパッドの残量がなくなれば、当然パーキングブレーキをかけても、停止状態を保つことができなくなる。「サイドブレーキはノーメンテでOK」などと油断せずに、少なくとも車検毎には点検し、リヤタイヤ付近から何か引きずるような音、焼けるような異臭がしてきた場合は、速やかに整備工場で見てもらおう。