A代表初参戦の久保は、周囲から吸収するものが多いようだ。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 6月4日。日本代表で迎えた、18歳の誕生日。ひとりの大人として、久保建英はいよいよ世界の舞台に挑んでいく。
 
 初めての代表合流から3日目。久保が取材に応じた。この日の朝には、宿舎で先輩たちからお祝いの声をかけられたという。
 
「誕生日はいつも特別。特にどこだからというのはないですけど、でもこういう場所で迎えられるのは非常にうれしいですね」
 
 負けず嫌いで頑固。久保をよく知る人は皆、良い意味で彼についてそう表現する。あるインタビューでは自分のことを「生意気かもしれない」と話したことすらある。以前から「年齢でサッカーのことについて話されるのは好きではないです」とも語る。
 
 そんな久保が、大人の階段で言う最終段を上った。正真正銘、ここからは他と同様にひとりのプロ選手としてのまな板に乗る。移籍も解禁され、世界の基準ではもう青少年ではない。それは彼が望んでいた土俵でもある。
「これからは17歳と書かれることもないでしょうし、今日は18歳と0日目ですけど、363日目でも18歳。同じくくりだと思う。もう18歳が若くないみたいな感じですし、18歳でも試合に出る人は出ますし、出ない人は出ない。18歳の時点で試合に出られるからといって、22歳、23歳になった時に約束されていることは何もない。焦らなくてもいいと思いますし、結局年齢が上がったからといって、自分自身が変わることはないですね」
 
 いつも感じる。久保の発言、言葉にはしっかりと根差した軸がある。「焦らなくていい。自分は変わることはない」。簡単に言えることではない。頑固でサッカーに誰よりも愚直だが、一方で成長に向けた養分をしっかり吸い取る柔軟性もある。合宿前、自分を「他の選手から吸収する立場」と話していたが、すでに先輩アタッカー勢から敏感に感じるものがある。
 
「みんな速いですね、動きが。代表なのでみんなうまいというのがまずある。攻撃の選手も全然みんな違うタイプですけど、強いて言うならば前目の選手はみんな常にゴールを狙っているなと。ちょっとフリーだったら、やや強引にでも(狙う)。海外ってこうなのかなと思います。自分が見てそう感じたということは、自分よりも(周りの選手が常にゴールを狙う感覚が)あるのだと思います」
 
 シュート意識は久保も高い。ただ、それ以上に中島翔哉や南野拓実、堂安律はゴールを狙う。その違いをすぐに受け止めているあたり、久保の多感な姿勢がうかがえる。
 
 笑顔でボール回しをする姿からして、すでにチームには馴染んでいる。それは久保も認める。ただそれ以上に、日本代表には彼を奮わす空気があるという。
 
「刺激は常に感じますね。刺激イコールうまくチームに入れない感じではないですが、全然自分が今年積み重ねてきたこと、今までの経験がすごく生きているとは思います。ただ、刺激、刺激しかないですね」

 歴代の日本代表選手で、6月が誕生日といえば本田圭佑(6月13日)。毎年代表戦があるこの時期。W杯予選が始まれば重要な試合が続くタイミングになることも多い。昨年のロシアW杯でも初戦のコロンビア戦前にやってきた誕生日で皆から祝われ、本田自身もそこで思いを込めたメッセージを送り、チームをひとつにして大事な一戦に向かった。
 
 これから久保も、この6月の誕生日を日本代表で迎えることになるのだろうか。欧州のトップレベルでプレーし、日本の中心として世界と渡り合う、大人の久保――。
 
 その第一歩が今日この時であれば、未来は明るい。
 
取材・文●西川結城(スポーツジャーナリスト)