日本人が大抵知らない「玩具」の奥深すぎる世界

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子どもも大人も楽しめる玩具の世界を紹介(写真:FabrikaCr/iStock)

モノ情報誌のパイオニア『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス社)と東洋経済オンラインのコラボ企画。ちょいと一杯に役立つアレコレソレ。「蘊蓄の箪笥」をお届けしよう。

蘊蓄の箪笥とはひとつのモノとコトのストーリーを100個の引き出しに斬った知識の宝庫。モノ・マガジンで長年続く人気連載だ。今回のテーマは「玩具」。意外と知らない基本中の基本から、あまり知られていない逸話まで。あっという間に身に付く、これぞ究極の知的な暇つぶし。引き出しを覗いたキミはすっかり教養人だ。

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01. おもちゃの「もちゃ」は「もちあそび(持ち遊び)」が語源

02. 平安時代には「もてあそびもの」と呼ばれた

03. 漢字では、古くは「翫具」と表現されることが多く、「玩具」という字は明治30年代の国語統一運動で生まれた

04. 「toy」は子ども向けのおもちゃのカテゴリー、「hobby」は大人が楽しむ、知識を要するアイテムのカテゴリーと区別されることが多い

05. 「hobby」は子どもの玩具「hobby horse(棒馬)」に由来しおもちゃのように楽しいものを表す言葉として定着した

06. トルコ南東部の紀元前5000年の古墳群から石や貝を加工した49種類のサイコロが発見されている

07. 紀元前4000年頃のメソポタミア文明で使われていたスティック型の四面体ダイスも発見されている

ボードゲームは古代エジプト時代のものが元祖!?

08. 古代エジプト第一王朝の古墳の副葬品として「セネト」と呼ばれるボードゲームが発掘されている

09. エジプト第三王朝時代のピラミッドにあるサッカラの彩色壁画にもセネトに興じる人物が描かれている

10. 紀元前2600年頃のシュメール文明の遺跡からは宝石が散りばめられた遊戯盤「ウル王朝のゲーム」が出土


11. 「ウル王朝のゲーム」と同じゲームボードが現代のインドにも見られ、人類史上最も長くプレイされているゲームともいわれる

12. 紀元前1100年頃ペルシアで動物のプルトーイが登場

13. お手玉の起源は諸説あるが、紀元前5世紀頃に古代アナトリア半島のリディア人がギリシアに伝えたアストラガリが原型といわれている

14. ヨーヨーは歴史の古い玩具の1つで、起源は紀元前1000頃年の中国、紀元前500年頃の古代ギリシア

15. 「ヨーヨー」の語源はいまだ不明だが、「yo-yo」の語が登場した最初の印刷物は1860年のフィリピン語の辞書

16. ヨーヨーは江戸時代に日本に伝来、当時は「手車」「釣り独楽」と呼ばれた

17. 1997年にはバンダイがハイパーヨーヨーを発売。世界で2000万個を売り上げる大ブームとなり、競技として発展

18. 14世紀以来おもちゃ作りの伝統があるドイツの二ュールンベルクでは、1700年代には約8000種類の玩具がカタログに掲載され、百貨店で販売されていた

19. ニュールンベルクでは現在も毎年2月に世界最大規模の「国際おもちゃ見本市」が開催されている

20. 英国のソールズベリ平野で紀元前800年〜20年の子どもの用の墓から彫刻された石が発見され英国最古の玩具とみられている

21. 英国で250年以上の歴史を誇る世界最古の玩具店「ハムリーズ」。2019年5月、インドの大富豪が買収した

22. ハムリーズは1760年創業。ロンドン中心地のリージェンツ・ストリート店は1881年開店、第二次世界大戦時には5回の爆撃を受けながらも営業を続けた伝説の旗艦店

23. 玩具の世界3大メーカーといえば「レゴ」「ハズプロ」「マテル」


世界3大メーカーの1つ「レゴ」(写真:SOPA Images/GettyImages)

24. 「レゴ」の社名の由来はデンマーク語で「よく遊べ」を意味する「Leg Godt」

25. レゴブロックは17万回の着脱が可能で毎日遊び続けても400年以上遊べる耐久性を誇る

26. レゴブロックの平均耐久荷重4240N。理論上37万5000個のレゴを積み、高さ3.5?のタワーを作ることも可能

27. 発売当初、緑色のレゴブロックはなかった。理由は戦車など戦争を連想させる乗り物を作ってほしくないから

28. レゴの人形のミニフィグの顔は黄色。黄色は人種差別などのない「ニュートラル」と「幸せ感」を表現している

29. レゴブロックのキットで最もパーツ数が多いのは「タージマハール」。総ピース数は6000に及ぶ

30. レゴは2030年までにレゴブロックの素材にプラスチックを使うのをやめて「持続可能な新素材」にすると発表

初期のバービー人形は日本製だった

31. 世界で最も有名な人形の1つ「バービー人形」はマテル社が1959年発売。創業者がスイス旅行土産として娘バーバラに贈った人形Lilliにヒントを得て考案

32. バービーの正式な名前はバーバラ・ミリセント・ロバーツ

33. 初期のバービーは日本で製造されていた

34. マテル社が1968年に発売したミニカー「ホットウィール」は、これまで1万1000種、40億個以上生産されている

35. フリスビーは1940年代後半、アメリカのイェール大学の学生が、フリスビー・パイ・カンパニーのパイ皿を投げて遊んだことが始まり

36. 米国の「プレイ・ドー」という小麦粉粘土は、はじめは壁紙のクリーナーとして販売された

37. ルービックキューブ考案者はハンガリーの建築学者エルノー・キュービック氏。1974年にドナウ川の流れを見ていたとき発明のヒントを得たという

38. 「人生ゲーム」は1860年に米国で印刷業を営む24歳のミルトン・ブラッドレーが考案した盤ゲーム「THE CHECKERD GAME OF LIFE」が原型

39. 「THE CHECKERD GAME OF LIFE」は悪行を戒め善行を奨励するという聖書の教えから生まれたゲームだった

40. 「人生ゲーム」の5万ドル札に印刷されているのは原版考案者のミルトン・ブラッドレーの肖像

41. しゃべる人形を最初に発明したのはエジソン。娘のために考案し1878年には特許を取得している

42. 2007年頃から流行し始めたハンドスピナー。アメリカで重症筋無力症を患う母親が娘と遊べる玩具として考案した

43. 英語ではフィジェットスピナーと呼ばれる。Fidgetは手持無沙汰、暇つぶしの意味

44. 世界一高価なドールハウスは米国人アーティストが手がけた「Astolat Dollhouse Castle」で約10億円

45. アメリカのおもちゃ・玩具市場は255憶ドルで世界1位。2位は中国95憶ドル、3位が日本55憶ドル(2015年)

現代にも通じている日本古来の玩具

46. 日本における玩具のはじまりは「独楽(コマ)」

47. 平城京跡や藤原京跡からは7〜10世紀の独楽が出土

48. 日本には7世紀頃にお手玉の原型「石名取玉」が中国から伝わり、水晶や石などが使われた

49. 聖徳太子もお手玉で遊んだといわれる。聖徳太子が使っていた石は東京上野の国立法隆寺博物館が所蔵

50. 「双六」の伝来は6世紀後半〜7世紀前半とされるが、その賭博性から再三にわたり禁止令が出された

51. 『日本書紀』には689年に「禁断双六」の記述がある

52. 正倉院には5個の双六盤が納められ、そのうちの1つは聖武天皇の愛用品だったと伝えられるもの

53. 平安時代には公家の間で貝あわせが流行。貝殻に描かれた絵を鑑賞したり、神経衰弱のような遊び方もされた

54. 江戸時代にはカルタ、ビードロなど南蛮文化が伝来

55. カルタはポルトガル語でカードを表す「carta」が語源

56. 「いろはかるた」は江戸、上方、尾張など地方ごとに特色があり、「犬も歩けば棒に当たる」で始まるのは江戸かるた、「一寸先は闇」で始まるのが上方かるた


大正時代にはめんこ、ベーゴマ、おはじきなどを使った遊びが定着した(写真:hafuphoto/PIXTA)

57. 大正時代にはめんこ、ベーゴマ、ビー玉、おはじきなどを使った遊びが定着。駄菓子や小物玩具が数多く登場した

58. 現在の形のけん玉が生まれたのは大正時代、当時「日月ボール」と呼ばれていた

59. 日月ボールはバランスがとれて技を繰り出すのに最適であり、遊びを超えて正式な競技用けん玉となっている

60. けん玉の単独の技で最も難しいとされるのは大皿のふちとけん先の間に球を乗せる「うぐいす」という技

61. 1953年、マルサン商店がブリキ製キャデラックを発売。戦後初の1000円を超える玩具となる

62. 1958年には国産初のプラモデル「ノーチラス号」発売

63. 1950年代に日本で作られたブリキのロボット玩具「マシーンマン」が1997年NYのオークションで当時世界最高値の8万ドルで落札されている

64. 1954年、東京科学工業株式会社(現・マブチモーター)の登場により電池で動く玩具の時代へ突入

65. 日本アルプス玩具が、マグネットを用いたモーターを開発し世に送り出したセダン型の電動自動車。日本の電動玩具の第1号でもある

66. リモコンで乗り物を動かす「ラジコン」は老舗の増田屋コーポレーションが1956年に商標登録している

67. 日本製ブロック玩具「ダイヤブロック」は、鉛筆キャップの売れ残りを活用しようとして誕生した

現在も人気の玩具が次々と生まれた

68. 1958年、エポック社が「野球盤」発売。長嶋茂雄がCMに登場し大ヒットを飛ばす


「野球盤」ゲームはさらに進化し続けている(写真:Mochio/PIXTA)

69. 2017年の「野球盤」はボールが空を飛ぶ3D機能、カラー電光掲示板などを搭載している

70. 1969年に発売され一世風靡した「スパイ手帳」は、本物のスパイも使用した特殊な水溶性の紙を採用していた

71. 1960年代におもちゃ業界空前の大ブームとなった「ダッコちゃん」
その正式名称は「ウィンキー」だった

72. 「リカちゃん」は2017年に誕生50周年を迎えた

73. 現在の「リカちゃん」は1987年に登場した4代目

74. 2015年からは「リカちゃん」の大人向けブランド「LiccA Stylish Doll Collections」が展開されている

75. トミカが誕生したのは1970年。6車種が発売された

76. トミカの販売開始以来、最も売れた車種は「日野 はしご消防車」
2位は「古河 ホイールローダー」

77. 1969年に大ヒットした「ママレンジ」。付属のフライパンで実際にホットケーキを焼くことができる

78. わたあめが作れる「ママスイート」やジューサーなど、ままごと玩具は10年以上続くシリーズとなった

79. 1980年誕生の「1/144ガンダム」から約40年、2019年4月にガンプラ累計出荷数は5億個を突破した

80. ガンプラは静岡のバンダイホビーセンターで企画、開発、生産のすべてが行なわれる純国産品である

81. 栃木県壬生町は、かつて玩具メーカーの工場が立ち並び「おもちゃの町」と呼ばれ「おもちゃ団地」も誕生した

82. 現在は工場跡地に「おもちゃのまちバンダイミュージアム」がオープンしている

食玩が人気となり社会現象化したお菓子も

83. 1923年、江崎グリコが玩具を同梱したキャラメルの販売を開始
最初のおまけはカード

84. 1964年の明治製菓「マーブルチョコレート」は鉄腕アトムのシール付き。これがキャラクターを採用した初の食玩

85. カバヤ食品のビッグワンガムはプラモデルが付属。のちの食玩の高級化の元祖ともいわれる

86. 1999年にはフルタ製菓のチョコエッグが食玩造形の質の高さやシークレットアイテムで人気となり社会現象化

87. 2001〜2005年には昭和時代の乗り物やヒット商品をテーマとしたフィギュア付き「タイムスリップグリコ」登場

88. このチョコエッグやタイムスリップグリコのフィギュアを手がけたのが、造形表現で海外でも評価の高い海洋堂

89. 兵庫県の有馬玩具博物館はグリコの玩具デザイナーであった加藤裕三(2001年没)が提唱して2003年に開館


森永製菓の「チョコボール」。(左から)「ピーナッツ」「キャラメル」「いちご」「カフェ・オ・レ」(写真:森永製菓提供/時事)

90. 森永製菓「チョコボール」の「おもちゃのカンヅメ」の初代は「まんがのカンヅメ」だった

91. 1969年に正式スタートした「おもちゃのカンヅメ」第1号の中身はミニそろばんやキーホルダーなど

92. 1996年に大ブームとなった携帯型育成ゲーム「たまごっち」。現在までに全世界で8200万個が販売されている

93. 1990年代「美少女戦士セーラームーン」のキャラクター関連商品は1200種以上が発売。「ムーンスティック」など変身アイテムが大人気に

94. 2000年代はプリキュアシリーズの主人公が変身や必殺技に使うアイテムが女児に絶大な人気を博す

95. ベーゴマが進化したベイブレードは世界80以上の国と地域で累計出荷数3億5000万個以上を記録

96. 2015年夏からは第3世代「ベイブレードバースト」が発売されている

97. 「人生ゲーム+」令和版も登場! お金ではなくSNSのフォロワーを獲得、インフルエンサーを目指すゲームとなる

98. 5月5日は「おもちゃの日」。端午の節句にちなみおもちゃや人形のPRのために1924年に制定された

99. 1962年、「第1回日本玩具国際見本市」が開催された

100. 現在は毎年6月頃に「東京おもちゃショー」が東京ビッグサイトで開催され、日本おもちゃ大賞も発表される

(文:森谷美香/モノ・マガジン2019年6月16日号より転載)

参考文献・HP/『面白すぎる「おもちゃ」研究序説』(中経出版)、『20世紀おもちゃ博物館』(同文書院)、『遊びとおもちゃの図鑑』(国土社)、『なつかしおもちゃ研究所』(ジャイブ)、ほか関連サイト