その専門性は、審議議論の核心を捉えるうえでも、議会運営の効率化を図るうえでも、国政の場において必ず必要なものである。

 今回、パチンコ業界が応援する尾立氏はどうか。彼を支持する団体はパチンコ業界だけではない。それは彼のHPを見れば一目瞭然だ。ちなみに、本原稿執筆時点で、尾立氏のHPに「パチンコ業界」は含まれていないが、今後、業界専用ページを立ち上げるという話は聞いている。

 話を戻せば、尾立氏はパチンコ業界だけではなく、彼を支持する多くの業界の「族議員」にならんとしている。現時点において、そこに「悪しき」の冠は付かない。

◆問われているのはパチンコ業界の政治力

 ではパチンコ業界は、尾立氏を応援するにあたって、どれだけの影響力を持つのか。

 パチンコ業界で口を糊する人は、おおよそ25万人〜30万人程度と言われている。ここには全国1万店のパチンコホールの従業員はもちろん、メーカーや販社、その他関連事業者まで含まれている。票田としては、十分な規模と言えるであろう。

 しかし問題は、その票田を刈り取る事が出来るのか、という事。

 前述の通り、パチンコ業界は今まで政治的な活動を積極的に行ってこなかった。まして国政選挙となれば、まったくの未経験である。

 業界が一丸となってとは言ってみたものの、それが直接的な影響力に転化するのかと言えば、業界関係者ですら口ごもる。

 冒頭の「尾立源幸君を励ます集い」に応援に訪れた、自民党・二階幹事長は言った。

「みなさんの名誉がかかっている」

 パチンコ業界が政治に急接近するという事は、今までの警察行政とのパワーバランスを失う事にも直結し、事の帰結によっては、より一層の苦境に立たされる可能性もある。お願いする側である自民党が、「みなさんの名誉がかかっている」と問題の主体をすり替えているのはどうかとも思うが、少なくともパチンコ業界関係者は、不退転の、崖っぷちの決断をしたのであろう。

 パチンコ業界からすれば、少なくともこの決断は、栄えるための決断ではない。滅びぬための決断だ。しかしその決断の意義と意味を、ホール従業員の端々まで届ける事が出来るのか。そこにはファンもアンチもない。問われているのはただ業界全体の「政治力」である。

<文/安達 夕 @yuu_adachi>