数多あるバイクのヘリテイジカスタムにおいて、オフロードを代表する「スクランブラー」とオンロードを代表する「カフェレーサー」は双璧ともいえる2大スタイル。最近では国内外のメーカーのラインナップでその名を目にすることも多く、かつてのブームを知らない世代にも知られるようになってきた。

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そんな「スクランブラー」と「カフェレーサー」両方の名前をあわせ持つのがドゥカティの『Scrambler Cafe Racer』。クラシックなスタイリングへのこだわりもさることながら、スポーティな走りを気負わずに楽しめる一台だ。

クラシックかつ独特なスタイリング



そもそもスクランブラーはオフロードバイクがなかった時代に市販バイクに幅広なハンドルやアップマフラー、ブロックタイヤなどを装着し、未舗装路を走れるようにしたカスタム。一方、カフェレーサーは60年代に当時のプロダクションレーサーをお手本に、セパレートハンドルやバックステップなどを装着し、ロードでの速さを求めたカスタムだ。本来なら相反する方向性といってもいいくらい。



そこで、『Scrambler Cafe Racer』ではスクランブラーをベースにカフェレーサーの魅力を融合させている。少し高めのステップ位置はそのままに、トップブリッジより少し高めで開き気味のセパレートハンドルに、ヘッドライトとメーターを覆うショートフェアリングやバーエンドミラーを装備し、ある種ダートトラッカーのようにも見える独特のスタイリングに昇華させている。

メタリックなブルーのフレームにシルバーのタンクという組み合わせもクールで目を引く。旧タイプのDUCATIロゴがまたクラシックな雰囲気を醸し出している。

左サイドにはゼッケンプレートも装備。54という数字はかつてのドゥカティのファクトリーライダー、ブルーノ・スパジャーリに由来するという。

丸型の片側メーターなので、回転計もないかと思いきやディスプレイ周囲のゲージで表示されている。クラシックな形だが、レイアウトはかなり先進的。

気負わず乗れる「ちょうど良さ」



跨ってみると、思った以上に前傾姿勢になる。いくらセパハンにしては高めとはいえ、やはりカフェレーサーなのだ。もちろん、スーパースポーツほどではないけれど、レーサーレプリカに熱狂していた世代なら、やる気がモリモリ湧いてくる姿勢であることに変わりはない。



73馬力の803ccL型ツインエンジンは始動時こそ豪快な音を響かせて目覚めるが、走り始めてしまえばとても素直にアクセル操作に応えてくれる。低速域からしっかりとタイヤで路面を捉えている感覚が感じられるくらいにはトルクがあるし、高回転までスムーズに吹き上がってくれる。クラッチもドゥカティの大型とは思えないくらい軽い。



加えて、前後17インチホイールを採用したコンパクトな車体とということもあり、高い旋回性を誇る。曲がりたい方向に視線を向けて、普段どおりに操作していけば、意図したとおりのラインを通ることができる。ライディングに自信があるとはいえない、へっぽこな筆者でも不安を感じなかったほどだ。

クラシックな雰囲気抜群な上に、見た目のレーシーさからは想像できないほどのフレンドリーさをもった、『Scrambler Cafe Racer』。価格は142万5000円〜。はじめてのドゥカティとしてもオススメだ。

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Scrambler Ducati | Café Racer

text石川順一