組体操がまた論議に(写真はイメージ)

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大阪府東大阪市内の小学校運動会で「7段ピラミッド」の組体操が行われるとして、ネット上で安全面への疑問の声が上がり、論議になっている。

市内では、3校が予定していたが、そのうち少なくとも1校は、安全面を考えて中止することを決めた。

大阪市教委は、6段以下でも危ないとして禁止に

論議のきっかけは、2019年5月29日ごろにツイッター上で、「保護者から不安の声が出ている」といった内容の7段ピラミッドなどへの疑問が出たことだ。ツイート主は、リツイートによる投稿の拡散を求め、様々な意見が寄せられた。

「ピラミッドやタワーを作らずして、今の組体操の醍醐味は何なんだろうか」「伝統壊すのはあんまり好きじゃない」などと擁護する向きもあったが、疑問や批判の方が多かった。「7段ピラミッドは流石に危ない」「まだこんな危険で無駄な事やらせてんのか」「取り返しがつかないことになる前にやめるべき」といった声が次々に寄せられた。

東大阪市教委の学校教育推進室に30日、J-CASTニュースが取材すると、7段ピラミッドについては、6月1、2日の土日に運動会を行う19校のうち、3校が予定していることを明らかにした。うち1校は、4段タワーも予定しているという。

組体操を巡っては、ピラミッドが崩れるなどしてケガをする事例が多数報告されている。中には死亡事故もあり、スポーツ庁は2016年3月、安全な状態でなければ実施しないよう各自治体に通知した。

そんな中で、組体操は16年度には前年度までより半分も減り、ピラミッドなどは7割も減ったことが、日本スポーツ振興センターなどの調べで分かった。ピラミッドなどを禁じる自治体も出てきており、大阪市教委は同年2月、6段以下でも骨折などする児童が相次いでいるとして、17年度から禁止に踏み切っている。

東大阪市教委は「推奨していない」と言うが...

東大阪市教委でも、組体操について、「安全上問題ないとは考えておらず、推奨するものではありません」と学校教育推進室の担当者が取材に答えた。

スポーツ庁の通知を送ったり、校長連絡会で危険性を伝えたりしているという。今回の運動会に当たっては、保護者から「危険度の高い技はやらないで」といった要望が数件あったそうだ。

ただ、禁止はしておらず、ほとんどの学校で組体操を行っているといい、「子供たちの実情に応じて、内容を考えて下さいと各校に伝えています」とした。組体操を行う学校には、安全についての書類を出してもらい、各校では、地面にマットを敷いたり、補助する教職員を付けたりするなどの対策をしているという。

7段ピラミッドを予定していた3校について取材すると、うち1校が「職員で打ち合わせをした結果、中止を決めました」と明かした。

「初めて取り組みましたが、これまでの練習を見て、安全に実施できる状態ではないと判断しました。それは、ピラミッドが安定して組めなかったということです。『地域の人は怒っている』と保護者にはいない名前の人から電話はありましたが、そのことと中止とは関係ありません」

別の1校は、7段ピラミッドを長く続けており、今回も予定通り行うと取材に答えた。

「集団作りの効果はあり、意義深いと考えています。安全面は最重要課題で、教員が補助に入って崩れないようにしたりするなど、細心の注意を払っています。過去に骨折などのケガをした子供はいませんし、保護者からの異論も聞いていません。今回から組体操にダンスを採り入れるなどしており、難易度を下げながら今後ともやっていきたいと思っています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)