PCやスマホだけでなく、テレビや生活家電に至るまで、中国メーカーの躍進が止まりません。かつて、中国製品は「安かろう悪かろう」の代名詞的存在でしたが、現在は「安くて良い」を地で行くのです。今回は、そんないま注目すべき中国メーカーたちを徹底的に解説します。

 

中国はIT・スマホ先進国であり、そしてキャッシュレス先進国でもあります。ここでは、現地事情に詳しいジャーナリスト2人に、日本未上陸ながら絶対に押さえておくべき製品やサービスを、3つずつ選んで紹介してもらいました。

 

ITライター・山根康宏さん注目のモノ!

 

ITライター

山根康宏さん

1998年より香港在住。中国や海外の通信事情に精通。一年の約半分を海外取材に当てる。

 

大手にはできない特徴を持つ中国の未知なるスマホが熱い

中国のスマホメーカーが快進撃を続けています。スマホ出荷台数でAppleを抜いたファーウェイに加え、XiaomiやOPPOも年々シェアを拡大。2018年第3四半期の出荷台数番付では、この3社がトップ5入りしました。

 

一方、本国中国では、それら大手に負けじと、海外ではまだ知名度の低い二番手メーカーやスタートアップ企業が、これまでにない新しいスマホを開発しています。

 

昨年秋に世界初のフォルダブルスマホ「FlexPai」を発表したRoyoleは薄さ0.01mmの超薄型ディスプレイを開発したメーカー。Tシャツや帽子にディスプレイを埋め込んだ製品を開発、その応用として「曲がるスマホ」をいち早く製品化し、世界中から大きな注目を集めました。

 

Nubiaは中国通信機器大手ZTEが展開する高級ブランド。ZTEと差別化した高性能スマホに特化していて、18年には表も裏もカラー画面のスマホ「Nubia X」を発売し、中国で人気を集めました。今年1月発表の「Nubia α」は腕時計型として世界初のスマホ。Apple Watchなどのスマートウオッチと違い、スマホのアプリがそのまま使えます。同社はほかにもモバイルゲームに特化したハイスペックスマホを開発するなど、ニッチだが面白いスマホを次々と送り出しています。

 

スマホユーザーがこれだけ増えると、様々なニーズが生まれてきます。洋服やクルマと同様に、スマホの世界にも高級品があってしかるべきです。Everest Mobileは、セレブも納得する高級素材と美しい仕上げのスマホブランド「8848」を立ち上げ、高価格な製品のみを開発しています。コスト度外視で作り上げた製品は、手に持ってみると肌ざわりからして大量生産品の一般的なスマホとはまったく異なります。サファイアガラスのディスプレイ表面は保護フィルムも不要です。高級スマホは過去にも数社が手掛けていましたが、それらは市場から撤退。8848ブランドは、経済がイケイケな中国に特化し、唯一成功を収めています。中東などからの引き合いもあり、今後も富裕層だけをターゲットに市場展開していく予定です。

 

中国には、まだ日本で知られていない注目メーカーが数多く存在します。単純にスペックを競い合うだけではなく、新しいアイデアを次々と製品化してしまうのはモノづくりのスピードが速い中国ならではです。いずれ日本にも、これらの製品がやってくるかもしれません。

 

【その1】世界初! 画面が折れ曲がるフォルダブルスマホ

【スマホ】

Royole

FlexPai

1318ドル〜(約14万6790円)

 

開けばタブレット、閉じればスマホという画期的アイテム。7.8インチの画面を自由に曲げることができ、満員電車の中、カフェで座っているときなど、利用シーンに応じて変形させて使えます。次世代デザインのスマホです。

 

↑わずか0.01mmの薄いディスプレイを開発し、世界初の“曲げられるスマホ”を実現しました。同社の優れた技術力には、今後も要注目です

 

【その2】AppleWatchを超えた!! スマホ機能全搭載の腕時計

【スマホ】

Nubia

Nubia α

449ユーロ〜(約5万6160円)

 

4インチの縦長ディスプレイ搭載の腕時計型スマホ。フレキシブルOLED(有機ELディスプレイ)を採用し、バンド部分まで液晶画面になっています。搭載カメラの上で指先を動かすだけで、画面に触れずに操作が可能。

 

↑500万画素カメラを搭載し、縦長ディスプレイでの動画再生も可能。指先を左右に振るだけの非タッチ操作も、思いのほか快適に行えます

 

【その3】中国セレブたち御用達の質感にこだわった高級モデル

【スマホ】

Everest Mobile

8848 M5

9999元〜(約16万5780円)

 

20万円超えモデルも展開する8848ブランドの、中国セレブ向け超高級スマホ。本体には18金や本革を惜しげもなく使用。背面の円形ディスプレイは時計や通知表示が可能なほか、ここから電話の発着信もできます。

 

↑背面のディスプレイには高級腕時計のようなフェイスをカスタマイズ可能。本革仕上げと相まって、“裏側も魅せる”デザインは溜め息モノです

 

ITライター・山谷剛史さん注目の未上陸サービス!

 

ITライター

山谷剛史さん

2002年より中国などアジア地域を中心とした海外IT事情を執筆。中国のネット事情に精通。

 

キャッシュレス先進国はデリバリー先進国へ

中国のインターネット環境は一部閉ざされ、GoogleやTwitter、Facebookなどのサービスが利用できません。その代わりに”中国版Twitter”とも言われる微博(Weibo)などの類似サービスが登場し、独自に発展してきました。

 

また、魅力的な端末展開やサービスでスマホが普及し、キャッシュレスが世界で最も早く浸透。QRコードを使うテンセントのWeChat Payや、アリババ系のアリペイによってスマホひとつでどこでも支払いが可能となり、中国のインターネット環境は新たなステージに突入しました。

 

中国の都市部ではいまやどんな小さな店もキャッシュレス対応していますが、スマホ決済の恩恵はほかにもあります。自転車やモバイルバッテリーなど、様々なモノがスマホを使ってその場でレンタル可能になったのです。レンタルの際は返さない場合に備えデポジット(預かり金)を取るのが定石ですが、アリペイはここに信用スコア(※)を導入。信用スコアが高ければレンタル時にデポジット不要となりました。

 

さらに中国では、実験的な無人店舗や自動販売機が続々と登場。これら新サービスの利用を容易にしたのが中国IT大手、テンセントのWeChatの機能である「ミニプログラム」です。これを使うと新規にアプリを入れずにサービスを利用できます。

 

中国にはシェアサイクルサービスも無人店舗も多数存在します。新しい無人店舗を見つけて利用しようとしたときに、新たにアプリを入れる手間がなければハードルは一気に下がります。なお、WeChatほどではないですがアリペイにもミニプログラムはあります。キャッシュレスとミニプログラムは中国の生活を大きく変えたと言えます。

 

キャッシュレスの恩恵を受けた企業はアリババやテンセントだけではありません。リアルショップのクーポンやデリバリーに圧倒的に強い美団(メイトゥアン)も多大な恩恵を受けました。アプリ「美団」を使うことで中国全土で食事や生鮮食品のデリバリーやクーポン購入が容易になり、中国では3億4000万人が美団を利用しています。無数の運び屋のライダーが、名店の料理から市場の野菜まで様々なモノを運んでくれて便利です。

 

これに対しアリババやテンセントは、中国各地の有力スーパーから30分以内、1時間以内という爆速配達で対抗。中国全土の都市部は、なんでもすぐにデリバリーされる生活環境へと変化しています。

 

※:「信用スコア」とは個人ごとの信用を数値化したもの。信用はその人の学歴、職歴、資産、人脈や性格などの情報をAIが分析し、得点化します。例えばアメリカでは、信用スコアはローンやクレジットカードの審査のみならず、就職や結婚などにも影響すると言われます

 

【その1】 新たにアプリを入れずに“アプリ”が利用できる!

【チャットアプリ内プログラム】

テンセント

WeChatミニプログラム

 

WeChatアプリ内で起動するプログラム。QRコード読み取りやリンクのタップだけで起動し、ゲームや外食サービスの利用、モバイルショッピングなどがインストールやユーザー登録の手間なく行えます。利用者数は7億人以上。

 

↑ミニプログラムで利用できるサービスには、シェアサイクルや無人店舗の決済などもあります。利用料金は微信支付(WeChat Pay)で支払います

 

【その2】キャッシュレスのみならず独創的フィンテックが多数

【QR・バーコード決済サービス】

アントフィナンシャル

アリペイ

 

QRコードを使った、中国のモバイル決済シェアの約54%を占める世界最大の決済サービス。いまやキャッシュレス決済にとどまらず、受け取った電子マネーを使った資金運用や各種保険など、様々なサービスを提供しています。

 

↑サービスのひとつ「芝麻信用」は、アリペイ会員の資産や行動などから信用スコアを測定。スコアが高いとローン金利優遇などが受けられます

 

【その3】 食事も市場の野菜もなんでもデリバリー!

【フード配送サービス】

美団点評社

美団(メイトゥアン)

 

フードデリバリーを中心とする配送サービス。UberEatsのようにライダーが食事を運び、コンビニや市場などの商品も届けてくれます。大都市はもちろん、地方の小都市にまでライダーがいて、中国全土でサービスが浸透しています。

 

↑美団はデリバリー以外に映画チケットやレストランの特売チケットの販売サービスも展開。繁華街やモールで遊ぶには必須のアプリです