Richard West博士が率いるウォリック大学の天文・天体物理学グループが、恒星からの強い照射を受ける「ネプチュニア砂漠」と呼ばれる領域の中で、海王星よりも小さく、地球の約3倍大きい惑星を発見しました。通常、ネプチュニア砂漠では、高温照射により惑星は表面のガスが蒸発してしまい岩石の核部分だけが残ってしまうのですが、新しく発見された惑星はガスを表面に留めたままネプチュニア砂漠に存在するという、非常に珍しい惑星だそうです。

NGTS-4b: A sub-Neptune transiting in the desert | Monthly Notices of the Royal Astronomical Society | Oxford Academic

https://academic.oup.com/mnras/article/486/4/5094/5475662

The 'Forbidden' planet has been found in the 'Neptunian Desert'

https://phys.org/news/2019-05-forbidden-planet-neptunian.html



ネプチュニア砂漠の中で研究グループが発見した惑星の正式名称は「NGTS-4b」で、研究者たちからは「禁断の惑星」とも呼ばれています。禁断の惑星は、チリのアタカマ砂漠の中心部分にあるパラナル天文台が「太陽系外惑星探索」の目的で行っている「Next-Generation Transit Survey(NGTS:次世代トランジットサーベイ)」により観測されました。NGTS-4bの観測には、ウォリック大学以外にジュネーブ天文台やドイツ航空宇宙センター、チリ大学、クイーンズ大学ベルファスト校が携わっています。

海王星よりも小さく、地球よりも3倍大きいというNGTS-4bは、地球の質量の20倍の質量を持っており、海王星よりも半径が20%短いという惑星です。表面温度は摂氏1000度で、わずか1.3日で恒星を周回します。NGTS-4bが「禁断の惑星」と呼ばれる理由は、この惑星が存在する場所、つまりはネプチュニア砂漠にあります。

ネプチュニア砂漠は海王星ほどの大きさの惑星が見つからないエリアと認識されていました。その理由はネプチュニア砂漠が恒星から強い照射を受けていることにあります。同エリアに惑星が存在しても、高温の照射により惑星表面のガスが蒸発してしまい、岩石の核だけを残すことになるからです。しかし、NGTS-4bはネプチュニア砂漠に存在しながら、地表にガスを保ったままであり、それ故「禁断の惑星」と呼ばれている模様。なお、NGTS-4bはネプチュニア砂漠で発見された最初の太陽系外惑星です。



まだ観測されていない新しい惑星を探す場合、天文学者たちは星の光の減少(減光)を探します。この減光は、天体を惑星が周回することで、光が遮られた瞬間を観測したものと考えられています。通常、地球上からは1%程度の減光しか捉えることができないのですが、パラナル天文台のNGTSでは0.2%までの減光を観測可能であり、その結果多くの新しい惑星を発見することにつながっています。

研究者たちは「本来海王星サイズの惑星が存在しないはず」のネプチュニア砂漠にNGTS-4bが存在する理由について、「過去100万年以内のごく最近になってネプチュニア砂漠に移動してきたためかもしれない」あるいは「NGTS-4bの大気は非常に多く、まだ熱により蒸発している最中なのかもしれない」としています。

なお、研究に参加したウォリック大学物理学科のRichard West博士は、「この惑星はタフでなければいけません。なぜなら、海王星サイズの惑星では存在できないと予想されていたエリアに存在するからです。0.2%以下の減光から惑星の存在を見つけることができたということは、本当に驚くべきことだ。これまでの天体望遠鏡ではこのようなことは不可能でした」と語っています。

加えて、研究チームはさらなる惑星をネプチュニア砂漠で見つけることができるかどうかを調べるために、これまでのデータを精査している段階だそうです。