いまのクルマは車検証に記載された数値プラス5dBまでならOK

 年々厳しくなるクルマの騒音規制。じつは2018年の11月から、新車時の近接排気騒音が車種毎に定められた一定の値を超えるクルマに純正以外のマフラー=「交換用マフラー」を備える場合、新車時の騒音から悪化しないことを確認する相対値規制が導入されているのはご存じだろうか?

 国土交通省のホームページ(http://www.mlit.go.jp/common/001263315.pdf)によると乗用車の新車時の騒音の上限は

・車両後部にエンジンを有するもの(MR・RR):95dB
・車両後部にエンジンを有するもの以外のもの(FF・FR、フロントエンジンの4WD):91dB

 となっている。つまり新車時はどんなに音が大きいクルマでも、リヤエンジン車が95dB以下、それ以外のエンジン搭載位置車は91dB以下の音量しか出ていない。

 そして、平成28年騒音規制では、これに「新車時の近接排気騒音(車検証等に記載)に5dB を加えた値以下であること」という条件が付く。

 つまり具体的には、車検証に記載された新車時の近接排気騒音が92dBのクルマなら、アフターパーツのマフラーをつけても、92dB+5dB=97dBまではOK。

 しかし、たとえばFF車で、新車時の近接排気騒音が85dBのクルマだと、上限は90dBとなる。従って、こうしたもともと静かなクルマの場合、マフラーを交換しても国土交通省が定めた一定値の91dBまで音が出てはダメ、より小さくなければNGということだ。

「えっ、ちょっと待って。自分のクルマの車検証には、新車時の近接騒音の数値なんて書いてないけど……」という人はどうなるのか?

平成28年以前のクルマの騒音の上限はこれまでどおり

 国土交通省 自動車局 環境政策課に確認してみたところ、上記の新しい「交換用マフラー」への規制の対象となるのは、平成28年規制が適用されるクルマだけとのこと。これらのクルマの車検証には、備考欄に「平成28年騒音規制車 近接騒音値●●dB」と書かれているので、その数字+5dBまでが、保安基準の上限になる。

 一方、平成28年騒音規制に当てはまらない、それ以前のクルマの場合、純正マフラー、アフターパーツのマフラーを問わず、近接騒音の上限はこれまでどおり。

 フロントエンジンの乗用車なら、平成10年・平成11年規制のクルマは、96dBまで。平成元年規制のクルマは、103dBまでというルールになっている。

 というわけで、平成28年規制に引っ掛からない、少し古いクルマなら、これまでどおりの基準の車検対応マフラーなら今後も車検の心配はない(平成22年4月1日以降に生産されたクルマの社外品マフラーには、「性能等確認済表示」が必要)。

 とはいえ、マフラーも消耗品で経年劣化によって消音性能も低下する(新しい規制のプラス5dBの幅も、それを見越しての数字だと思われる)。

 古いスポーツマフラーをつけている人は、念のため車検前には音量を計り、保安基準の範囲内かどうかしっかり確認しておこう。