イタリア戦で攻守両面に異彩を放ったU-20代表MF齊藤(10番)。ノックアウトラウンドでも頼れる主将の奮起に期待だ。(C)REUTERS/AFLO

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 あと一歩まで追い詰めながら、イタリアの堅陣を崩せなかった。
 
 現地時間5月29日、ポーランドで開催中のU-20ワールドカップ・グループリーグ第3戦が行なわれ、U-20日本代表はB組首位の座を賭けて強豪イタリアと対戦した。
 
 立ち上がりから鋭い出足でプレッシャーを掛け続け、主導権を握った日本は、開始11分にPKの絶好機を得るもMF伊藤洋輝のショットは相手GKのファインセーブに阻まれる。その後、FW田川亨介が負傷退場する緊急事態にも、交代で入ったFW中村敬斗が補って余りあるプレーを披露。守っては高さと強さを兼備するCB三國ケネディエブスを軸にイタリアのカウンターを封じ、得点を許さなかった。
 
 後半はややスローダウンしたものの、影山ジャパンは勝利を目ざして積極果敢にイタリア陣内へと踏み出した。明らかに引き分け狙いに切り替えた首位チームに対して、クールにもエネルギッシュに攻め立てたが、最後までゴールは割れずにスコアレスドローで終了。グループ2位で、ラウンド・オブ16に駒を進めた。
 
 そんな若きサムライの戦いぶりを称えたのは、対戦国イタリアの全国スポーツ紙『Gazzetta dello Sport』だ。速報コーナーで以下のようにレポートしている。
 
「アッズリーニは圧巻のスタートを切った日本の動きに面を食らった。コルネセッキ(GK)のPKブロックがなければ過酷な展開を強いられていただろう。実に危なかった。その後もイタリアは自陣に閉じ込められる時間帯が続き、勇敢なるジャポネーゼの厳しいプレスに晒され続けたのである」

 
「日本の“巣”を攻略せんとイタリアはゴーリ(FW)を前面に押し立てて速攻を仕掛けたが、日本はディフェンスの強度も十分で、連動性も高い。奪ってからのカウンターがスムーズで、イタリアの守備陣はエリア内で人垣を作らざるを得なかった」
 
「後半になっても、日本は息苦しさを感じさせるほどの圧力を絶やさなかった。イタリアは相変わらず敵陣にボールを運べず、倒される場面も少なくない。だが守備においては集中力が途切れることはなかった。後半は取り立ててゴールチャンスを与えなかったのだから」
 
 このように日本の健闘を持ち上げつつも、最終的に同紙は若きアッズーリの“逃げ切り成功”に賛辞を贈っている。第2戦のエクアドル戦から先発9名を入れ替えた「リザーブチーム」ながら、最低限のノルマを達成した点を評価した。
 
 惜しくも首位通過はならなかった日本だが、激戦区のB組を1勝2分けの無敗で乗り切ったのは見事だ。ベスト16の相手は、アルゼンチン、韓国、ポルトガル、南アフリカが同居するF組の2位チーム(5月31日に確定)。ノックアウトラウンドの初戦は中5日、現地時間6月4日にキックオフされる。
 
構成●サッカーダイジェストWeb編集部