6年ぶりにフルモデルチェンジした日産デイズハイウェイスター。今、人気の「ゴツ顔」軽自動車だ

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第1位「日産デイズハイウェイスター」6年ぶりにフルモデルチェンジした日産デイズ。今回のモデルではエンジンを完全新設計している

オラオラ系の顔面を持つ軽自動車が超激アツだ。ということで、自動車ジャーナリストの塩見サトシが独断と偏見で最強カーを勝手に選んだ!

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第1位 日産 デイズハイウェイスター 
第2位 三菱 eKクロス 
第3位 ダイハツ タントカスタム

編集部に「ゴツ顔ランキングなので便宜上順位をつけてください」と言われたから順位をつけたが、日産デイズハイウェイスターと三菱eKクロスは同じ工場の同じラインで生産される双子車。実質は両車びんびんの1位タイだ!

軽自動車のゴツ顔は、2013年に登場したダイハツ・タント カスタム、17年に登場したスズキのワゴンRスティングレーとスペーシア カスタムあたりで、行き着くところまで行き着いた。タント カスタムはテトリスみたいな巨大凸形デザインを取り入れ、スペーシア カスタムは顔のほとんどがグリルで、まるで魚眼レンズで写したようなデザインに。

今回、久々にブランニューモデル投入となった日産三菱連合は、スズキ、ダイハツに負けてなるものか!と、デイズとeKワゴンにいわゆるカスタムを設定。それぞれなかなかエグいゴツ顔だ。


第2位「三菱 eKクロス」こちらも6年ぶりの大改良となった三菱eK。そして今回、新設定されたのがSUVテイストなeKクロスだ

けれどわざわざゴツ顔にしてやろうという意図はないというのがデザイナーの主張。

「広さを確保するため規格いっぱいの寸法でそろっている軽自動車で差別化を図るには、顔で存在感を示すしかありません。限られた前面投影面積で存在感を出すために中央から四方に伸びるラインをデザインの基本とし、その上でディテールを描いたのがeKクロスのデザインです」

とは、三菱の大石聖二デザインプログラムマネージャーの弁。

中央部を起点に伸びやかなデザインとするため、軽自動車としては珍しくナンバープレートを中央に配置しているのだそう。われわれは面白がってゴツ顔とはやし立てるが、要するに顔しかデザインできる余地がないのだ。

さて、それぞれの先代がそうであったように、デイズおよびeKシリーズは日産と三菱が出資し合った合弁企業のNMKVによる開発だ。それぞれ個性的な顔つきをしているが、物理的には互いの顔を取り替えることができるという。

それ以外の部分、例えば動力性能や装備、快適性などは同じと考えて問題ない。ここでは代表してターボエンジンを搭載するeKクロスTの印象を報告する。

現在、スズキ、ダイハツ、ホンダ、そして日産三菱連合の4勢力が軽自動車を生産しているが、転機はホンダが2011年に発売したN−BOXだった。

軽自動車の品質、具体的にはボディ剛性、居住性、内外装の質感、各種安全装備などのレベルを一気に引き上げたのだ。その分価格も上がり、今では軽自動車はリッターカーよりも高価な贅沢(ぜいたく)コンパクトカーとなったが。

そして残る3勢力も順次N−BOXレベルに達するが、17年にモデルチェンジした現行N−BOXがさらに高品質に......というのが最新の軽自動車のレベルで、今回、高速道路と一般道でeKクロスに試乗し動力性能、乗り心地、室内の広さ、使い勝手などを総合すると、現行N−BOXと同等レベルだ。

さらに全車速ACC(アダプティブクルーズコントロール)と車線中央維持装置を組み合わせた「マイパイロット」(デイズには「プロパイロット」が備わる)を装備することで、渋滞を含む高速道路での快適性において、他社を明確に一歩リード。軽自動車の戦いは新章に突入した!


第3位「ダイハツ タント カスタム」現行タントは2013年に誕生。すでに約5年の時が経過し、チマタではフルチェンジの噂も出ている

●塩見サトシ 
1972年生まれ、岡山県出身。関西学院大学文学部卒業。1995年に山陽新聞社入社。『ベストカー』編集部を経て、04年に二玄社『NAVI』編集部に入社。09年『NAVI』編集長に就任。11年に独立。執筆媒体多数。ラジオやイベントの司会なども手がける。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。公式Twitter【@Satoshi_Bagnole】

取材・文/塩見サトシ 撮影/本田雄士 週プレ編集部 写真協力/ダイハツ工業