LMは定員を4名としミニバンの概念を打ち壊すほどの豪華さ

 今回の上海ショーの大きな話題のひとつが、レクサスブランド初となるミニバン「LM」のワールドプレミア。アルファード系をベースに乗車定員を4名、後席を2名乗車としアルファード系よりさらに豪華な内装になっているのがウリだ。

 しかし、筆者の記憶が正しければ、レクサス店が日本で開業した時の取材では、ミニバンには否定的でレクサスブランドとしてはラインアップしないような話を聞いたことがあるが……。開業当時はFRセダンのみであったが、FFベースのSUVや、いまではFFのESが売れ筋モデルの1台となっており、いまでは「レクサスブランドとは」というような考え方も、かなり拡大解釈されているようにも見える。

 ちなみに開業当初は否定的だった「レクサスタクシー」も広く見かけるようになっている。ミニバンが登場したのだから、次はいよいよハイエース スーパーGLをベースとした、ブランド初の商用車がデビューするかもしれない。

 さて話をLMに戻そう。後席を2名乗車に絞り、豪華なシートと前席との間に大型モニターを配置するなど、量販レベルではいままでのミニバンの概念を打ち壊すようなものとなっている。これはレクサスのオリジナルの発想かと思っていたが、会場で気になるものを発見した。

LMと同じコンセプトのクルマを展示するブースが存在した

 超高級車やスーパーカーブランドブースが集まる展示棟には、ミニバンをカスタマイズする業者もブースを構えていたのだが、そのなかでアルファードをベースに、まさにLMのように、乗車定員を4名にした贅沢モデルを展示するブースが存在していたのだ。

 モーターショーのタイミングでアルファードをベースにカスタマイズしているので、LMの情報が事前にリークされ、その発想を「パクった」というのは少々考えにくい。しかも見た目は似ているものの、全体の質感はやはりレクサスに分があるようだ。

 出展ブースがあるということは、富裕層の反応も良くおいしい商売になっているともいえる。そこでレクサスがこのようなカスタマイズショップの動きを把握し、「それじゃ本家でもやってみるか」と今回開発したとも考えられるが、そこら辺は定かではない。レクサスとカスタマイズショップで着眼点がたまたま同じになったのかもしれない。

 中国も含めてアジアの富裕層というのは、想像を超えるほどのお金持ちであり、自分が満足できるものを所有するのには、金額は気にしないという消費行動をとるのである。

 多くの日系ブランドはミニバンばかりラインアップするなかで、日系ブランドの頂点とレクサスを考えれば、いままでレクサスブランドにミニバンがなかったこと自体がおかしいともいう話も聞く。

 今後はエスクァイアベースで、LMの弟分あたりをリリースすれば、大ヒットも夢ではないかもしれない。