iPhoneのパフォーマンスに影響するiOSアップデートは事前に告知、アップルが誓約
アップルは英競争・市場庁(CMA)に対して、iOSのアップデートがiPhoneの処理速度を著しく遅くしたり、バッテリーの寿命に影響を与える可能性がある場合は、事前にユーザーに知らせることを約束しました。2017年末、アップルはRedditのユーザーやGeekbenchの報告を受けて、バッテリーが劣化した古いiPhoneを意図的に遅い状態で動作させていることを認めました。

その後アップルは「速度制限は突然の電源断を防ぐための仕組みとして導入したが、説明が不足していた」と謝罪。さらにバッテリー交換を通常は79ドル(8800円)のところを2018年12月までの期間限定で29ドル(3200円)に値下げし、1100万台のバッテリーを交換したと発表。ソフトウェア的にもiOS 11.3以降は「バッテリーの状態」項目を設け、ユーザーが「パフォーマンス管理機能」(低速化)をオフにできるよう変更しています。

CMAは本問題の発生当時に、アップルの慣行の一部が消費者法に違反している可能性があるとして、本問題を調査。その結果、ソフトウェア(iOS)のアップデートによってデバイスが低速化していると知らなかった人々が、iPhoneを修理または交換しようとした可能性があるとの懸念を述べていました。

英国政府は公式ブログにて、アップルがCMAとの誓約書にサインしたことを表明。CMAのサイトには「消費者法の遵守を確実とするため、アップルは同社の電話(iPhone)のバッテリーの健全性とパフォーマンス管理ソフトウェアが及ぼす影響について、人々に提供する情報を改善することに正式に同意しました」と告知されています。

アップルのティム・クックCEOは、2019年第1四半期(2018年10月〜12月)のiPhone買い替え需要が不振だった原因の1つとして、上記のバッテリー値下げ交換プログラムを挙げていました。1年以上も続いたiPhone低速化問題の波紋に、ようやく1つのピリオドが打たれたと言えそうです。