あなたの周りにいるやっかいな人を理解するにはどうすればよいでしょうか。写真はイメージ(写真:studio-sonic/PIXTA)

あなたの身近に「自分の置かれている状況がわかっていない」「言動や思考の筋が通っていない」「自分にとって最善ではない決断をする、またはそのような行動をとる」「まわりの人が理屈で言い聞かせても、どうにもならない」など、はたから見ると理解不能な人はいないだろうか?

また、YouTubeやTwitterなどインターネットで不適切な行いをする人々を理解するのに苦しむこともあるのではないだろうか?

「全米トップ精神科医」(アメリカ消費者調査評議会の選定)であるマーク・ゴールストン氏の著書『身近にいる「やっかいな人」から身を守る方法 /レッカー由佳子(監修)、室粼育美 (翻訳)』では、このような人たちから身を守る方法を具体的に解説している。

今回は、その前提となる「やっかいな人」の精神の働きと原因、そして、解決するための心構えをこちらの書籍を要約してお伝えしよう。

脳のズレから人は理性を失っていく

まずは、やっかいな人を理解するために、精神がどのように機能し、どのようにおかしくなっていくのかを簡単に説明する。まず、心で感じていると思っているものは、じつは三層の脳の働きによるものだ。これらの層はつながっているが、各層はそれぞれの機能を持っている。

ときどき、お互いと争うこともあるし、精神的に疲れているときは各部分がつながらなくなる。極度のストレスがかかると、三層はそれぞれとのつながりを断つのだ。そして、このときに生じた脳のズレから、人は理性を失い、異常な思考にはまっていく。

三層の脳とその働きは次のとおりだ。

 ’彰 …… 脳のいちばん奥ある最も古い脳。生命維持の機能を担っている。

◆‖臟省娜鏃 …… 脳幹の上を覆うように、脳の真ん中にある。感情を司る。

 大脳皮質 …… 脳の表面を覆っている。三層のなかで最も進化した部分で、この働きにより賢明な判断をしたり、予定を立てたり、衝動を抑制したりする。

人はこれらの三層を持って生まれ、これらの脳の部分は、それぞれ異なった段階で発達し、古い層を覆っている。恵まれた環境で育つと、この三層は時とともに健全な形で、生存本能、感情、および論理的思考をバランスよく成長させる。バランスが保たれていると、三層はそれぞれ機能すべきときに機能し、お互いをうまく支え合うことができる。

その際、最も進化した脳が主導権を握るのだ。このおかげで、人はある状況に何らかの方法でアプローチすることができる。その状況が変化しても、三層の脳は連携を解除して、新しい現実に合わせて脳を再調整し、前とは異なった方法で対処できるようになる。人は順応性と困難な状況から回復する力を持っているのだ。

しかし、幼年期の苦い経験により、三層の脳が健全ではない働きかたをしていることもある。そのような働きかたをしている三層の脳は、直面している目の前の現実とは異なる状況に合わせようとする。そのため、現在の状況でまったく筋の通らない思考にとらわれ、将来に起こる変化を正確に処理できなくなる。その結果、つねに理不尽な言動をとるのだ。

幼年期にどう育てられたかでやっかいな状態になる

では三層の脳が健全ではない働きかたをしてしまう異常さは、幼年期のどのように心に刻まれてしまうのか。そのやっかいな状態になってしまう道は次の3通り。それを紹介しよう。

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しょっちゅう泣いたり、周囲の人を思いどおりに操ろうとしたり、些細な仕事に対していちいち褒め言葉を求めたりする人が身のまわりにいるだろう。たいてい、このような人たちが、やっかいな人になる道をたどる。世の中は子どもたちを特別扱いしないので、過保護に育った子どもたちは失敗しやすい人間になるのだ。甘やかされた人の多くは、「私のために、だれかが動いてくれる」というような誤った思考になる。

自分で手に入れたわけでもないのに、お膳立てしてもらった成功や幸福を、当然のことのように思う。また、このような人たちは依存的な行動をとりやすい。問題を解決しようと努めるのではなく、憂うつな気分から逃れようとするのだ。

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怒鳴りながら相手をなじる人と、関わることがあるだろうか? こういうタイプはたいてい小さいころ、励ましてもらうかわりに批判ばかりを受けた人たちだ。結果として、心に受けた傷が怒りへと形を変えて発展していったのだ。批判につねに耐えてきた子どもは、復讐のため、周囲の大人に恥をかかせるような行動をとる若者へと成長する。

また、さまざまな方法で自分たちの怒りを発散させる場合もある。将来、このような若者たちが障害にぶつかると、たいていは「自分は被害者だ」と思い、他人を責めるようになる。人を非難することしか教えられていないのだから、当然だ。

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こちらの提案に対して「うまくいかないだろう」と、はなから後ろ向きな人は、ほったらかされて育った可能性が高い。


子どもがあることを達成したとき、後ろを振り返ってみても、関心を示してくれる大人がいなかったり、あるいは子どもが落ちこんだとき、大人たちが自分の関心や問題で精一杯だったりすると、子どもは恐怖心を抱き、恐怖のなかで自分は独りぼっちだと気づく。

このような経験によって、子どもは悲観的かつ絶望的、そして「どうせ何もうまくいかない」という考えかたをする人間になるのだ。

チャレンジすることも、つまずいて痛い思いをすることも怖れて成長し、子ども時代に体験した、恐怖のなかの孤独感を再び味わうことを怖がるのだ。このタイプの人は「失敗するなら何もしないほうがマシ」という、やっかいな思考になるのだ。

健全な精神への道は、1つだけ

では、こういった“やっかいな人”には、どう対処するべきなのか、それは1つしかない。相手の「心の支え」になってあげることだ。最も健全な精神の持ち主を思い浮かべてほしい。落ち着いていて、賢く、理性的で、親切な人を。私の経験では、このような人はたいてい、ある幼年期を経て強く、苦難に負けない人になっている。このような人は幸せだ。

メンターである大人たちから教えられ、導かれてきた。大人たちはもちろん完璧ではなかったが、いわゆる「子どもの成長の糧になるもの」を与えてくれたのだ。このようなメンターが身近にいると、子どもたちは安心感と自信とともに成長していく。

その結果、強い精神が育つのだ。新たな挑戦にも、「大丈夫だ、できる」と思える。心のなかに、慕っているメンターの支えがあるからだ。もちろん、このような人たちでさえも、異常な行動をとることがある。しかし、だれだってそうであるように、それは一時的なもので、ずっとそのように生きるわけではない。支えてくれる親がいなくても、落ちこまなくていい。いいコーチ、教師、メンターに恵まれれば、健全なものの見かたに変えてくれることもある。

あなたにとって「やっかいな人」は理解しがたいかもしれない。しかし、上記のような幼少期の背景が潜んでいる場合が多い。「やっかいな人」の心の支えになることは難しくても、こうした背景や心理テクニックを知っておくことで、どんな環境でも冷静になり、楽に生きることはできるのだ。正しい選択をすることができるのだ!