3歳牡馬クラシックの第2弾、GI日本ダービー(東京・芝2400m)がいよいよ5月26日に行なわれる。

 牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)では、断然人気のサートゥルナーリア(牡3歳/父ロードカナロア)が優勝。年末のGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)以来となる異例のローテーションを物ともせず、無敗で一冠目も手にした。


皐月賞はサートゥルナーリアが人気に応えて勝利した

 そして、2着に4番人気のヴェロックス(牡3歳/父ジャスタウェイ)、3着には3番人気のダノンキングリー(牡3歳/父ディープインパクト)が僅差で入線。人気馬がしっかりと結果を残した。一方、2番人気のアドマイヤマーズ(牡3歳/父ダイワメジャー)は4着に敗れたものの、その後にGINHKマイルC(5月5日/東京・芝1600m)を制して、2歳王者の強さをあらためて示した。

 また、ダービーのトライアルおよび前哨戦では、GII青葉賞(4月27日/東京・芝2400m)をリオンリオン(牡3歳/父ルーラーシップ)が勝利し、GII京都新聞杯(5月4日/京都・芝2200m)はレッドジェニアル(牡3歳/父キングカメハメハ)が制した。なお、天候不良による開催中止を受けて1週遅れで行なわれたオープン特別のプリンシパルS(5月12日/東京・芝2000m)は、ザダル(牡3歳/父トーセンラー)が勝って3連勝を飾ったが、同馬はダービー出走を回避することになった。

 これらの結果を踏まえて、日本ダービーに向かう3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシック、すなわち今回はダービーに挑む3歳牡馬の実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。


 1位は、4連勝で皐月賞を制したサートゥルナーリア。第1回から首位の座をキープしてきたが、今回初めて満票となる25ポイントを獲得した。はたして、無敗のダービー馬誕生となるのか、期待は膨らむ。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「皐月賞はそれまでの少頭数のレースと違って、18頭立ての12番枠発走。テンから速いラップが刻まれる流れとなったため、中団の外を回る競馬となりました。そして、中盤以降は緩急のつく展開となりましたが、ラスト3ハロンのラップは11秒7、11秒6、11秒4。スタミナ色があるとはいえ、舞台や流れを踏まえれば、この加速ラップの価値は高いです。外を回りながら1分58秒1で駆け抜けた脚は、着差以上の強さを示した、と言ってもいいでしょう。

 ただ、左ムチを打ったこともあるとはいえ、追い出してから内にササる面を見せました。最後は勝負強さを発揮しましたが、いっぱいいっぱいの競馬だったことは間違いありません。2、3着馬に『もしかしたら(ダービーでは)逆転できるかも……』と思わせる結果になったことは、誤算でしょうね。

 まあでも、負けなしの4連勝で、同世代では最上級の評価が妥当。その同世代との勝負なら、芝2400m戦も折り合えば問題ありません。馬本位のランキングとすれば、やはり1位の馬です」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「時計勝負を経験していない点が皐月賞では不安材料となりましたが、これを難なく克服しました。ダービーに向けては、クリストフ・ルメール騎手の騎乗停止による乗り替わりの影響がどこまであるかですが、代役を務めるダミアン・レーン騎手については、トレセンで取材していても「彼は本当にうまい」という評判ばかり。その腕の高さは、他の陣営も認めるところです。

 あと、気になるとすれば、ダービーの雰囲気は本当に特別で(人馬ともに)ブルッてもおかしくありません。逆に言えば、それぐらいしか不安がないということです」


 2位も、前回と同じくヴェロックス。皐月賞で僅差の2位になったことで、ポイントはかなり上積みした。父ジャスタウェイ譲りの成長力で、大一番での逆転なるか、注目される。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「皐月賞上位3頭は、タイム差なしの接戦でした。ダービーに向けて、最も勝つ確率が高いのは勝ったサートゥルナーリアだとしても、その結果を踏まえれば、二冠達成は”絶対”とは決め切れません。つまり、2着ヴェロックス、3着ダノンキングリーにも、ダービー馬になれる可能性があると見ています。

 とりわけヴェロックスは、2走前に圧勝した若葉S(3月16日/阪神・芝2000m)が、同レース史上有数のTF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)をマーク。前回のランキングでは、個人的に同馬を1位としています。皐月賞でも『かなりやる』と思っていましたが、想像以上のパフォーマンスを見せてくれました。父ジャスタウェイは2000m前後の距離がベストかもしれませんが、母父モンズーンなら2400mの距離も問題ないのではないでしょうか」

土屋真光氏(フリーライター)
「ともに完勝だった3走前の若駒S(1月19日/京都・芝2000m)、2走前の若葉Sは、ゆったりとしたペースからの上がり勝負の競馬でした。力は認めつつも、一気にペースが速くなる皐月賞ではどうか? と見ていましたが、難なく対応して、直線できつい形になりながらも、最後まで見せ場を作りました。

 ジャスタウェイの仔なら、広くなるコースはむしろプラス。2戦続けて減らしている馬体重を増やして、480kgを超えて出てきてくれれば、ダービーでも面白い存在になりそう。サートゥルナーリアの出方を待つのではなく、正攻法で自分の競馬に徹すれば、戴冠も夢ではないでしょう」

 3位には、路線変更したアドマイヤマーズに代わって、ダノンキングリーが浮上。ヴェロックス同様、皐月賞で僅差の勝負を演じ、ダービーでも再度の奮闘が見込まれている。

市丸氏
「皐月賞では4角手前でインに詰まって、窮屈な走りを強いられるシーンがありました。ダービーでは、府中の広くて長い直線で、横一線の追い比べに持ち込めれば、逆転も十分にあるでしょう」

木南氏
「ずっと低評価だったのですが、皐月賞3着で(その実力を)認めなければいけないかな、と思いました。トレセンで見ていても、バネはすごいですからね。ダービーでは、今の東京の軽い馬場と時計勝負は合うと思いますが、距離に関しては疑問があります。それをどうクリアするかが(勝ち負けに加われるかの)ポイントになるでしょう」

本誌編集部
「皐月賞で僅差の3着。ゴール前の伸びは上位3頭の中で最も光っていました。ダービーの2400m戦でも、上位争いできると踏んでいます」

 4位は、青葉賞2着のランフォザローゼス(牡3歳/父キングカメハメハ)が初のランク入り。ここまで4戦1勝ながら、重賞2戦を含めて2着が3回という堅実な走りが評価されたようだ。

吉田氏
「血統、馬体、走法から、体力勝負に持ち込んだほうがいいタイプ。好位からしぶとく脚を使ってこそ、能力をフルに発揮できそうです。とはいえ、現状では上位3頭とは、完成度や決め脚などで見劣るのは事実。短期間で少しでも成長があれば、上位進出もありそうですが……」

土屋氏
「GIII京成杯(2着。1月14日/中山・芝2000m)の時点では、『中身がまったく伴っていないルーラーシップ』というのが、この馬に対する率直な感想でした。事実、ルーラーシップはこの馬の叔父。ならば、将来性は期待できると思っていましたが、実際に3カ月半ぶりで出走した青葉賞では、『中身がしっかりと入ってきたな』という印象を受けました。

 とはいえ、おそらく本当に完成されるのは、まだ先でしょう。ここでの評価は、ちょっとした”先物買い”の感覚です」

 今回のランキングは、上位3頭以外はほぼ横並び。その評価においては、4位のランフォザローゼスを含めて「強いて挙げるなら……」といったニュアンスが強い。そのため、5位にはリオンリオン、アドマイヤジャスタ(牡3歳/父ジャスタウェイ)、ダノンチェイサー(牡3歳/父ディープインパクト)と、低ポイントで3頭の馬がランク入りした。

土屋氏
「青葉賞を制したリオンリオン。晩成型が勝ちやすい500万特別・大寒桜賞(3月24日/中京・芝2200m)の勝ち馬で、ランフォザローゼス同様、これからの馬だと思います。それでも、つなぎが固かった母アゲヒバリとは違って、弾力のある質のいいフットワークを見せており、その点には引きつけられるものがあります。

 気になるのは、今年に入って月1走ペースで使われてきていること。はたして、余力がどこまで残っているのか……」

吉田氏
「ホープフルS2着のアドマイヤジャスタですが、オープン特別のすみれS(2月24日/阪神・芝2200m)で2着、皐月賞で8着という結果に終わって、評価を下げた印象があります。ただ、ともに敗因は明確です。

 馬格のあるジャスタウェイ産駒で、速い脚より、長く、しぶとい脚が使えるタイプゆえ、すみれSでは6頭立てのスローペースに切れ負けしたもの。皐月賞は、外枠でポジションが取れず、勝負どころから直線前半でも前が詰まって動けなかったのが、着順を悪くした要因でしょう。

 理想はホープフルSのような、早めに踏み込んでいける形で、脚質的には東京コースは向くと思います。ある程度前に出していっても折り合いを欠くことはないので、前々で流れに乗れれば、サートゥルナーリアの2着になった力を見直さないわけにはいきません」

木南氏
「ダノンチェイサーについては、500万特別・こうやまき賞(1着。12月1日/中京・芝1600m)で好走した馬のその後(の活躍)がすごかったため、早くから注目していました。ダービーでは、前走のNHKマイルCで4着に敗れ、鞍上も交代(川田将雅騎手→ブレントン・アヴドゥラ騎手)とあって、人気は落とすと思いますけど、渋いタイプのディープインパクト産駒で、距離はいけるのではないかと思っています」 競馬ファンをはじめ、競馬に携わる誰もが胸を躍らせる”競馬の祭典”日本ダービー。今年は、どんなドラマが待ち受けているのか、ゲートインまでまもなくである。