2019年クラシック候補たち
第16回:リオンリオン

 5月26日に行なわれるGI日本ダービー(東京・芝2400m)。広い東京競馬場をぐるっと一周回る舞台とあって、道中のペースや流れといった”展開面”は、勝敗の行方を占う大きなポイントとなる。

 そんな展開のカギを握りそうな、重要な1頭がダービー戦線に現れた。栗東トレセン(滋賀県)の松永幹夫厩舎に所属するリオンリオン(牡3歳/父ルーラーシップ)である。


同じ舞台の青葉賞を勝ってダービーに挑むリオンリオン

 同馬は昨年8月にデビューすると、新馬、未勝利と連続2着。3戦目の2歳未勝利(10月21日/京都・芝1800m)で、やっと初勝利を挙げた。

 そして、500万下のクラスに昇格してからも、初勝利までと同様、しばらく足踏みが続いた。500万特別の黄菊賞(11月11日/京都・芝2000m)で3着となったあと、オープン特別の若駒S(1月19日/京都・芝2000m)で5着、続く500万特別の水仙賞(2月23日/中山・芝2200m)でも3着に終わった。

“変身”を見せたのは、2走前の500万特別・大寒桜賞(3月24日/中京・芝2200m)だ。水仙賞に続いて2回目のコンビとなる横山典弘騎手を背にして、デビュー以来初となる”逃げ”戦法に打って出ると、前半1000mを62秒1のスローペースに持ち込んで快走。直線に入って後続を突き放すと、そのままゴール板をトップで通過し、2着に1馬身4分の1差をつける逃げ切り勝ちを収めた。

 この勢いに乗って、ダービートライアルのGII青葉賞(4月27日/東京・芝2400m)に参戦。ここでも横山典騎手を背にして、スタートから先頭を奪ってレースを引っ張っていく。

 前半1000mのラップは、59秒9。前回より速いペースとなったが、それでも直線を迎えて脚色が鈍ることはなかった。外から1番人気のランフォザローゼスがジリジリと迫ってきたが、その追撃を振り切って、ハナ差で勝利を飾った。

 こうして、見事にダービー切符を手にしたリオンリオン。連勝はもちろんのこと、本番と同じ舞台での鮮やかな逃げ切り勝ちに、レースの展開のカギを握る1頭として、一段と注目を集めるようになった。

 大一番を前にして、自らの走りをモノにしたリオンリオン。陣営も同馬の特長にマッチしたレーススタイルを見出せたことで、確かな手応えを得ているようだ。その様子を、関西競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「リオンリオンはフットワークが大きく、ギアチェンジが遅い馬で、一瞬の切れ味よりも、ジワジワと長くいい脚を使うタイプ。その脚質に対して、自分のペースで逃げる形が合っていると、陣営も見ています。ダービーでも、『何が何でも逃げるとは限らないが、先行してしぶとさを生かす競馬になると思う』と話していました」

 同馬はルーラーシップ産駒だが、同じ産駒のキセキ(牡5歳)は、やはり先行・逃げ切りのスタイルで、古馬のGI戦線で活躍している。キセキもフットワークが大きく、スピードの持続力を生かすためにこの戦法をとっており、先述のトラックマンは「(リオンリオンのスタイルは)キセキのレーススタイルとダブる」と言う。

 なお、リオンリオンは、ここに来ての馬の充実ぶりにも目を見張るものがあるそうだ。

「2走前はスローペースで、展開の利を生かしての勝利。前走はかなり速いラップを刻みながらも、最後まで粘って押し切りました。陣営は『同じ逃げ切りでも、内容はまったく違う』と話していて、そこに成長の跡を見たようです。実際、走りのフォームが相当よくなっているみたいで、本番でも展開次第では面白い存在になりそうです」 横山典騎手が直前に騎乗停止となってしまったのは残念だが、ダービーの歴史を振り返れば、人気薄の先行馬が粘って波乱を演出したケースがしばしば見られる。皐月賞の上位組がけん制し合っている隙に、リオンリオンがまんまと逃げ切る――そんなシーンが生まれても不思議ではない。