昨年は春先こそ好調だったが、その後は攻守に精彩を欠いて高橋前監督の信頼を失い、規定打席未達だった小林誠司。監督が代わり今年は勝負の年

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昨年は春先こそ好調だったが、その後は攻守に精彩を欠いて高橋前監督の信頼を失い、規定打席未達だった小林誠司。監督が代わり今年は勝負の年

ゴールデンウイーク10連戦を5勝4敗1分けで乗り切り、セ・リーグ20勝一番乗りで首位を守っている巨人(5月8日現在、以下同)。打線では坂本勇人(はやと)の絶好調ぶりが光るが、ここまで想定外(?)の活躍を見せているのが捕手の小林誠司だ。

規定打席未満ながらも一時は打率4割を超え、課題といわれた打撃面で正捕手争いのライバル・炭谷銀仁朗(ぎんじろう)、大城卓三(おおしろ・たくみ)を上回る活躍。さらに守っては持ち前の強肩が火を噴き、盗塁阻止率は12球団断トツの7割1分4厘だ。

スポーツ紙デスクが苦笑しながらこう言う。

「昨年も4月はかなり打っていたし、2017年春のWBCでも打ちまくった。それだけに、小林の活躍は"春の風物詩"だと冷めた目で見る人も多いです(笑)。確かに例年、シーズン中盤以降は打撃成績が急降下し、守りでも不用意なポカが増える。

ポテンシャルの高さは折り紙付きですが、正捕手になり切れないでいるのは、好調を長く維持できないからです。それでいて昨年までは、ベンチの指示を無視して独自のリードをし、高橋由伸前監督を激怒させるなど、やや自信過剰な面が目立っていました」

ところが、そんな小林が「今年は変わった」という声が一部から聞こえている。

その"黒幕"は、やはり今季から復帰した原辰徳(たつのり)監督だという。在京テレビ局関係者が説明する。

「編成権も持つ原監督は、昨秋に就任するとすかさずリードに定評のあるベテランの炭谷を西武からFAで獲得。さらに、阿部慎之助を捕手に復帰させたり(開幕前に故障し現在は代打専任)、打撃のいい大城を1軍ベンチに置いたり......。いわば『小林包囲網』といった趣でした」

評論家などからはボロクソに言われることも多かった小林だが、それでも昨年までは、曲がりなりにもキャンプから正捕手扱いされていた。ところが、今季はまったく違う立場に追い込まれたのだ。

「昨年までの小林は『感覚重視で打っている』と、半ば開き直ったように言っていましたが(苦笑)、今季はスコアラー室でデータをチェックする姿がよく目撃されています。また捕手としても、若手投手に配球やクイックの仕方などをこれまで以上に細かくアドバイスしています」(在京テレビ局関係者)

ここまでは、小林の尻に火をつけた原監督の狙いどおりということだ。前出のスポーツ紙デスクが言う。

「好き嫌いが激しいようなイメージのある原監督ですが、実際は結果さえ出せばOK。また、疲れてきたと見れば休ませつつ使うなど、選手に対する目配りもあります。

ただ、その一方で怠慢プレーや結果の出ない選手には非常に厳しく、チーム内には常に緊張が走っている。ゲレーロ、ビヤヌエバの両外国人野手を同時に2軍落ちさせたのも、チーム全体に『誰でも例外はない』という見せしめの意味があったはずです」

今年も一時の"確変"で終わるか、それとも殻を破れるか? それは小林自身のみならず、原監督のタクトにもかかっているようだ。

写真/時事通信社