一番の理由は燃費の良さと故障の少なさ

 ニューヨークのマンハッタン。イエローキャブを見てみると、その多くが日本車だ。最近では日産のNV200が増えている。これは、地元タクシー協会が北米日産から一斉に導入したからだ。この契約に関して、日米の自動車メーカー各社からの提案を受けた上、入札された。

 決め手となったのは、乗降性の良さはもちろんのこと、燃費や故障の少なさである。実際、マンハッタンでタクシーに乗車してドライバーに話を聞いてみると「このNVもそうだけど、日本車はどれも走りがいいし、燃費がいいからね」と満足気だ。

 その他の地域でも、タクシーといえば、最近は日本車が主流になってきた。なかでも目立つのが、トヨタ・プリウスだ。もちろん、最大の理由は燃費だ。

 ネバダ州ラスベガスで乗ったプリウスのタクシードライバーは「これに乗ったら、もうアメ車にゃ戻れないよね」という。アメリカでのタクシーといえば、フォードのクラウンヴィクトリアや、シボレーインパラなど、5リッター級V8エンジン搭載車が主流だった。いまでも田舎町に行くと走っているが、年式も古く、走行距離も20〜30万kmという状態なので、サスペンションがギシギシいうなど、お客さんとしては乗車を敬遠したくなる。

今話題のライドシェアリングではどうか

 一方、アメリカでは近年、タクシーの需要が急激に下がってきている。ライドシェアリングの影響だ。いわゆる“白タク”として、個人が所有するクルマをタクシーのように有償目的で使うこと。それが、ライドシェアリングである。日本では、公共交通機関が極めて少ない状況にある交通空白地域、または福祉用として、白ナンバーでの有償運行が認められている。

 しかし、アメリカのように、ごく普通の人がアプリでドライバー登録して、自分のクルマでタクシーのような商売を始められるような状況ではない。アメリカのライドシェアリングでは、ウーバーとリフトが大手で、全米のほとんどの地域で利用できる。

 では、ライドシェアリングでも日本車が多いのだろうか?

 実際に全米各地でウーバーやリフトを使ってみると、ある傾向があることに気付く。ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトルなど西海岸では、やたらとプリウスが多い。ラスベガスでも、プリウスが多いとは思うが、ホンダ・アコード、ホンダ・シビック、トヨタ・カローラなどアメリカで売れ筋の日本車が目立つ。一方、シカゴなど中東部になると、アメリカメーカーのSUVが目立つようになる。

 日本車は全米で売れているのだが、地域によって販売比率に差があり、それがそのままライドシェアリングのクルマの日本車比率に反映されているのだ。タクシーからライドシェアリングへと旅客サービスは進化しても、やはり日本車の人気の高さは変わりないようだ。