今シーズンのJ1は、すでに3クラブが監督交代に踏み切っている。神戸、鳥栖、清水だ。

 神戸のファン・マヌエル・リージョは契約解除で、解任ではない。ただ、交代直前のリーグ戦で連敗を喫しており、クラブを離れた時点での成績は3勝1分3敗だった。ポドルスキとイニエスタに加えてダビド・ビジャも獲得したことを考えれば、客観的に見て物足りなさは募る。すぐにでも手を打つべき状況ではなかったものの、神戸は昨年、一昨年もシーズン途中で監督交代に踏み切っている。これはもう、クラブそのものの体質と言っていいのかもしれない。

 鳥栖と清水はより逼迫した状況だった。

 今シーズンからルイス・カレーラス監督とともに戦ってきた鳥栖は、開幕から10試合を終えて1勝しかできずにいた。得点力不足解消のために招いたスペイン人指揮官のもとで、わずか1点しか奪うことができていなかった。リーグ戦のほぼ3分の1にあたる10試合は、監督交代の時機として妥当なものだった。

 清水も同じ理由だろう。こちらはヤン・ヨンソン監督の指揮下で2勝2分7敗と低迷し、失点がリーグワーストの26を数えていた。15年にJ2降格を味わったクラブとしては、これ以上引っ張るわけにはいかなかったのだろう。
 
 監督交代の決断が正しかったのかどうかは、リーグ戦の終了まで待たなければならない。ただ、シーズン中に代えざるを得なかったという事実については、最終的にきっちりとした説明が必要になってくるだろう。
 
 個人的に思うのは、交代に踏み切る「理由」である。「成績不振に陥っていて、このままではJ2に降格してしまう、だから監督を代える」というのは相応の説得力がある。ただ、J1残留を果たせばOKかと言えば、決してそうではない。

 大切なのはビジョンだ。

 Jリーグのクラブは、そのほとんどが優勝やACL圏内を目標に掲げてシーズンインする。残留という現実的な目標を設定するのは、J2から昇格してきたクラブくらいだ。

 しかし、前シーズンに残留争いをしたクラブが、いきなりACL圏内に食い込むのは難しい。優勝争いに加わるのも現実離れしている。

 だとすれば、1年ごとではなく数年後までまたいでビジョンを打ち出すべきだ。もっと言えば、独自のカラーを掲げるべきである。

 たとえば、「我々はJ1残留を第一義的な目標としつつ、若い選手を積極的に使っていく」と、明確に宣言するクラブがあってもいい。そのための手段として、「ホームゲームでも格上相手には守り倒す」という戦術を採用するなら、方法論として分かりやすい。クラブの方針に基づいて戦った末の敗戦なら、納得してくれる人もいるだろう。「そのかわりに、同レベルのクラブとのホームゲームでは、死に物狂いで勝点3を獲りにいきます」と言い、そのとおりに頑張ってくれれば、次も応援しようという気持ちが沸き上がるのではないだろうか。

 J2とJ1を往復してきた湘南ベルマーレは、その過程で彼らなりのスタイルを構築し、昨年はルヴァンカップを獲得するに至った。格上相手にも果敢に挑んでいくサッカーが定着しているから、ファン・サポーターは結果を受け止めやすい。

 神戸は、鳥栖は、清水は、これからどんな色を打ち出すのか。交代させた監督のもとで、クラブが結果を残せなかったのはなぜか。成績不振を招いた理由を洗い出し、同じ失敗を繰り返さないための方向性を示さなければ、やがてまた危機に直面する。