テレビで目にすることが多い、医療保険のCM。「入院日額○千円」など、その内容はさまざまですが、入院に備える保険は本当に必要なのでしょうか。5月13日の『北野誠のズバリ』には、友人がケガで入院したというリスナーから、入院保険の必要性についての質問が寄せられました。この質問に対し、小宇佐・針田FP事務所のファイナンシャルプランナー・伊藤勝啓さんが回答しました。

優秀な「健康保険制度」

Aさんから寄せられた質問はこうです。

「先日、友人がケガをして入院しました。1週間ほど経ったようですが、人生初の入院だったそうです。
私は今40歳ですが、これまでに入院したことはありません。
よく保険会社の医療保険などのCMを目にしますが、必ず入る必要はあるのでしょうか、教えてください」

入院といえば、まず思い浮かぶのは『医療保険』。

商品によっては入院だけではなく、手術保障や通院保障が設定されているものもあります。

「ただ備えというのは、実は入院保険だけではないんですね」と語る伊藤さんは、日本が世界に誇る医療制度である『健康保険制度』について言及します。

健康保険は年齢などにより内容は異なりますが、一般的に健康保険を利用して受診した場合、費用は3割負担で済みます。

さらに、健康保険には自己負担の上限額が抑えられる『高額療養費制度』があるので、医療にかかった際の実際の自己負担額は、ある程度抑えられる仕組みになっているのです。
 

「備えがないから悩んでる!」

「そもそも、手持ちの貯蓄っていうのがしっかりあれば、いざという時の備えになってくるんですね」

この伊藤さんの発言に、「しっかりないから悩んでるんやんか!伊藤さん」と、リスナーの思いを代弁する北野。

「みな保険入ってるのは、とんでもない金取られるからや!」

ここでふと、友人の話を思い出し我に返る北野。

「でもアメリカなんか、もっと取られるからね」

現在アメリカ在住の北野の友人は、「ケガでこんな金とられんのや、日本じゃありえへん」と、ぼやいていたそうです。

やはり日本の健康保険制度が優秀であることに間違いはありません。
 

健康保険と貯蓄の兼ね合い

「そう考えると、医療保険あんまり必要ないってこと…そうかなぁ、やっぱいるやろね」と、迷いながらもやはり医療保険は必要だと感じた北野。

伊藤さんによると、「単純に必要があるかないかっていうのは難しい問題」とのこと。

「健康保険ですとか貯蓄の状況をふまえて、経済的に十分まかなえるという状況の方であれば必要ないかもしれませんね」

例えば独自の健康保険に加入している人は、医療費負担は3割で変わらないものの、独自の補助制度が上乗せされて、月々の自己負担額が2万円〜3万円に収まる場合があるんだそう。

「こういった制度がある人は、多少の貯蓄さえあれば余裕でまかなえてしまうレベルかもしれない」と伊藤さん。

とはいえ、いずれにせよ治療が長引けば長引くほど、当然継続してお金がかかってくることになります。
 

変わる入院保険

「大体みんな一番気にしてるのは、入院費が一日いくら出るか」と北野。

実際、各保険会社が販売している医療保険の多くは、「入院したらいくら支払います」というものがベースになっています。

しかし、最近では入院日数の短期化が進んでいるため、以前ほど「入院に対する備え」という視点は薄れてきている傾向にあります。

入院の短期化に合わせて、保険会社の商品も「入院の日数にかかわらずまとまった一時金を支払う」というものや、「入院前後の通院に支払う」という内容に変わってきているそうです。

その他、「所定の抗がん剤治療を受けた場合に継続的にその費用を支払う」といった商品もあるんだとか。

「以前のように入院に偏った内容というよりは、『通って治す』という医療の背景に合わせた内容に変わってきているんですね」と伊藤さん。

「今後の医療について当然完璧に見通すことはできないんですけれども、医療保険に加入する場合には、医療の傾向を予測しながら、無駄なく備えていくという必要があるかもしれないですね」と教えてくれました。
 

おススメは「先進医療特約」

がんで「先進医療」を受けている知人がいるという北野。

北野「あの薬高いなー!1日1錠飲むのに何万とかすんねん、あの薬。あれは絶対保険いるわ。入っとかないと無理」
井上「ウチのおやじ、1本ウン千万ですから」

途方もない金額がかかる可能性もある、「先進医療」。

この先進医療への備えも、もちろん存在しています。

伊藤さん「先進医療は、医療保険に特約に付けることができまして、だいたい月々100円前後から200円前後」

月々ジュース1本程度の金額で、高額になりがちな先進医療に備える特約が付けられるそうです。

実は北野も先日、加入したところだといいます。

北野「だって、『えっ!これ5万すんの?この薬』。あれは人に教えてもらわないと絶対。あんな怖くて。がん、なってられへんわ思って」
井上「ホンマや、そういわれると、すごい脅迫効果やで」
北野「いやいや、あれほどわかりやすいのはないと思って」

先進医療保険の必要性を説く北野。
 

保険の見直しを

「あと自営業の私たちは『給与保証』みたいな感覚で。入院とか通院の間、お仕事できないと入ってこないから、その出てくる保険をお給料代わりにするみたいな形でしないと」

松岡亜矢子は、働き方に応じた医療保険の必要性もあると語ります。

「年齢と共に、保険は見直した方がいですよね」という北野に、「そうですね、何十年も前の保険は結構使えないというものになっているケースもありますし。その時代、見ながらですね」と伊藤さん。

「昔は、『入院したら一日いくらもらえる』がポイントになってたけど、もう今はそれじゃないもんね」と、北野。

昔とは違い、いつまでも入院できるという状況ではない現在。

「保険ってまあ、年齢に応じて見直していくのも必要かもしれませんね」と語った北野でした。
(minto)
 

北野誠のズバリ
2019年05月13日14時11分〜抜粋(Radikoタイムフリー)