電柱の上に巣を作ったコウノトリへの心温まる対応について、北陸電力(本店・富山県富山市)に取材した。

感電防止のため配電系統を変更

北陸電力は5月10日、同社の公式Twitterで、コウノトリが電柱の上に巣を作ったことを受けて、停電およびコウノトリの感電を防止するため、配電系統の変更工事を行ったと発表した。

地元の人からの要望を踏まえたもので、電線に電気が通らないようするなどの対策を行ったという。ヒナの誕生を期待し、今後も見守り対応を続けるとしている。

この対応はネット上で話題となっており、「ほっこり」「神対応で泣けてきた」「やさしい世界」「地元の方々の善意に感動しました」「こういうニュース、もっと増えて欲しい」「元気な子を産んで羽ばたいて」など多くのコメントが寄せられている。

子育て中のペアと推定

北陸電力・福井送配電支社(支社長・沼田浩二)に話を聞いた。

--どのようにして電柱の上のコウノトリの巣に気づいたのですか?

4月22日に坂井市の担当部署の方より当社に電話連絡があり、現地にてコウノトリの巣を確認しました。

福井県の報道発表によると、このコウノトリのペアは、産卵および本格的な抱卵(親鳥が卵を抱えて温めること)に入ったことが推定されたという。

ビデオカメラで2羽の行動記録を行ったところ、親鳥が巣を離れることなく、産卵後にみられる卵を抱くしぐさ等が確認されたそうだ。

--コウノトリが電柱の上に巣を作るのは、よくあることなのですか?

福井県内では、弊社の設備上にコウノトリが営巣した実績はこれまでありませんでした。

初めてのことでしたので、各自治体や各種団体の皆さまにご相談・ご協力をいただきながら、対応させていただきました。

北陸電力株式会社/Twitter

地元住民らから「見守りたい」と要望

--工事に踏み切った経緯は?

地域住民の皆さまや、自治体(坂井市、福井県)からコウノトリの営巣を見守りたいとの強いご要望をいただいたためです。

今回は配電線の系統切替工事が可能な場所であり、何よりも地元の皆さまが停電作業にご協力をいただけるとのことでしたので、巣を電柱上に残したままでもコウノトリの安全が確保できました。

--工事による影響はありましたか?

工事により2時間半程停電がありましたが、地元の皆さまのご了解・ご協力のもと、営巣を発見した翌日の4月23日に無事に工事を実施できました。

工事はコウノトリが餌を探しに巣を飛び立っている日中に行いました。

地域の方から、工事をしている様子をコウノトリが近くの畑で見ているとの話もあり、巣に戻ってくるかどうか心配していましたが、翌日早朝に巣上で仲睦まじい姿を確認したときは安心しました。

--コウノトリに関して、他にどのような対策をしましたか?

これまでも、電気の供給や保安上で問題のない電柱の場合に、関係自治体や地元住民のみなさまと協議しながら、最小限の防護措置を行い、地域の方々と共に見守らせていただきました(福井市内1カ所、坂井市1カ所)。

地元住民のご要望により、保安上問題のない電柱で、電力部材の組立てによる巣台を3箇所(福井市内2カ所、坂井市内1カ所)施設しましたが、いずれも営巣の誘導には至りませんでした。

--今回の取り組みについて、コメントをお願いいたします。

コウノトリは国の特別天然記念物であり、また、地元住民・坂井市および福井県は今後も静かにコウノトリの繁殖を見守りたいと強く要望されています。

当社としても、可能な範囲で関係自治体や地元住民の皆様と協議しながら見守らせていただきます。

福井県は報道資料の中で、コウノトリや巣の様子を観察・撮影する場合は、コウノトリを刺激しないよう150メートル以上の十分な距離を取って静かに行うことや、野生生物なので餌を与えないこと、周辺住民のプライバシーに配慮することなどを呼びかけている。

元気なヒナが生まれるよう、静かに見守りたい。