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5月13日、KDDIが3つの新たな料金プランを発表しました。小容量の「新auピタットプラン」では、月のデータ使用量が1GB未満であれば、“ずーっと”月額1,980円〜で利用可能(価格は税別、以下同)。大容量の「auデータMAXプラン」であれば、月額5,980円〜でデータ容量を気にせずインターネットが使い放題になる、と同社はアピールしています。しかし、これらの料金は割引をフルに適用したあとの数字で、すべての人がこの料金で使えるわけではない点に注意が必要です。

○新料金プランの概要

KDDIが発表した3つの新料金プランとそのアピールポイントは以下の通りです。同日開催の「au発表会 2019 Summer」では、KDDI 取締役執行役員専務の東海林崇氏が詳細を説明しました。

最大4割引で“ずーっと”おトク、月額1,980円からの「新auピタットプラン」

7GBを最大4割おトクに利用可能な、月額3,480円からの「auフラットプラン7プラス」

日本初!データ容量に上限のない、月額5,980円からの「auデータMAXプラン」

○“ずーっと”月額1,980円!?「新auピタットプラン」

それぞれのプランについて細かく見ていきましょう。新auピタットプランは、使用したデータ容量に合わせて3段階の月額料金が自動的に適用される料金プランです。提供開始日は6月1日。

「データ容量」と「基本料金」、そして「割引適用後の料金」の関係は以下の通りです。

1GB未満なら月額2,980円〜(割引をフル適用後:月額1,980円〜)

1GB超〜4GBまでは月額4,480円〜(割引をフル適用後:月額2,980円〜)

4GB超〜7GBまでは月額5,980円〜(割引をフル適用後:月額4,480円〜)

つまり、KDDIがうたう「データ使用量1GB未満なら“ずーっと”月額1,980円〜」は、割引をフルに適用したあとの料金であることに注意が必要です。新auピタットプランに適用できる割引は「家族割プラス」と「auスマートバリュー」の2種類。

家族割プラスは、家族3人以上で利用の場合は永年1,000円の割引(2人なら500円の割引)が可能。条件は「同一住所に住んでいること」ですが、対象固定通信サービスに契約しているなら、別住所の家族(50歳以上)でも申し込めます。また、auスマートバリューの割引では、1GBを超えた月なら永年500円の割引が適用されます。

「自宅にWi-Fi環境がある」「外で動画は見ない」「スマホの利用シーンはメールかLINEがほとんど」といったライトユーザー向けの小容量プランといえそうです。東海林氏は「2年目以降も割引額が変わらないのが、従来のauピタットプランからの改善点です。これにより、例えば毎月1GB未満の利用なら、年間で(従来プランとの比較で)12,000円もお得になります」と説明していました。

○7GBが“ずーっと”月額3,480円!?「auフラットプラン7プラス」

主力になるとみられる新しい料金プラン「auフラットプラン7プラス」では、データ容量7GB+人気のSNSがデータ消費ゼロで利用できます。基本料金は月額5,480円〜。「家族割プラス」と「auスマートバリュー」をフル適用後に、月額3,480円〜となります。提供開始日は6月1日。

データ容量を消費しないサービスは+メッセージ、Facebook、Instagram、Twitterがあり、対応は今秋を予定。対象となるSNSサービスは順次拡大予定です。注意したいのは、7GBを超過した場合は通信速度が300kbpsに落ちること。また、SNSをテザリングで利用した場合、動画・音楽の送受信を行った場合、海外で利用した場合などはデータが消費されるとのことです。もっとも、通信速度が300kbpsに落ちても、SNSの通常利用であれば使い勝手に支障はなさそうです。

ちなみに「家族割プラス」は、家族が同一の料金プランを契約していなくても適用させることが可能です。東海林氏は「例えば、データをそれほど使わない父母が新auピタットプランを、データをたくさん消費する子どもがauフラットプラン7プラスを契約している3人の家族でも、家族割プラスを適用できます」と説明していました。

○データ通信が使い放題になる!?「auデータMAXプラン」

今回発表された新料金プランで最も注目されたのが「auデータMAXプラン」。基本料金は月額8,980円〜で、「家族割プラス」「auスマートバリュー」に加え、6カ月限定の「au データMAXプラン スタートキャンペーン」を適用させれば、月額5,980円〜となります。提供開始は今夏以降。

「容量制限なし」をうたっていますが、テザリング、データシェア、国際ローミング通信の利用時は20GB/月の制限が設けられます。また、動画配信、ストリーミングサービスなどの大量のデータ通信、長時間の接続をともなうサービスの利用、そのほか一定期間内に大量にデータ通信した場合、通信速度の制限が行われるとのこと。肝心の“程度”については非公表とのことでした。

常識的な使い方をしていれば、まず通信制限は行われないのではないかという気もしますが、なんとも判断が難しいところ。競合他社は月50GBの大容量プランを提供しており、同水準の利用なら問題なさそう、と考えるべきでしょうか。

○どれを選ぶ?競合と比較すると?

新たな料金プランの追加にともない、現行の「auピタットプラン」と「auフラットプラン30」は受付を終了しますが、「auフラットプラン20」は提供を継続します。これにより、auで選べる料金プランは、以下の5つとなります。

小容量:「新auピタットプラン」:月額1,980円〜

中容量:「auフラットプラン7プラス」(7GB+SNS使い放題):月額3,480円〜

大容量:「auフラットプラン20」(20GB):月額5,000円〜

大容量:「Netflixプラン」(25GB+Netflix+ビデオパス):月額6,150円〜

大容量:「auデータMAXプラン」(月間の上限なし):月額6,980円〜

※(上記の料金は、期間限定の割引を除いたもの)

競合他社のプランと比較してみましょう。

大容量プランなら、NTTドコモは「ギガホ」(30GB)を月額4,980円〜で、ソフトバンクは「ウルトラギガモンスター+」(50GB+動画SNS使い放題)を月額4,980円〜で提供しています。中容量プランでは、NTTドコモは「ギガライト」(5G〜7GB)を月額3,980円〜、ソフトバンクは「ミニモンスター」(5G〜50GB)を月額7,480円〜で提供。小容量(〜1GB)では、NTTドコモが月額1,980円〜、ソフトバンクが月額2,980円〜で提供しています。どの会社のプランに価格の優位性があるかは、環境と使い方によっても分かれるでしょう。

菅義偉官房長官による「携帯電話の利用料は、あと4割程度は下げる余地がある」発言に端を発した、大手3キャリアによる値下げ合戦。先日のドコモに続き、KDDIも新料金プランの発表となりました。一方で、来年には5Gの商用化を控えており、「auデータMAXプラン」はそれを踏まえた内容になったといえそうです。

○4年縛りはどうなる?

モバイル業界ではいま、スマートフォンの本体代金と通信料金を分離したプラン(いわゆる分離プラン)の導入が進んでいます。今回のauの新料金プランも分離プランとなっています。分離プランでは、スマートフォンの(見かけの)本体代金が高騰化してしまうため、KDDIでは48回払いにして負担を軽減する「アップグレードプログラムEX」を提供しています。しかし、「4年縛り」と揶揄されるなど、長期契約により利用者の自由を奪うことを懸念する声も一部で挙がっています。

この問題について聞かれると、東海林氏は「毎月の割賦料金の負担が多いお客様に向けたもので、比較的短期間にスマホを買い替えたい、というご要望にもお応えできるプログラムです。現在も提供中で、ご好評をいただいています。しかし今後、事業法の改正や総務省の指導などがあるかもしれません。それを踏まえて考えていきたいと思います」と説明しました。