不正防止のため投票所で指にマークをつけてもらう(画像は『The Citizen 2019年5月9日付「Twenty ‘double voting’ suspects arrested in KZN and Gauteng」(Picture: Jacques Naude / African News Agency)』のスクリーンショット)

写真拡大

8日に行われた南アフリカ総選挙で、過去最低57.5%の投票率ながらも与党ANC(アフリカ民族会議)が過半数を確保した。一方で選挙翌日に国家警察は、クワズール・ナタール州地区にて20名が二重投票をしたとして逮捕したことを公表している。

南アフリカで投票するには、事前に投票会場で身分を登録する必要がある。そして当日は登録した会場で身分証明書を提示し、親指の爪に特殊インクを塗ってもらい投票する。さらに何らかの理由で、登録外の投票所で投票することも可能だ。

今回の選挙では南ア選挙委員会に対して複数の党から苦情が殺到し、再選挙するよう要請があった。それは二重投票が簡単にできるシステムだったからだ。

特殊インクは数日間は落ちないと言われているが、このインクを服などでこすって落とし、別の投票所で再投票している人がいたという。また、登録外の投票所で投票する人への対応が不十分だったため、二重投票が簡単にできてしまったのだ。

『News24』では実際にインクを消して3度投票した女性を紹介し、それを実証するため同メディアのリポーターも二重投票を試している。まず自分が登録した投票所で投票し、その後爪のインクを服でこすったところ、すぐに消えた。そして別の会場に行き「違う場所で登録したがここで投票したい」と述べると、あっさり快諾。身分証明書を提示し、何の疑いもなくインクを塗られた。しかし、ここでは爪だけでなく皮膚にもインクを塗られたという。リポーターは選挙法違反にならないよう、無効となる投票を行って会場を後にしている。

ちなみに事前登録した投票所では身分証明書のバーコードを読み取って本人確認ができるが、登録していない場所で投票する場合、二重投票であるかがバーコードスキャンでは確認できなかったという。二重投票が可能であることを試してSNSに投稿したという事例が数件あったそうだ。

今回の二重投票により逮捕された20名に対して南ア選挙管理委員会委員長のサイ・ママボロ氏は、二重投票に関する証拠は今のところ見つかっていないと述べ、事実が誇張されていると主張した。

南ア選挙委員会には二重投票以外にも、死亡届が出ている人の名前で投票した者や投票所でANCのTシャツを配る者などの報告があったという。

画像は『The Citizen 2019年5月9日付「Twenty ‘double voting’ suspects arrested in KZN and Gauteng」(Picture: Jacques Naude / African News Agency)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)