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まもなく結婚というタイミングで、婚約者から「実家の借金を肩代わりして、返済してほしい」と言われたら、みなさんなら、どうしますか? しかも婚約者は妊娠中。困った状況に置かれた男性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。

男性によれば、彼女は交際中、借金について一切、話をしなかったそうです。妊娠により結婚話が進んでから、突然に400万円の返済話が浮上。さらに彼女は「借金を返してくれないなら結婚には反対と親が言っている」などと言ってくるそうです。

男性は、彼女との結婚話を白紙にしたいと考えていますが、その場合「婚約破棄したとして、私が慰謝料を支払わないといけないのでしょうか」と聞いています。

結婚が決まってから「借金を肩代わりしてほしい」と言ってきたことは、婚約破棄の正当な理由となるのでしょうか。また婚約破棄した場合でも、女性が出産した場合には、養育費の支払いは必要なのでしょうか。染川智子弁護士に聞きました。

●「慰謝料は支払わなくていい」

ーー法的にはどうなりますか

「結論から言えば、婚約を破棄しても、慰謝料は支払わなくてよいでしょう。

婚約者、配偶者だからといって、相手の実家の借金を肩代わりする義務はありません。今回のケースでは、借金も400万円と高額です。よほど高所得の方でない限り、自己破産などの債務整理手続をしてもやむを得ない大きな金額といえ、婚約破棄の正当理由になると考えられます。

ましてや、借金があるのは婚約相手自身ではなく、婚約者の家族ですので、そもそも肩代わりをする必要はないと思われます」

●婚約破棄しても「養育費を支払う義務」

ーーただ、婚約者は妊娠しています。婚約破棄しても、親としての義務は残りますよね

「そうですね。妊娠した婚約相手が出産した場合、養育費の支払いは必要です。親子関係を争われる場合は別ですが、たとえ結婚していなくても、生まれてくる子どものために養育費を支払う義務が生じます。

個人的な考えではありますが、婚約破棄して離れて暮らして養育費を支払うよりも、彼女とその実家を説得して、新しい家庭を築く方法を模索したいところですね。難しいかもしれませんが、その方法も選択肢に加えて欲しいと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
染川 智子(そめかわ・さとこ)弁護士
あわざ総合法律事務所(大阪弁護士会)弁護士。
家族にかかわる問題(離婚・相続・少年事件など)を多く取扱う。わかりやすい気さくな説明を心がけ、より満足感の高い解決に重点を置く。駅徒歩0分・カフェスタイルで、男女問わず気軽に利用できる雰囲気を大切にしている。
事務所名:あわざ総合法律事務所
事務所URL:http://awaza-law.jp/