古馬牝馬の「春の女王決定戦」となるGIヴィクトリアマイル(5月12日/東京・芝1600m)は、穴党の中でも”超穴党”向けのレースだ。

 というのも、過去5年の勝ち馬はいずれも5番人気以下。単勝はすべて4桁配当となっているうえ、3連単も過去5年はすべて万馬券。2015年の2070万5810円という超高額配当を筆頭に、2017年の91万8700円、2014年の40万7940円と、高額配当が続出しているからだ。

 まるで”春のジャンボ宝くじ”といった感のあるヴィクトリアマイル。それだけに、生半可な穴狙いではなく、豪快な一発逆転ホームランをイメージした”大穴”馬券を狙ったほうがいいかもしれない。

 実際に今年も、GI馬が4頭も名を連ねて堅い決着に収まりそうに見えるが、「決してそんなことはない」と日刊スポーツの木南友輔記者は言う。

「なにしろ、ラッキーライラック(牝4歳)、アエロリット(牝5歳)、ソウルスターリング(牝5歳)、レッツゴードンキ(牝7歳)とGI馬が4頭いて、ミッキーチャーム(牝4歳)、カンタービレ(牝4歳)、プリモシーン(牝4歳)など、有力視されている”アーモンドアイ世代”がズラリ。人気しそうな馬の名前をざっと挙げただけで、すでに7頭ですからね。こうなると、人気順も読めないですし、印が回らない実力馬が必ず出てくるはず。かなりの混戦模様で、波乱ムードに満ちています」

 そうした状況のなか、デイリー馬三郎の吉田順一記者は、現在の東京の馬場状態と、ヴィクトリアマイルにおける時計の傾向について言及。それを踏まえて、今年のレース展開についてこう語る。

「2週連続で行なわれる東京マイルのGI戦。余程のことがない限り、3歳馬限定のNHKマイルCより、古馬牝馬によるヴィクトリアマイルのほうが時計は速くなります。そして、今年のNHKマイルCの勝ち時計は1分32秒4。過去10年のなかで4位タイと、それなりに速い決着となりました。

 例年の傾向どおりなら、今年のヴィクトリアマイルもこのタイムよりさらに速い決着となるはず。先週のような急な天候の崩れがなければ、好天によって路盤が硬化するのは目に見えていますから、なおさらです。また、今週から仮柵を設けたBコースを使用。先週とは一転して、高速馬場で、内と前が止まらない設定になる公算が高いでしょう」

 とすると、”内枠先行天国”の高速決着になるということか。そうした見立てから、吉田記者は先行力のあるベテラン牝馬の名前を最初に挙げた。



一発の魅力を秘めているクロコスミア

「まず狙ってみたいのが、クロコスミア(牝6歳)です。昨年は、海外GIのドバイターフ(7着。3月31日/UAE・芝1800m)に出走したあと、GII札幌記念(8着。8月19日/札幌・芝2000m)で復帰しましたが、この馬らしさを見せたのは、復帰3戦目のGIエリザベス女王杯(2着。11月11日/京都・芝2200m)でした。

 そして、今回のヴィクトリアマイルは、昨年末に海外GIの香港ヴァーズ(10着。12月9日/香港・芝2400m)に出走後、休み明け3戦目。1週前の調教では、文句なしの攻め気配を見せていました。気合いがほとばしりながらも、高い集中力でブレのない走りを披露し、心身のバランスはしっかり取れています。ここを目標に、確実に仕上げてきた印象です。

 鞍上は、戸崎圭太騎手に替わりますが、過去に2度騎乗して、2度目の騎乗の際には鮮やかな逃げ切り勝ち。そうした経験があるのは、心強い限りです。馬場と展開を味方にすれば、一発の魅力が十分にあります」

 そしてもう1頭、吉田記者が「穴中の穴」と言って推奨するのが、サウンドキアラ(牝4歳)。前走で1000万特別の六波羅特別(4月20日/京都・芝1600m)を勝ったばかりの条件馬である。

「速い持ち時計(1分32秒3)があるなかでは、この馬が面白いですね。確かに前走で1000万下を勝ち上がったばかりですが、中団の外目からあっさりと突き抜けていきました。その走りは今までにないパフォーマンスで、4歳馬の成長力は侮れません。タメが利いたことで、末脚の威力が倍増。これこそ、かなりの強調材料になります」

 その切れ味は、まさに大舞台でも通用するディープインパクト産駒のそれ。ただそれ以上に、ここ一番の舞台においては「母系の”血の力”が魅力」と吉田記者は言う。

「サウンドキアラの母は、GIIフィリーズレビュー(阪神・芝1400m)を9番人気で制したサウンドバリアー。さらに母父は、13番人気でGIマイルCS(京都・芝1600m)を勝ったアグネスデジタル。それらから受け継がれた”大駆けの血”が、ここで炸裂する可能性は大いにあります。血統やフットワークから、時計勝負は望むところ。あっと言わせる舞台は整っており、軽く見ると、怖い存在になると思いますよ」

 一方、木南記者はいかにも”人気の盲点”となりそうな馬をオススメする。

「クリストフ・ルメール騎手が騎乗停止となって、鞍上がダミアン・レーン騎手に代わるノームコア(牝4歳)です。”ルメール効果”が薄れて、だいぶ人気を落としそうです」

 今や日本の競馬界では、ルメール騎手の信頼度は相当なもの。確かに、彼が騎乗できないとなれば、それだけでかなり人気は落ちそうだ。

 とはいえ、今回短期免許を取得したレーン騎手は、来日2日目に1日4勝を挙げて、翌日にはGIII新潟大賞典(4月29日/新潟・芝2000m)でメールドグラースに騎乗して、早々に重賞制覇まで遂げている。人気落ちの気楽な立場となって、一発かましても不思議ではない。

 木南記者がさらに続ける。

「ノームコアは、来週のGIオークス(5月19日/東京・芝2400m)で人気になりそうなクロノジェネシスの半姉。クロノジェネシスは、アイビーS(東京・芝1800m)、GIIIクイーンC(東京・芝1600m)と、東京は2戦2勝と適性を見せています。ノームコア自身は、昨年のGIIフローラS(3着。東京・芝2000m)しか東京の実績はありませんが、半妹の戦績を鑑みても、十分に対応できると思います」

 そして、木南記者ももう1頭、「実力馬なのに、印が回らなそうな存在」としてフロンテアクイーン(牝6歳)の名前を挙げた。

「フロンテアクイーンは昨秋、GII府中牝馬S(10月13日/東京・芝1800m)でコンマ1秒差の3着と好走。1着ディアドラ、2着リスグラシューが相手でしたから、相当価値の高い結果と見ています。その後、前走のGIII中山牝馬S(3月9日/中山・芝1800m)で、ついに重賞初勝利。GI制覇につながる、大きなハナ差勝ちだったように思います」 3連単が40万超えの高配当になった先週のNHKマイルC。令和の時代となって、このまま波乱が続くのか。その一端を担う馬が、ここに挙げた4頭の中にいてもおかしくない。