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 筋トレ=つらい、しんどい。このネガティブイメージをくつがえす本、その名も『「そる」だけでやせる 腹筋革命』。「そる」だけなら誰でもできる! と飛びついてしまった私。

 著者の中村尚人氏は、理学療法士でヨガインストラクター。今日まで約2千人のインストラクターを養成し、腰痛などで悩む約1万人の患者さんを診てきたそうです。これは期待できそうですが、なぜ「そる」だけでオールオッケーなのでしょうか。その根拠を、本書が説明してくれました。

◆腹筋は縮めるより伸ばす

 まず従来の腹筋運動は、「縮める腹筋」です。寝転がって上半身を起こすやりかたですね。ところが、「解剖学的にも、筋の硬さから見ても、腹筋は伸びる力のほうが、縮める力よりはるかに強いのです」と言うではないですか。

 さらに、「縮める腹筋は、腹筋を縮めて背筋を伸ばすので、腹筋本来の役割に反した使い方をします。非合理的なトレーニングなので、疲れる割に効果は望めません」。今までの苦労は何だったの? と週に2日は筋トレしている私、愕然としました。

 また、誰もが気にする贅肉といえば、そう、「ぽっこりお腹」。本書によると原因は、皮下脂肪や内臓脂肪だけではなく、「重力による押しつぶし」があるのだとか。具体的には、「あまり筋肉を使わない生活を続けていると、筋力の衰えが進行。そのうち重力によって体が押しつぶされ、よい姿勢を維持できなくなります」。

 そして最終段階が、「背中は丸く猫背になり、骨盤もまっすぐ立てられなくなり後傾。腰が落ちて、胸はつまり、顔は前に出て、ついにはお腹が飛び出して、そこにどんどんお肉がたまっていくのです」。これってもはや恐怖です。

◆「そる」腹筋エクササイズ

「ぽっこりお腹」の原因がわかったら、あとは撃退するのみ。「10秒でお腹がやせ上がる! そる腹筋」を紹介していきますね。

そる腹筋のルール
1. 1日に何回やってもOK!
2. 終わった直後の「お腹が引き上がった姿勢」を5分以上保つ
3. 心身が活性モードになるので、就寝前には行わない

<Step1> 足の指を浮かせる
両足を腰幅にひらき、平行にして立つ。足の指をそらせ、床から浮かせる。
※かかとで重心が感じられたら正解。

<Step2>両手を頭の後ろで組む
親指は組まず下に向け、首筋を挟むようにする。首に負荷がかからないように両手で支え、息を吐きながら頭を持ち上げる。

<Step3>上体をそらせる
息を吸いながら上体を後ろに反らし、キープしたまま呼吸を2回くり返す。
※膝が曲がると、骨盤が前に出て腰がそり、腰痛の原因に!

<Step4>
元の姿勢に戻す
 息を吐きながら元の姿勢に戻る。Step2〜4を5回繰り返す。(1回でもOK)

 いかがでしょうか。私も実践してみましたが、あまりに簡単なのでビックリ。とはいえ、お腹だけピンポイントに、ジワジワ効いているのがわかるのです。

◆メリットしかない! 疲れずに効く

 場所も時間も選ばない、覚えやすいし、何より疲れないのが魅力。「そる腹筋は胸が広がり心臓の圧迫が取れるので、血圧も心拍数も上がらずくるしさを感じません」とのこと。疲労感が少ないから継続しやすい、おまけに効果のほどは体が証明してくれるとあっては、やらないわけにはいきません。

 起床時に、仕事の合間に、いつでもどこでも日常に組み込める筋トレが、「そる腹筋」。その効果を最大限に生かす注意点は、そる腹筋をしたあとは、「できるだけ長い時間、そったときの「お腹が伸びた感覚」を維持すること。最低でも5分以上はキープしてください」。

 普段の姿勢の癖は、なかなかとれないもの。しかし本書は、「大切なのは、つぶれたことに気づいて、その都度修正していくこと。「気づく」「そる」を繰り返し、やせ上がったお腹の状態を体にインプットしていきましょう」とアドバイス。要は、「そる腹筋」そのものを癖にし、姿勢をじょじょに変えていけばいいのです。

 数日「そる腹筋」をやってみた私。気分転換にもなるし、身体を伸ばすことの清々しさが、今や快感になりつつあるのです。

―小説家・森美樹のブックレビュー―

<文/森美樹>

【森美樹】
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓。Twitter:@morimikixxx