インターステラテクノロジズ(IST)の観測ロケット「宇宙品質にシフト MOMO 3号機」の打ち上げ 提供: インターステラテクノロジズ

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◆ついに打ち上げ成功したインターステラテクノロジズ

 堀江貴文氏らが設立した宇宙ベンチャー企業「インターステラテクノロジズ(IST)」は2019年5月4日、観測ロケット「宇宙品質にシフト MOMO 3号機」を打ち上げた。

 ロケットは高度100km以上の宇宙空間に到達し、打ち上げは成功。民間企業が単独で開発・製造したロケットが宇宙空間まで到達したのは日本初となった。

 同社では4号機の製造を進めるとともに、人工衛星を打ち上げられる新型ロケットの開発も加速させる。

◆観測ロケットとはなにか

 インターステラテクノロジズ(IST)は、2013年に堀江貴文氏らが立ち上げた企業で、日本では数少ないロケット開発を手がける会社である。2005年に立ち上がった有志団体をその発端とし、企業化やロケットの大型化など、10年以上にわたって活動を続けている。

 同社が開発した「宇宙品質にシフト MOMO 3号機」(以下「MOMO 3号機」)は、高度100km以上の宇宙空間に、観測装置や実験装置などを打ち上げることを目的としている。こうしたロケットは「観測ロケット」と呼ばれ、人工衛星を打ち上げるロケットとはまた異なる需要、市場が存在する。

 具体的には、宇宙や高層大気の観測や、宇宙到達後に落下する際にロケットの内部が微小重力環境になることを利用した宇宙実験、ロケットや衛星に積む新しい装置の試験などがあり、米国などではすでに事業化されている。ISTではまた、ロケットの打ち上げそのものを利用した企業の宣伝やエンターテインメントなど、幅広い用途での需要を見込んでいる。

 また、開発に必要となる技術は、将来的に衛星を打ち上げるロケットを開発する際にも役に立つ。

 MOMOロケットの1号機は2017年7月に打ち上げられ、エンジンの性能などの実証には成功したものの、高度約10kmでトラブルにより宇宙空間には到達できなかった。ISTはその教訓から、機体の構造を強化したり、さらに機体の姿勢を制御するための、「スラスター」と呼ばれる、小さなロケットエンジンのような装置を搭載したりといった改良を施した、MOMO 2号機を開発した。

 2号機は2018年6月に打ち上げられたが、ロケットは数m上昇したのち、エンジンが停止。落下して炎上し、打ち上げはふたたび失敗に終わった。

◆宇宙品質にシフト MOMO 3号機、宇宙に到達!

 その後の調査で、原因は2号機で新たに追加したスラスターにあったとほぼ断定。スラスターの噴射ガスを作り出す「燃焼器」と呼ばれる部品に問題があり、その結果配管が溶け、エンジンが止まったとされる。

 これを受けてISTは、改良を施した3号機を開発。推進剤(エンジンを動かす燃料と酸化剤のこと)のタンクからスラスターにつながる配管の配置を見直すとともに、燃焼器の部品も改良した、3号機を開発。さらに、事前に実機とほぼ同じ機体を使って燃焼試験を行うなど、打ち上げ前の試験や検証もより入念に行うようにした。

 また、2回の失敗にもかかわらず、スポンサーやクラウドファンディングは順調に集まった。そのうち、ネーミングライツ(命名権)を取得した、SHIFT社長で実業家の丹下大氏によって、今回の3号機は「宇宙品質にシフト MOMO 3号機」と命名された。クラウドファンディングでは過去最多となる1173人からの出資があり、支援総額は1981万円にのぼった。

 さまざまな試練を乗り越え、そして期待も背負ったMOMO 3号機は、2019年5月4日(土)5時45分、北海道大樹町にある発射場を離昇した。ロケットは快調に上昇し、打ち上げから約4分後に高度113.4kmに到達。その後、安全に海上に落下した。

 民間企業が単独で開発・製造したロケットが、宇宙空間まで到達したのは日本初であり、同社にとって、そして日本の宇宙開発の歴史とって大きな快挙となった。