自ら動物園にやって来たアライグマ(画像は『Rhein Neckar Zeitung 2019年5月3日付「Plötzlich war da noch ein Waschbär im Gehege」(Foto: Peter Bastian)』のスクリーンショット)

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ドイツのハイデルベルクにある動物園に、野生のアライグマ1匹が勝手に引っ越してきたようだ。動物園はこのアライグマを“フレッド”と名付けて見守っているが、一向に立ち退く様子はないという。『Rhein Neckar Zeitung』などが伝えている。

アライグマの“フレッド”が動物園にやってきたのは5月3日のことだった。アライグマ舎は2014年3月に新設され、現在フレッドを含む8匹が平和に暮らしている。同園の館長であるサンドラ・ライクラーさんは、新入りのフレッドについて次のように語っている。

「柵で入れないようになっている園内にフレッドがどうやって侵入したのか、誰もわかりません。ある朝、突然現れて他のアライグマと一緒に暮らすようになりました。動物園では自分で餌を探す必要もないわけですから、フレッドにとっては楽園なのかもしれません。最初の頃はスタッフを警戒していましたし、夜行性でした。でも次第にスタッフにも慣れ、他のアライグマの生活リズムに合わせるようになってきました。」

短期間ですっかり順応した様子のフレッドだが、不法侵入したフレッドには動物園もお手上げの様子だ。もともとアライグマは北米原産で、EUでは生態系等に被害を及ぼす外来生物に指定されている。ドイツにアライグマが繁殖したのは、1950年代に毛皮農場から逃げ出したり、それを放置したことが原因と言われており、サンドラさんは「EUの規制法により、一度動物園に棲みついてしまったフレッドを自然にかえすことはできません。また園内の全てのアライグマには去勢手術が義務付けられており、フレッドが子孫を残すことはないでしょう」と述べている。

野生のままでいればそれなりの自由もあったはずだが、上げ膳据え膳の園舎での生活を選んだフレッド。後で「やっぱりまっとうに生きてりゃ良かった」と後悔しても遅いだろう。

ちなみに日本でも特定外来生物に指定されているアライグマだが、北米ではあちこちに出没したびたび世間を騒がせている。2017年2月にはゴミ収集車にしがみつく姿がキャッチされており、11月には食べ過ぎて下水溝にお腹がはまってしまった1匹が救助されていた。

画像は『Rhein Neckar Zeitung 2019年5月3日付「Plötzlich war da noch ein Waschbär im Gehege」(Foto: Peter Bastian)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)