インテルから5Gモデム開発者を引き抜き?から将来はAirPodsが運動コーチ?まで。最新アップルの噂まとめ
Martin Roe / MediaPunch/MediaPunch/IPx

平成から令和に移ろうゴールデンウィークのさなか、iOSとmacOSも年号に対応したベータ版をリリース。その一方でiPhoneの「4G」から「5G」移行に関するニュースも少なからずありました。

アップルがインテルから5Gモデムチップ開発者を引き抜き?から将来はAirPodsが運動をコーチ?まで、この1週間に届けられた最新の情報を振り返ります。

アップルがスクリーンタイムとかぶるiOSアプリを削除や機能制限?開発者がEU当局に苦情申し立て

アップル、ペアレンタルコントロールアプリ取り締まりは「セキュリティーの問題」とNYTに反論

Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images

アップルが2018年9月にiOS 12にて「スクリーンタイム」を導入して以来、それと機能が重複するサードパーティの「ペアレンタルコントロール」アプリを取り締まっているのではないかーー米大手新聞The New York Timesは独自の調査とともに、最も人気のある2つの関連アプリがアップルの圧力に対してEUの規制当局に苦情を申し立てたとのニュースを報じました。

スクリーンタイムは本人がiPhoneの使用状況を確認できることに加えて、保護者が子供のデバイス使用に制限をかけられます。後者は一般的には「ペアレンタルコントロール」と呼ばれますが、このジャンルは何年も前からサードパーティ製アプリが人気を誇っていた分野。そうしたアプリにつき、アップルがiOS 12リリース近辺から開発者に機能削除を要求したり、場合によってはストアからアプリを削除していると伝えられています。

NYT報道に対してアップル広報は、アプリ開発者に機能の変更を求めたのはユーザーのデバイスから情報を引き出しすぎたことが理由であり、スクリーンタイムとは関係がないと回答しました。

その数日後、アップルは改めて「ペアレンタルコントロールについての事実」との公式リリースを発表し、「ユーザーのプライバシーとセキュリティを危険にさらしたから」との主張を重ねて強調しています。

さらに規制対象とされたペアレンタルコントロールアプリは、本来は企業が社内で使うデバイスを管理するためのMDM(モバイルデバイスマネジメント)技術を一般ユーザー向けに使用していたと説明。これはApp Storeのポリシー違反である一方で、実際にハッカーがMDMを悪用した事例もあると述べています。

そうした危険をはらんだMDMアプリの取り締まりは、アップルの視点では「競争の問題ではなく、セキュリティーの問題なのです」とのこと。つまりスクリーンタイムと競合したから締め出したのではなく、App Storeプラットフォームの公正な運営の一環として、ユーザーのプライバシー保護を優先したに過ぎないとの主張です。

しかしNYT報道は、iOS標準のスクリーンタイムがサードーパーティ製アプリよりも不便だとする数々の声を紹介し、何年も前から好評を博しているMDM使用アプリがiOS12リリース後に取り締まりが強化された不自然さも指摘しています。

もちろん、これまで一見して便利と思われていた機能が実はセキュリティホールだったと判明し、事後に禁止されることも珍しくありません。とはいえ、アップルには「スクリーンタイムは機能が不十分だ」という声に応えて、今後の改善が期待されるところです。

アップルがインテルの5Gモデム開発者を引き抜き。クアルコムと和解する直前



今年4月半ばにアップルがクアルコムとの特許使用料をめぐる訴訟を終結し、和解金を支払うとともに半導体供給を含む複数年の契約を締結。この背景にはインテルの5Gモデムチップ開発が遅れている事情があり、iPhoneの5G対応を急ぐアップルがやむにやまれず和解......と推測されていました。

が、英メディアThe Telegraphは、実は和解の直前にアップルがインテルから5Gチップ開発の中心人物Umashankar Thyagarajan氏を引き抜いていたと報道。インテルの幹部らがThyagarajan氏を「2018年iPhone用モデム開発に重要な役割を果たした」と説明した社内メールも合わせてリークしています。

Thyagarajan氏がアップルに転職した今年2月は、まさにインテル製の5GモデムがiPhone2020年モデルに間に合わないとの噂が報じられた時期と一致。むろん、複数の人間が関わり長期間を要する5Gモデム開発が1人が抜けただけで頓挫したとは考えにくいのですが、インテルが重荷となっていたスマートフォン向けモデム事業を縮小する上で判断材料の1つになったのかもしれません。

「令和」対応の開発者向けiOS 12.3とmacOS Mojaveベータ版がリリース。しばらく一般公開版は「平成31年」



アップルが4月29日(米現地時間)、開発者向けにiOS 12.3 Beta4ととmacOS Mojave 10.14.5 Beta4ほかの最新ベータ版をリリース。このうちiOSとmacOSに関しては、5月1日0時から施行された新元号の「令和」対応となっています。

実は4月8日公開のiOS 12.3 Beta2およびmacOS 10.14.5 Beta2以降は「令和」対応しており、今回のリリースでもその仕様が引き継がれたにすぎません。「令和1年」ではなく「令和元年」表記にも対応しています。

逆にいえば、アップル製品上での「令和」対応はベータ版止まりで、一般ユーザー向けOSでは5月5日現在でも「平成31年」表記のまま。早くも4月26日付けで個人向けのWindowsとOfficeでも新元号に対応したことを案内したマイクロソフトとは対照的ですが、事務職に普及しているマイクロソフト製品と、主にクリエイティブ方面で活躍するアップル製品の違いが集約されていそうです。

アップルが「ポーズ検出機能付きワイヤレスイヤホン」の特許を取得。将来はAirPodsが運動をコーチ?

Patently Apple

将来のAirPodsに健康モニタリング機能が搭載されるとの噂はたびたび報じられていますが、新たに「ポーズが検出できるAirPods」の実現に繋がりそうな特許取得が明らかとなりました。

要約すればワイヤレスイヤホン(AirPods)に加速度計のような方向センサーを内蔵し、運動時の動きを検出。そこからユーザーの頭が左右や前後に傾いているといった「ポーズ」を捉え、イヤホンを通じて音声で通知したりコーチをするというもの。

ほかユーザーの運動を評価してパフォーマンスの報告や警告などもできるとのこと。「必要に応じて方向センサーを追加できる」との記述からは、各種センサーを内蔵するApple Watchとの連携も予想されます。

特許文書では決まった動きのコーチも想定され、具体的には「ヨガ」も言及されています。将来的にはスポーツジムでパーソナルトレーナーの元で行う運動が、自宅でAirPodsの個人レッスンにより可能となるかもしれません。

完全ワイヤレスイヤホンPowerbeats Pro、米国およびカナダで5月10日発売。日本向けは未定



Beats by Dr. Dre

屋外で汗を流すワークアウトに愛用されている、アップル傘下のBeatsブランド製品。そのシリーズ初の完全ワイヤレスイヤホンPowerbeats Proが、アメリカとカナダでは5月3日に予約開始、同10日に店頭でも発売が決定したとのニュースです。

Powerbeats Proは第2世代AirPodsと同じApple H1チップを搭載し、音声アシスタント"Hey Siri"にも対応。その一方で耐汗・防沫性やバッテリー駆動時間ではAirPodsよりも優位(5時間に対して9時間)に立っています。

新たなBeatsの説明によれば、内部的にもゼロから新規設計され、従来のPowerbeats製品よりも音響レスポンスや音質も向上しているとのこと。左右のイヤホンを繋ぐケーブルがなくなっただけでなく、音楽を楽しむイヤホンとしてもスペックアップしています。

本体色にはAirPodsにはない「黒」も用意され、耳に合わせて調節できるイヤーフックも同梱。スポーツをたしなむ人にとっては理想的な相棒となりそうですが、日本での発売は未定。少しでも早い正式発表を待ちたいところです。

クアルコム、アップルとの和解で5000億円以上の収益。今年秋からiPhoneへのチップ供給再開か



クアルコムは5月1日(米現地時間)2019年1〜3月期の決算を発表し、この中でアップルとの和解により得られる収益の増加に言及。アップルからの現金払いや支払い義務の免除を含めた合計は45億〜47億ドル(5020億〜5040億円)だと明かしました。

和解の結果としてクアルコムが1株当たり2ドルの収益増を予想したことから逆算して、アップルが50億〜60億ドルの1回払いをしたとのアナリスト分析もありました。5000億円超というと莫大な額には違いありませんが、アップルにとっては安く抑えられたようです。

その収益増を除いた第3四半期(4〜6月)のクアルコム売上高は47〜55億ドルとされ、アナリスト予測よりも低調。しかし、この数字は今年の後半に5Gネットワークが登場するまで中国の消費者が買い控えしているからとされ、年末にかけては明るい見通しが語られています。

アップルのiPhone出荷台数は前年同期比で30.2%減少の落ち込みを見せていますが、そうした逆風はクアルコムにも共通しています。過去のしがらみを乗り越えたかつてのライバル同士が共闘し、中華圏市場での巻き返しに乗り出すのかもしれません。

アップル、ドイツ自転車道のリンゴ型ロゴに抗議。現地の観光協会は困惑

Apfelroute

アップルは自社ブランドの保護に熱心で、最近ではスティーブ・ジョブズ元CEOが愛用した「One more thing」をめぐってスイスの時計ブランドSwatchの商標登録に異議を申し立てていました。

しかし、今度の相手は大手企業ではなく、ドイツの一地方にオープン予定の自転車道です。菜園や果樹園の近くを通ることから「Apfelroute」(リンゴの道)と名付けられたサイクリングロードに用いられるリンゴ型のロゴが、自社のそれに酷似しているとして異議を申し立てていると報じられています。

このロゴはApfelrouteオープン向けに用意されたユニフォーム等のグッズやサイクリングマップにも印刷済み。アップル側の弁護士がGPTO(ドイツ特許商標庁)に商標の承認取り消し、自転車道を主催する観光協会にはロゴ使用中止を求める強硬な姿勢に、現地では戸惑いの声が上がっています。

過去にもアップルはドイツの西部ボンにある家族経営のカフェ「Apfelkind 」(リンゴの子供)によるリンゴ型ロゴの商標登録に対して裁判を起こし、結果的に敗訴しています。とはいえ2年越し、しかも巨大企業からの訴訟は当事者にとって並々ならぬ負担になったことは想像に難くありません。訴えられた側に同情の声も集まっている世論にアップルがどう反応するか、見守りたいところです。