渋滞が発生する原因は基本的に料金所やサグ部の交通集中

 公道を走行するすべての車両(自動車から自転車まで)は、道路交通法(道交法)に従う必要がある。赤信号で停止するのも、合流地点で一時停止するのも、道交法で決まっている。制限速度についても基本となる「法定速度」は道交法が定めている。

 しかし、多くのドライバーは道交法を守っていると渋滞必至、制限速度などの交通規制は実状に即していないと考えているかもしれない。なぜ、実際と法規が乖離(かいり)しているように感じてしまうのだろうか。

 まず、ひとつ誤解を解いておきたいのは「道交法を厳守して走ると渋滞してしまう」という部分だ。渋滞の原因はいくつかあるが、事故や料金所などのボトルネックについては交通量が道路のキャパシティを超えてしまっていることが理由なので、道交法とは関係なく起きうる。

 しかし、サグ部(下り坂から上り坂にさしかかる部分)での無意識の減速による自然渋滞の原因をひと言でいえば「車間距離が短すぎる」ことにある。車間距離が短いと先行車の減速時にブレーキを踏んでしまい、そのブレーキランプの点灯が後続に連鎖してしまい、渋滞が発生してしまうというのが基本的なメカニズムだ。

 その原因からすると、道交法を守った運転を皆がして車間距離を十分にとっておけばサグ部での渋滞は起きにくくなるといえる。道交法が実状に即していないのではなく、ルール厳守をすれば渋滞を避けられることもあるのだ。

交通事故の原因は圧倒的にドライバーのルール違反

 道交法を守っていたほうが円滑に流れるであろうケースはほかにも思い浮かぶ。たとえば信号のタイミングについて、幹線道路などでは系統制御といって連続する信号機のタイミングを合わせることで流れをスムースにするといった工夫がなされている。交通状況に合わせて制御しているわけだが、その管轄は都道府県警である。

 そのため法定速度や指定速度を大幅に超えて走らせていると信号機が青になるタイミングに合わないことが多い。指定速度を若干下まわったスピードで走ると信号のサイクルにぴったりとはまる、という経験のあるドライバーは多いのではないだろうか。

 スピードを出して、車間距離を詰めたほうが移動時間は短くなると思いがちだが、全体を管理するマザーコンピュータが自動運転車を走らせているのではない限り、そうした「遊びのない」ない走らせ方で円滑に流れると考えるのは難しい。車間距離といった、ある種のバッファはドライバーのスキル差を吸収するために必要な要素でもあるからだ。

 また、渋滞の原因となる交通事故は、圧倒的にルール違反から起きることが多い。信号無視、スピード違反、一時停止違反などなど道交法を厳守していれば起きなかったであろう交通事故も少なくないだろう。道交法が実状に即していないので発生している渋滞よりも、ルール違反が原因で起きている事故のほうが、より多くの渋滞を生み出しているのではないだろうか。

 また、これから自動運転の時代に向かっているが、その共通ルールとして道交法が基本になるのは間違いない。自動運転車が速度を守り、整然と走っているなかで、ドライバー自身による無謀な運転をしているクルマがあれば、厳しく取り締まられることになるだろう。すでに欧州では道路情報から最高速度を制限する「スマートリミッター」が議論されるようになっているが、自動運転とドライバー自身による運転が共存するためには、道交法といった基本ルールを遵守することが最低限の必要条件になるだろう。

 もちろん、その際に実状に即していない部分は改正すべきだろう。たとえば3車線以上の幹線道路であれば、制限速度を70〜80km/h程度まで高めることも議論されるべきだ。しかし、スクールゾーンなどでもお構いなしに速度を出しているドライバーを見かける現状を考えると「スマートリミッター」など強制的にルールを守らせる仕組みのほうが求められるのではないだろうか。