読売巨人軍の岩隈久志(いわくま ひさし)投手(撮影:吉濱篤志)

アメリカ・メジャーリーグのマリナーズを自由契約となり、今シーズンから読売巨人軍に入団した岩隈久志投手、38歳。8年ぶりの日本球界復帰となった岩隈投手はケガからのリハビリ・トレーニングに勤しんでいる。大阪近鉄バファローズ、東北楽天ゴールデンイーグルス時代のチームメイトで、現在プロ野球解説者として活動する礒部公一氏が神奈川県川崎市のジャイアンツ球場を訪れた。

近鉄がリーグ優勝した2001年は、「いてまえ打線」「猛牛軍団」という名称とともに、当時の近鉄打撃陣を記憶している読者の方が多いかもしれません。

この年、岩隈久志という投手は近鉄入団翌年の高卒2年目で1軍デビュー。初年度9試合に登板し4勝2敗、防御率4.53。チーム防御率はリーグ6位の4.98でした。


4月上旬、岩隈選手のもとをプロ野球解説者の礒部公一氏が訪れました(撮影:吉濱篤志)

そして、これまでの私のコラムでも話してきたとおり、2004年の球界再編で、近鉄という球団は消滅。

岩隈投手とは「一緒に頑張ろう」と互いを励まし合い、2005年から新天地・楽天でイチからチームを作っていったチームメイトでもありました。

他のパ・リーグ5球団とは戦力も大きく劣る中でどうにかチームとしての形をつくっていったことは今でも鮮烈な気持ちとして残っています。

岩隈投手は2011年オフにメジャー挑戦し、マリナーズ時代はノーヒットノーランを達成するなど活躍しました。

巨人入団で日本球界復帰した岩隈投手

そして今年、8年ぶりに日本球界へ復帰、セ・リーグの読売巨人軍に入団。2017年9月に右肩をケガして手術を行い、マリナーズの契約最終年となった2018年もリハビリを続けてきました。今年2月上旬は、右ふくらはぎを痛め、現在実戦復帰に向け2軍での調整を進めています。

所属チームの巨人はスタートダッシュに成功し、5月1日時点で2位に1.5ゲーム差をつけて首位。岩隈投手の復帰も待たれます。

プロ生活20年目、この4月には38歳となった岩隈投手に今シーズンに懸ける思いをインタビューしました。

――2019年シーズンも開幕しましたが、調整はどのくらい進んでいますか?

調整は少しずつですが、いい感じにできていると思います。腕を振るということに対しても不安がなくなってきています。ただ、(メジャーとNPBでは)ボールの感覚が全然違いますね。


現在のコンディションについても話した岩隈投手(撮影:吉濱篤志)

扱いにくい部分があって、このボールに慣れる作業も進めています。ボールを押さえつけるというか、メジャーのクセがなかなか抜けなかったという感じですね。

正直、この1年半は実戦から離れています。2018年は少しマイナーリーグで投げていましたが、感覚はよくはなかったです。

マウンドに復帰するときはバリバリ順調な姿で戻っていたいですね。

巨人を選んだのは熱い気持ちだった

――日本球界に8年ぶりに戻ってくるとなったとき、古巣の楽天を含め、選択肢はいくつかあったと思います。巨人を選んだ理由を改めて教えてください。

原(辰徳)監督が、僕のところに直接連絡をくださって熱い思いをぶつけてくれたのがいちばんの理由ですね。もう38歳になって、ある程度年齢もいったので、44歳や45歳までピッチャーとして現役を続けたいというよりも、1年でも2年でも現役生活を続けられたらいいと思っています。

契約上の年俸がという話よりも、ここ(巨人)でやってみたいという気持ちがいちばん大きかったですね。まさかジャイアンツから、原監督から連絡をもらえるなんて思ってもみないことだったので、「僕のことを必要としてくれている」という部分で熱い気持ちを感じました。

――これまでは近鉄、楽天とパ・リーグでしたが、セ・リーグという新しいリーグでの野球も新鮮なところがありますね。


巨人での期待を話した岩隈投手(撮影:吉濱篤志)

8年ぶりに日本球界に復帰して、セ・リーグの選手をイチから勉強してフレッシュな気持ちで対戦したいですね。じっくりいい状態にしてチームに貢献したいなと思います。

――近鉄・楽天時代のようなキレのあるボールを期待したいですね。

これまで下半身を作ってきて、上半身と下半身のバランスにも気をつけて調整してきました。マウンドの違いもありますね。メジャーの硬いマウンドと日本の柔らかいマウンドという違いがあるんで。キャッチボールをしたり、投球練習をしながらその部分を合わせていけたらなと。

――メジャーでの8年間をこれからどう生かしていきたいですか。38歳というともうベテランの立場になりましたし、若手に伝えていきたいことは?


岩隈 久志(いわくま・ひさし)/読売ジャイアンツ投手。1981年生まれ。1999年ドラフト5位で近鉄入団。楽天(2005〜2011年)、マリナーズ(2012〜2018年)を経て8年ぶり日本球界復帰(撮影:吉濱篤志)

自分の「経験」を伝えていくしかない、生き様がそのままかなと。

今の若い選手に参考になるかと思いますし、とにかく自分がメジャーで経験してきたいろいろなことを話せるように、メジャーで培ってきたことを伝えたいですね。

技術的な部分に関しても、自分がバリバリのメジャーでやっていたころを見ながらプロに入ってきている選手もいるので。

今の巨人は3軍まであって、自分の若手時代と比べてもハングリーさを非常に感じます。

早く上に上がってやろうというハングリーさを、今2軍にいる中でも感じますし、彼らから奮い立たされることも多くあります。

早く投げる姿を見せられるようにしたい

――近鉄出身で現役選手として残っているのは坂口智隆選手、近藤一樹選手(いずれも東京ヤクルトスワローズ)と岩隈投手の3人になりました。今シーズン途中からの実戦復帰になると思いますし、投げられても10試合程度の登板になるかもしれませんが、岩隈投手の活躍に期待しています。

1年でも長くやっていけるように、と思って日々調整していきます。今、近鉄最後の3人となりましたし、交流戦の前には皆さんの前で元気な姿を見せられるように頑張っていきます。