西部氏が選出したW杯インパクト・ベストイレブン。各大会で印象的な活躍をした選手たちで構成した。(C) Getty Images

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 ワールドカップで印象的な活躍をした選手で11人を選んだ。
 
 GKは1998、2006年大会で活躍した川口能活。どちらもチームがグループリーグ敗退だったが川口の奮闘は光っていた、というより神がかっていた。ゴール前でキックを空振りするなどミスでも目立っていたのだが、良くも悪くもインパクトの大きさで川口の右に出る者はない。06年のクロアチア戦ではPKをストップしている。

 
 センターバックは中澤佑二、田中マルクス闘莉王の2010年組。このコンビが代表史上最強だと思う。中西永輔は98年アルゼンチン戦の活躍から選出。アルゼンチンの10番アリエル・オルテガを完封した。ワールドカップ初出場の第1戦、しかも相手は優勝候補のアルゼンチンだったが、中西はオルテガを交代に追い込むほど1対1で抑え込んでいる。3戦全敗に終わったフランス大会だったが、個々のプレーぶりは堂々たるものがあり、日本選手のメンタルの強さは印象的だった。長友佑都は3大会で高水準のプレーぶりで文句なしだろう。
 
 ボランチは02年大会の「旬の男」稲本潤一。ベルギー戦とロシア戦で印象的な得点を決めている。10年のデンマーク戦は3-1でスコアのうえでは快勝しているが、実はスコアが逆になる可能性のあった試合。デンマークの、今でいうポジショナル・プレーに序盤の日本は混乱に陥っている。そこで解決策を出し、FKも決めた遠藤保仁を稲本のパートナーに置いた。
 
 香川真司、乾貴士は記憶に新しい18年の名コンビだ。この2人の関係を大会直前に発見したのは大きかったと思う。大久保嘉人は10年の活躍よりも、14年のコロンビア戦のプレーぶりから選んだ。完敗した印象しかないかもしれないが、この試合の大久保は圧巻である。最後の最後に本田でも香川でもなく、大久保のチームになっていたのが良くも悪くも印象に残っている。ザッケローニ監督は大久保をチームに組み込むのが遅すぎた。
 
 鈴木隆行を選んだ理由はただ1つだ。02年ベルギー戦の1−1に追いついたゴールによる。あのゴール直後の、上から音の固まりが降ってくるような体験は後にも先にもない。チームにもスタンドにも、あのゴールでスイッチが入った。鈴木がツマ先で押し込んだゴールの瞬間から、日本のワールドカップは始まった気がする。あの時点で、日本はワールドカップでまだひとつの勝点もあげていなかったのだ。監督はこのメンバーを把握している西野朗。
 
 名前に「田」がつく選手でチームを編成してみた。「ふざけるな」とお怒りの方は、まず選出した選手をご覧になっていただきたい。十分強力なメンバー構成になったと自負している。
 
 まず、GKは自動的に決まった。歴代GKで名前に「田」がついているのは権田修一しか思い浮かばなかったからだ。他の「田」のメンバーに比べると実績で劣るが、そういうことを言っている場合ではなかった。
 
 秋田豊、吉田麻也、松田直樹の3バックは文句なし。田中マルクス闘莉王をもうひとつのチームへ回す余裕すらあった。ウイングバックの右に内田篤人、左に中田浩二。ここも収まりがよく、まったく問題がない。山田暢久をバックアップに置いておこう。
 
 中盤のセンターは、アンカーに2002年ワールドカップで活躍した戸田和幸。インパクト・イレブンに選出すべきだったかもしれないが、どう考えてもこちらのチームの層が薄いので優先的に「田」のほうで選抜。中田英寿と本田圭佑の選出に異論はないだろう。これ以上の「田」選手を探すのは難しいはずだ。
 
 2トップは06年ブラジル戦で鮮やかな先制点を決めた玉田圭司と、ワールドカップには出場していないが主にザッケローニ監督の代表で活躍した前田遼一。前田がポストプレーヤーで玉田がセカンドトップという関係になる。
 
 いかがだろうか。名前に「田」がつく選手で日本代表を選抜するという、実にテキトーな理由でやってみても、これだけの堂々たるチームが出来たのは我ながら驚いた。それだけ日本代表選手の層が厚く、素晴らしい選手が多いのだ。たんに「田」がつく人が多かっただけかもしれないが。
 
文●西部謙司(スポーツライター)