人手不足が叫ばれるなか、大手企業がいま、「早期希望退職」という名のリストラで、45歳以上の人員整理に走っている。

 いったんリストラのターゲットにされたら、抵抗し続けるのは難しい。会社は「辞めてほしい人」のリストを作って、狙い撃ちしているのだ。

「『辞めてほしい人』『残ってほしい人』『本人の対応次第』、この3種類に分けています。辞めてほしい人には最初から、『会社にいても、いい未来は描けないよ』と勧奨するわけです。『辞めろ』と言えば違法ですが、『退職勧奨』は法に触れませんから」(人事ジャーナリスト・溝上憲文氏)

 となれば、割増退職金を手に、さっさと会社に見切りをつけたほうがいい。だが、本当に45歳以上でも、転職先はあるのだろうか。

 ここに心強いデータがある。リクルートエージェントの調査では、2009年度を1とした転職決定者数は、2018年度には4.04倍に増えているのだ。 

「転職はこれまで『35歳限界説』がありましたが、実際にデータを見ると、45歳以上の転職は、この10年で4倍にも増えているんです。年齢よりも実力重視の傾向が見てとれます」(リクルートキャリア編集長の藤井薫氏、以下同)

「転職先はあっても、業種は限られているのでは?」。そんな疑問も覆された。調査では、45歳以上の転職決定先は、多業種に及んでいる。とくに「電機・電子・機械」「IT・通信」「建設・不動産」がトップ3だ。

「電機・電子・機械業界に含まれる総合電機メーカーや自動車産業では、45歳以上の人が一定数採用されています。IT・通信業界では技術の進化が早く、『プログラマー35歳限界説』がいわれたように、40代以上が中途で入るのは厳しいイメージでしたが、ここにも45歳以上の方々の転職は少なくありません」   

 背景にあるのは急速なデジタル化の進展だ。自動車メーカーでは、従来のエンジン、機械の専門家だけではなく、人工知能の専門家のニーズがある。

 また、総合電機メーカーの技術者が、ITベンチャー企業に転職する動きもある。 

「大手電機メーカーは、ハードからITサービスへ事業をシフトさせていますが、一方でITベンチャーは、大手電機メーカーのハードの技術者を欲しがっているケースもある。日本中で、こうした『リ・マッチング』が進んでいるんです」

 建設・不動産業界では、慢性的な人手不足がある。しかもベテラン技術者へのニーズは高まっているという。

「45歳で、ゼネコンでは社員の教育係をしている人が、現場に戻りたければ、地元に帰ってハウスメーカーでその技術を生かせる転職先もたくさんあります」

 自分には求められる、「強み」があるはずだ。それを見つけるのが、成功への近道だという。 

「いまや会社の規模は、安定性につながらない。一方で、元気のいいベンチャー企業も30年後にどうなっているか、誰も予測できない。となると、頼りになるのは会社ではなく、個人としての強みです」

 大手企業から中小企業への転職には、心理的な抵抗もあるかもしれない。 

「サッカーでいえば、大きなクラブでレギュラーを外された状態がいいのか、中堅クラブでレギュラーで活躍するほうがいいのか。どっちを目指すかということです」

 前出の溝上氏は、いまこそ転職のチャンスだという。

「転職市場にも、少しずつ異変が起き始めている。景気に陰りが見えてきたからです。企業もまだ内部留保があるから割増退職金も出る。転職を決断するなら、今のうちに動くべきでしょう。

 転職では人脈が役に立ちます。取引先、つき合いのある会社、高校、大学時代の友人まで、人脈を総ざらいしてみることです」

 リストラという逆境は、「強み」と「人脈」があれば、はね返せる。45歳からでも遅くはないのだ。

(週刊FLASH 2019年4月30日号)