今年のゴールデンウィークはなんと10連休!何をするか迷っている方も多いのでは?そんな時は読書がおすすめです。自宅で読むも良し、美味しいコーヒーと一緒に読むも良し。旅行へ行く車中で読むのも良し。今回は、GW中にサクッと読める短編集をご紹介します。

1.ファンタジーの世界が広がる20の短編を収録。『海の上の少女ーシュペルヴィエル短篇選 ジュール・シュペルヴィエル著

『海の上の少女ーシュペルヴィエル短篇選』ジュール・シュペルヴィエル著、綱島寿秀・訳(みすず書房/2,400円)

海に浮かぶ小さな村で永遠を生きる少女を見つめる表題作のほか、20の短編を収録。揺らぎながら存在する少女、幾多の動物たちが、ファンタジーの世界の案内人だ。

■ジュール・シュペルヴィエル
南米・ウルグアイで生まれたフランス人詩人ジュール・シュペルヴィエルは4冊の短編集を発表しており、こちらはそこからの抜粋。大西洋のはるか沖合の村で“生きる”12歳の少女を描いた表題作の結末は、なんとも切なくそれでいて抒情的だ。このほか、童話や妖精譚、神話物語ともいえそうな作品を収録しているが、どれもその枠にとどまらない独自性を発揮している。

(Hanako1127号掲載/text:Hikari Torisawa)

2.新世代ショートショートの旗手が魔法をかける、18の話。『ショートショート・マルシェ』田丸雅智著

『ショートショート・マルシェ』田丸雅智著(光文社文庫/500円)

『ショートショート・マルシェ』は、忙しくて本を読む暇がないとぼやいている友人に。「18篇の作品が入っていますがどれも7ページほどで、日常から一気に作品の世界へ。通勤電車の隙間時間などに読むと、リフレッシュできます」(〈八重洲ブックセンター 上大岡店〉店員・平井真実さん)

(Hanako1127号掲載/photo:Yuko Moriyama text:Aya Shigenobu)

3.人生の切なさと温かさ、哀しみ、おかしみが滲む短編集。『とりつくしま』東直子著

『とりつくしま』東直子著(ちくま文庫/600円)

「号泣すること間違いなし!」なのは『とりつくしま』。「亡くなった人が天国へ行く前に、一度だけ最愛の人の身の回りのものになり、そばにいられるという物語。感動したり、ほのぼのしたりできる素晴らしいショートストーリーです。普段、小説を読まない方への入門書としても最適ではないでしょうか」。(〈久美堂 小田急店〉店長・藤田哲也さん)

(Hanako1127号掲載/photo:Yuko Moriyama text:Aya Shigenobu)

4.女性の心情をそっと優しくすくい上げてくれる連作短篇集。『永遠とは違う一日』押切もえ著

『永遠とは違う一日』押切もえ著(新潮社/1,400円)

『永遠とは違う一日』には「女性の社会における立ち位置の難しさ、潔さ、そしてたくましさは、いざというとき男の想像を超える力があるなと感じました。どの章も女子力が全面に押し出されていて、読み応えバツグン!」(〈久美堂 小田急店〉店長・藤田哲也さん)

(Hanako1127号掲載/photo:Yuko Moriyama text:Aya Shigenobu)

5.センス・オブ・ワンダーを詰め込んだ傑作短編集。『愛はさだめ、さだめは死』ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著

『愛はさだめ、さだめは死』ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著、伊藤典夫、浅倉久志・訳(ハヤカワ文庫/940円)

近未来、宇宙、サイケデリックetc.。センス・オブ・ワンダーを詰め込んだ傑作短編集。コンピューターに接続されてアイドルに作り替えられる女性が登場する「接続された女」など12編を収める。「『男たちの知らない女』もそうですが、フェミニズム的視点が投影された作品もいろいろ。序文もとびきり面白いので、ぜひ初めから追記まで読んでください」(アイドル・ライター・西田藍さん)

(Hanako1127号掲載/photo:Maki Ogasawara text:Hikari Torisawa)

6.ドイツを代表する作家の短編集。『メルヒェン』ヘッセ著

『メルヒェン』ヘッセ著、高橋健二訳(新潮文庫/400円) 

「特に『アヤメ』のイリスという登場人物の台詞は暗唱したいほど素晴らしい」(メイクアップアーティスト・向田麻衣さん)

7.ブラックユーモア満載の短編集。『食べられた男』阿刀田高著

『食べられた男』阿刀田高著(講談社文庫/新装版571円)

「中学生の頃に読んだのですが内容が少し大人っぽくて。自分の中でしばらく“エロ本カテゴリー”に入ってました」(アーティスト、とんだ林 蘭さん)

(Hanako1127号掲載/photo:Aya Tokunagat(kiki inc.) text:Mariko Uramoto)

8.映像界のプロが描くリアルな昭和の時代。『思い出トランプ』向田邦子著

『思い出トランプ』向田邦子著(新潮文庫/460円)

「小説も書く映像界の先輩として尊敬する向田さん。映像的な手法を使って決定的な情景を切り取り描写する短編集です」。直木賞を受賞した「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を含む、13編を収める。

(Hanako1127号掲載/photo:Maki Ogasawara text:Hikari Torisawa)

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