日本一短いローカル私鉄路線はどこにあるのか、そしてどれぐらいの距離を走っているのでしょうか。4月25日放送『多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N』では、和歌山県御坊市をクローズアップしました。御坊市は和歌山県の中部で海岸沿いに位置しており、大阪からは電車で2時間ほどかかる場所にあります。

その御坊市には、紀州鉄道という電車が走っており、日本一短い電車として知られています。

日本一短い私鉄というと、厳密には千葉県にある芝山鉄道が挙げられますが、こちらは他の路線と相互乗り入れを行っており、単独で走っている鉄道という点で、最も短いと言えます。

紀州鉄道が走っているのは、JR御坊駅と同じ場所にある紀伊御坊駅から西御坊駅までのわずか2.7km。
JRだと1駅分ほどに相当する距離ですが、全部で5駅もあり、路面電車ではなく大きな車両が走っています。

今回は紀州鉄道・紀伊御坊駅の駅長さんで運転士でもあるという大串昌広さんに、パーソナリティーの多田しげおが電話で話を聞きました。
 

駅長と運転士を兼務

2.7kmの間で5駅もあるということは、1駅あたりが600〜700mほどとなりますが、電車の速度はだいたい時速25kmで、最高速でも30km台後半ほどとゆっくりだそうです。

車両は2両保有していますが、1日中どちらかが走り続けて、もう一方はお休みし、交互に使い続けているとのことです。

1日20往復ほど運転していますので、終点についてしばらくしたらまた出発の繰り返しです。

また、運転手は現在5名いて、運転のローテーションが組まれていますが、大串さんは駅長をしながら運転士も務められているということは、どのような勤務形態なのでしょうか。

多田「例えば午前中運転して、昼から駅長をやるんですか?」

大串さん「それはないですね。その日によって今日は駅、明日は運転とか勤務を組んでますね」

多田「その日は運転だと、駅長はいないわけですか?」

大串さん「そうですね。駅長不在になります」

駅長が不在で特に問題がないか尋ねたところ、大串さんは「問題ないです。全然OKです」とあっさり答えられていました。
 

50歳で運転士の夢を実現

利用者は1日約300人ほどで、1本平均15人ほどとなりますが、「学門」という駅には名前の通り学校があるため、朝夕の通学時、特に雨が降っている時は満員になることもあるそうです。

その他の時間帯では紀伊御坊駅の近くに総合病院があり、通院されている方もよく利用されるそうですが、昼間などはお客さんが少ないこともあります。

多田「本数が多いですので、昼間お客さんなしで出発して、終点までってこともあります?」

大串さん「あります。多々あります」

ちなみに、先程の「学門」という名前にちなんで、紀州鉄道では学門駅の入場券とお地蔵さんの御札をセットにしたキーホルダーをセットにして販売しており、受験シーズンには全国から注文が来るそうです。

また、本業でも「日本一短いローカル私鉄」ということで、全国から鉄道ファンが訪れています。

大串さんはかつて大阪市営地下鉄に勤めていたものの、家庭の事情で和歌山に戻ることになった後、紀州鉄道に入社。その後、50歳で運転士としてデビューしました。

まさに、中井貴一さん主演の映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』と同じです。

大串さんも「私とダブることが多いんで、ビックリしました」と語っていました。
(岡本)
 

多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N
2019年04月25日07時41分〜抜粋(Radikoタイムフリー)