夏に参院選を控え、選挙も多いこの一年。街中に選挙ポスターが貼り出されるのも、例年になく多そうです。そんな選挙ポスターに写った候補者の表情が、実は得票に影響しているとの研究がされています。4月24日『多田しげおの気分爽快‼︎』では「選挙候補者のポスターとその笑顔」の関係について、拓殖大学政経学部教授の浅野正彦さんに伺いました。聞き手は多田しげおです。

笑顔を数値化

浅野先生はどのように、この分析したのでしょう?

1980年から2017年までの選挙の候補者6,000人分のポスターを集め、どれくらい笑っているのかをチェックしていったそうです。
この笑顔の度合い、人間が計測するわけではありません。

「オムロンが出している、笑顔を計測する機械で0点から100点まで点数が出るわけです。私たちが写真を見て常識的に笑ってるとなれば100点。笑ってないなら0点。ちょっとだけ笑ってるなら20点とか、非常に精密に、私たちの見た目とほとんど同じような感じで数値化してくれるんですよね」
 

笑顔は得票率にどれくらい影響する?

「新人で4人以上の選挙区から出ている人であれば、だいたい2パーセントぐらい得票率が高いということがわかっています。
ほんの数票で選挙結果が変わることもありますので、結構大きいと言えますね」

地方議会の議員選挙の場合、絶対数がそもそも少ないところもあります。
そのため、わずか2パーセントと言えど、アップすれば当選か否かに大きく影響するのだそうです。
 

おばさんは顔で選ぶ

この話を聞いていた多田、自分の周りの人に聞いてみたそうです。

多田「先日の統一地方選挙、地方議会議員選挙 、ポスターを見て、『どういうところが決め手になったんですか?』と。
いわゆるおばさん…ある程度年齢の高い女性に聞くと『顔』」

やっぱり笑顔かどうかで決めていたようで、質問の目的を言わずに聞いても「笑っている人は感じ良いよ。感じ良い人に投票したるわ」というのが、おばさんたちの意見だったそうです。

同時に「笑顔だけ?」と聞いたら、「やっぱり男前は良いね」という答えが。笑顔だけではなくイケメン、女性候補の場合には美形が有利ということでしょうか。
 

美形は得している

浅野先生はこのイケメン・美形候補についても、ちゃんと分析していました。

12月に東北大学の研究者と一緒に、1,500人ぐらいのアメリカ人を対象に、日本の参議院議員候補者の顔写真を使い、美顔度(イケメン、美人)を5段階で評価してもらったそうです。

「その結果を見ますと、やっぱりイケメンだと美顔度が表に結びついてるってことが明らかになってますね。
今までの過去の研究をみても、美顔度が表に結びつくということが、いろんな国で実証されつつあります」

イケメン、美人はやはり得なようです。多田によると、これは、選挙の世界では常識なんだとか。
政党が候補者を立てる際、ポイントになるのは顔だそうです。
 

地域とタイミング

選挙ポスターの笑顔は、地域差や選挙が行われるタイミングにも関係があります。
選挙区ごとに全員が笑っている選挙区もあれば、一人も笑ってない選挙区もあり、地域によっていろいろだそうです。

「関西系の方々は結構、笑っている方が多いですし、そうでないところもあるということですね。
例えば、震災があったりして不幸なことがあって、その後の選挙だと、笑ってる場合か!というような反応もあるでしょうし、また、防衛の問題とか真剣な主張をしてる人が笑ってると、それは逆イメージで票を失うとか、いろんな要素があるようですね」

笑顔が必ず得票に結びつく、ということでもなさそうです。
 

笑顔も効かぬ小選挙区

選挙区制によって笑顔の増減があるんだそうです。

「小選挙区になりますと、政党中心になりますので、一政党で一人しか立候補しません。どちらかと言うと政党で決めてしまう人も増えてくるわけですね。
そうなると相対的に見て、笑顔度が効く要素が減っているということがわかってます」

小選挙区は強い政党が一人勝ちになってしまう傾向があり、いろいろと問題も指摘されていますが、やはり、そこには笑顔も歯が立たないようです。
(尾関)
 

多田しげおの気分爽快!!〜朝からP・O・N
2019年04月24日07時20分〜抜粋(Radikoタイムフリー)